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分化型甲状腺がんへの放射性ヨウ素治療でAML発症リスク上昇

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分化型甲状腺がんへの放射性ヨウ素治療でAML発症リスク上昇

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

分化型甲状腺がんに対する手術後の放射性ヨウ素投与は、白血病発症リスク上昇を伴い、AML発症は予後が有意に不良となる

 

分化型甲状腺がんに対して手術と放射性ヨウ素(RAI)治療を受けた患者は、手術のみを受けた患者と比べて、急性骨髄性白血病(AML)を発症する可能性が高い。さらに、分化型甲状腺がんに対するRAI治療奏効後にAMLを発症した患者は、分化型甲状腺がんへの治療を受けてAMLを発症しなかった患者や、がん罹患歴や抗がん治療歴のない自然発症AML患者と比べて、予後がかなり不良である。

 

観察研究による知見は、スペインのマドリードで開催された2017年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表された。

 

分化型甲状腺がんに対する放射線治療とRAI治療後に白血病発症リスクが上昇することは知られていたが、分化型甲状腺がんサバイバーにおけるRAI治療後のAMLリスクは十分に特徴づけられていなかったとRemco J. Molenaar氏(オランダ、アムステルダム、Academic Medical Centre (AMC)腫瘍内科学)は言う。

 

Molenaar氏らは今回の観察Molenaar氏らは今回の観察研究で、手術のみ、または手術とRAI治療を受けた分化型甲状腺がん患者について調べるため、データベースSurveillance Epidemiology and End Results (SEER:監視疫学と最終結果)に登録された18項目すべてを検証した。分化型甲状腺がん患者におけるAML発症リスク動態、さらにAMLとRAIとの関連性を評価した。症例対照研究により、自然発症AMLと分化型甲状腺がん診断・治療後に発症したAMLの臨床転帰を調べた。

 

RAI治療を受けた甲状腺がん患者でAMLリスクが上昇

 

研究者らは、1973年から2014年の間に分化型甲状腺がんと診断された患者148,215人を同定した。そのうち55%は分化型甲状腺がんに対して手術のみを受け、45%は手術とRAI治療を受けた。

 

中央値4.3人年(四分位範囲1.9~7.4年)の追跡調査の結果、AMLは手術を受けた患者44人で発症したのに対して、手術とRAI治療を受けた患者では56人が発症したことがわかった。

 

さらに一般集団の患者背景との比較によれば、手術とRAI治療を受けた患者は、年齢、性別、分化型甲状腺がん診断年について補正後に一般集団と比べてAML発症リスクが高かった(相対リスク[RR] 5.6、95%信頼区間[CI] 3.8、8.1; p <0.0001)。同リスクは、RAI治療後3年以内にピークに達した後、ベースライン率に戻った。

 

性別および分化型甲状腺腫瘍サイズについて補正した多変量解析では、RAI治療を含む3つの変数がAML発症の独立予後因子であることが判明した。各予後因子のAMLリスク増加は以下の通り。

患者年齢: HR 1.03; 95%CI 1.02、1.05(p <0.001)

分化型甲状腺腫瘍ステージ:HR 1.36; 95%CI 1.04、1.79(p = 0.03)

分化型甲状腺がんに対する甲状腺摘出術単独と比較したRAI治療: HR 1.38; 95%CI 1.09、1.75(p = 0.007)

 

RAI治療後にAMLを発症した分化型甲状腺がん患者は、AMLを発症していない患者、自然発症AML患者のいずれと比較しても、予後が有意に不良である

 

症例対照分析の結果、手術とRAI治療後にAMLを発症した分化型甲状腺がん患者の生存期間は、分化型甲状腺がん治療奏効後にAMLを発症しなかった対照患者と比べて3分の1であり、全生存期間の中央値はそれぞれ7.4年、24.4年であった(p<0.0001)。

 

さらに、分化型甲状腺がんのRAI治療後にAMLと診断された患者は予後が有意に不良で、全生存期間中央値はわずか1.2年であった。一方、自然発症AML患者では3.5年であった(p = 0.004)。

 

結論

 

研究者らは、分化型甲状腺がんサバイバーにおけるAML発症率は上昇し続ける可能性が高いと結論づけ、その理由として、分化型甲状腺がん発症率が上昇していること、同疾患診断の大半が若年齢時であること、同疾患の生存率が高いことを挙げた。

 

さらに、RAI治療はAML発症リスクの上昇に関連していること、RAI治療関連AML患者は放射線療法や化学療法後に発症する治療関連AML(t-AML)患者の生存と同様に生命予後が不良であることを見出した。

 

この研究結果について、Tim Somervaille氏(英国マンチェスター、Cancer Research UK Manchester Institute)は次のように述べた。従来の化学療法や放射線療法が二次性AML発症リスクを高めることは十分に確証されている。相対リスクは、治療の種類と用量に応じて増加する(例えば、さまざまな乳がん研究で2~6倍の差)。リスク上昇の要因は、化学療法の高用量化、骨髄を含む照射範囲の拡大、照射、自己移植後の幹細胞ストレス、G-CSFの使用である。Molenaar氏らによる本研究は登録データを用いた体系的アプローチに基づき、追加情報を提供している。すなわち、RAI治療後の治療関連AMLはまれ(1/1000)であるが、相対リスクでみると1.8倍となる。本研究により、分化型甲状腺がん患者へのカウンセリングを改善し、同疾患に対して不要なRAI治療を受ける患者数を減らすこと可能になると思われる。

 

開示

 

本研究は米国がん協会(American Cancer Society)の支援を受けた。

 

参考文献

 

996O – Molenaar RJ, et al. Risk of developing acute myeloid leukemia (AML) in well-differentiated thyroid cancer (WDTC) patients treated with radioactive iodine (RAI): a population-based study.

 

 

原文掲載日

翻訳山田登志子

監修野崎健司(血液・腫瘍内科/大阪大学大学院医学系研究科)

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