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BRAF V600E陽性肺癌にダブラフェニブ+トラメチニブの一次治療が有効

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BRAF V600E陽性肺癌にダブラフェニブ+トラメチニブの一次治療が有効

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

未治療のBRAF V600E変異陽性、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、ダブラフェニブとトラメチニブの併用は抗腫瘍効果を示す

 

BRAF遺伝子の活性化変異は、通常EGFR遺伝子変異やALK再構成と相互排他的(*どちらかの変異のみ)であり、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)において代替の発がんドライバーとして作用する。この変異のうちで最多のBRAF V600E変異は、肺腺がんの1~2%に認められる。BRAF変異陽性転移性メラノーマ(悪性黒色腫)患者では、BRAF阻害薬とMEK阻害薬の併用治療は、BRAF阻害薬による単剤治療と比較して優れた有効性を示し、経路阻害の持続および耐性獲得の遅延や防止に寄与する可能性がある。

 

BRAF阻害薬ダブラフェニブとMEK阻害薬トラメチニブの併用治療を受けた、未治療のBRAF V600E変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の4分の3は、試験責任医師の評価および独立した審査により完全奏効または部分奏効または無増悪を得た。この第2相試験からの知見は、スペインのマドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会年次総会2017(ESMO2017)で発表された。

 

フランス、ヴィルジュイフのグスタフ・ルッシーがん研究所(the Institut Gustave Roussy)腫瘍内科のDavid Planchard医師は、BRAF V600E変異陽性、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした第2相試験(NCT01336634)において、連続して登録された3つのコホートの第3コホート(コホートC)の結果を発表した。本コホートで、36人のBRAF V600E変異陽性転移性NSCLC患者は、ダブラフェニブ150mg1日2回およびトラメチニブ2mg1日1回の一次治療を受けた。患者は過去に転移性疾患の全身治療を受けていなかった。

 

Planchard医師は、既治療のBRAF V600E変異陽性、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者(コホートB)において、試験責任医師の評価により確認された全奏効率(ORR)は67%、無増悪生存期間(PFS)中央値は10.2カ月、および全生存期間(OS)中央値は18.2カ月であり、すでに併用によるかなりの臨床効果が示されていると指摘した。

 

ESMO2017で示された知見では、患者の年齢中央値は67歳(44〜91)、61%が女性、83%が白人、72%が喫煙者または元喫煙者であった。

 

主要評価項目は試験責任医師の評価による全奏効率(ORR)、副次的評価項目は奏効期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間、安全性であった。

 

ダブラフェニブとトラメチニブの併用で認められた持続効果(durable response

2017年4月8日のデータ締め切り時点で、11人(31%)の患者は治療を継続していた。

 

追跡期間中央値の15.9カ月後、試験責任医師の評価による全奏効率(ORR)は64%(95%信頼区間[CI] 46%, 79%)であった。併用治療を受けた2人(6%)の患者は完全奏効(CR)を示し、21人(58%)の患者は部分奏効(PR)を示した。全体では、4人(11%)の患者が最良効果(best response)として12週以上持続した安定(SD)を得たので、病勢コントロール率(DCR = CR+PR+SD)は75%(95% CI 58%, 88%)であった。

 

(図の題名)

(最良効果判定を用いた試験責任医師の評価による標的病変の最大変化)

 

独立審査委員会の評価は、この結果を支持した。

 

試験責任医師の評価による奏効期間(DOR)中央値は10.4カ月(95% CI 8.3, 17.9)であった。無増悪生存期間(PFS)中央値は10.9カ月(95% CI 7.0,16.6)、全生存期間(OS)中央値は24.6カ月(95% CI 12.3, 推定できず)であった。

 

すべて(100%)の患者が1件以上の有害事象(AE)を発現し、69%はグレード3または4のAEを1件以上発現した。重篤有害事象(SAE)は3人以上の患者に生じ、アラニンアミノトランスフェラーゼの上昇が14%、発熱が11%、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの上昇が8%、心駆出率の低下が8%の患者で報告された。

 

進行または死亡した患者は合計24人であり、そのうち17人が死亡であった。1人の死亡は心肺停止の重篤有害事象(SAE)が原因であったが、このSAEは試験薬投与と関連なしと判断された。

 

規制当局の承認

2014年1月、米国食品医薬品局(FDA)は、転移メラノーマ患者へのダブラフェニブとトラメチニブの併用を初めて承認した。1年後に、欧州委員会はBRAF V600変異を有する切除不能または転移メラノーマ成人患者へのダブラフェニブとトラメチニブの併用を承認した。

 

2017年4月、欧州委員会は、BRAF V600変異陽性の進行性または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者への、ダブラフェニブとトラメチニブの併用を承認した。

 

2017年6月22日、FDAは、FDAが承認した検査で検出されたBRAF V600E変異陽性転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者へのダブラフェニブとトラメチニブの併用投与を通常承認した。

 

結論

試験責任医師らは、ダブラフェニブとトラメチニブの併用が、未治療のBRAF V600E変異陽性、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、臨床的に意義のある抗腫瘍活性および管理可能な安全性プロファイルを有する新規分子標的療法であると結論付け、この結果は欧州委員会およびFDAによる最近の承認を裏付けたと述べた。

 

開示

本試験はNovartis社より資金提供を受けた。

 

参考文献

LBA51 – Planchard D, et al. Phase 2 Trial (BRF113928) of Dabrafenib (D) Plus Trametinib (T) in Patients (pts) With Previously Untreated BRAF V600E–Mutant Metastatic Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC).

原文掲載日

翻訳坂下美保子

監修小宮武文(腫瘍内科/トゥーレーン大学)

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