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同時転移腎細胞がん無増悪率は腫瘍縮小腎摘出術とスニチニブ投与順序に影響されず

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同時転移腎細胞がん無増悪率は腫瘍縮小腎摘出術とスニチニブ投与順序に影響されず

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

腫瘍縮小腎摘出術を化学療法後または即時に実施するかの比較において、全生存率および術後合併症率は化学療法後群が良好であったが、16および28週の増悪率においては、両群間で有意差は認められなかった

 

同時転移性腎細胞がん(mRCC)患者の原発腫瘍治療では、スニチニブ標的療法の先行投与後に腫瘍縮小腎摘出術(CN)を行っても、即時CN実施後にスニチニブ投与を行う逐次療法を行っても28週における無増悪率は改善しなかったとのランダム化試験の知見が、スペインのマドリードで開催された欧州腫瘍学会(ESMO2017の年次総会で発表された。

 

アムステルダムのオランダがんセンター泌尿器腫瘍外科のAlex Bex氏とその同僚らは、腫瘍縮小腎摘出術(CN)後のスニチニブ標的療法の転帰が、逆の順序で行われる治療で改善するかどうかを検討した。

 

mRCC患者99人を、即時CN実施後のスニチニブ療法(n = 50)群、3サイクルのスニチニブ療法実施後にCN+スニチニブ療法を行う群(n = 49)に無作為に割り付けた。本試験(EORTC 30073 SURTIME NCT01099423)には、組織学的に確認された淡明細胞亜型の患者、ならびに切除可能な無症候性原発腫瘍およびCulpらによるリスク因子[1]3以下の患者が含まれた。

 

症例の自然増加が乏しかったため、98人の患者を必要とする28週の無増悪率(PFR)を主要評価項目として報告することとした。無増悪生存期間の中央値を評価するには、80%出力両側5%ログランク検定を用いて、化学療法後CN群における3カ月増加(ハザード比[HR]=0.75)を検出するために380件の事象を必要とするからである。両群における全生存期間(OS)、有害事象(AE)および術後増悪を副次的評価項目とした。

 

5.7年後、この試験には19の施設から99人の患者が参加していた。即時CN群は50人、化学療法後CN群は49人であった。両群において患者の過半数は男性であり、年齢の中央値はそれぞれ60歳および58歳、MSKCC中間リスクは86%および87.7%であった。それぞれの群において、WHOパフォーマンスステータス(PS)が0の割合は72%および63.3%、1の割合は28%および36.7、測定可能な転移箇所が2カ所以上ある患者は86%および93.9%、原発腫瘍の平均(標準偏差)サイズは93.137.8mmおよび96.831.3mmであった。

 

 各群の患者で治療順序ごとに異なる利益

 

中央値3.3年のフォローアップ時では、50人のうち46人の患者が即時CN群でCNを受け、このうち40人の患者がCN後のスニチニブ投与を受けていた。化学療法後CN群では49人中48人の患者がCN前にスニチニブで治療されており、このうち40人の患者がCNを受け、26人はCN後のスニチニブ投与も受けた。

 

PFRは即時群および化学療法後群でそれぞれ42.0%(95%信頼区間[CI] 28.2,56.8)対42.9%(95CI 28.8,57.8)であり、治療の順序間で有意差は認められなかった(p>0.99)。

 

[パネル中の語句・キャプション訳]

全患者の化学療法後CN群対即時CN群の治療意図(ITT)解析における無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)。Alex Bex氏による。

 

しかしながら、治療意図(ITT)集団においてWHO PSにより階層化された全生存期間では、化学療法後CN群が即時CN群に対して2倍の優位性を示した。全ハザード比は0.5795CI 0.34,0.95; p=0.032)であり、全生存期間の中央値は32.495CI 14.5,65.3)カ月対15.195CI 9.3,29.5)カ月であった。

 

さらに手術合併症は化学療法後群で少なく、27.5%の患者で合併症が発生したのに対し、即時CN群で治療した患者の発生率は43.5%であった。

 

16週における増悪率は、即時に実施されたCN後の患者において46%であったのに対し、化学療法後群では予定されたCNを実施する前の患者において32.7%であった。この治験実施計画書では、増悪している患者に対して化学療法後のCNを施行しないことが推奨された。

 

結論

 

CNとスニチニブの逐次療法は28週においての無増悪率(PFR)に影響を与えなかったが、化学療法後CN群において全生存期間(OS)への徴候が認められた。

 

著者らによれば、他の評価項目による最終的な結論はサンプルサイズにより排除されるものの、スニチニブ投与後のCNが安全であることが示されている。

 

試験結果を議論したM. Staehler氏は、転移性RCCにおいて腎摘出術が果たす役割は不明瞭なままであると述べた。早期増悪に対する腎切除術の効果に関する情報は、依然として不足している。転移RCCの治療において、腫瘍縮小腎摘出術を化学療法後に実行することは可能な選択肢である。著者らはPantherAtlasCarmenaらが行った他のネオアジュバント試験とのメタ分析といったものに、得られたデータを含めるよう検討すべきである。

 

開示

 

この試験はファイザーによって資金提供された。

 

引用

 

1.     Culp SHet al Cancer 2010; 11614):3378-88

 

参照

 

LBA35 – Bex A, et al. Immediate versus deferred cytoreductive nephrectomy (CN) in patients with synchronous metastatic renal cell carcinoma (mRCC) receiving sunitinib (EORTC 30073 SURTIME).

 

原文掲載日

翻訳岡部師才

監修廣田裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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