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4期メラノーマへのダブラフェニブ+トラメチニブは無再発生存を2倍に

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4期メラノーマへのダブラフェニブ+トラメチニブは無再発生存を2倍に

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

【プレジデンシャル・シンポジウム】

分子標的治療薬ダブラフェニブ+トラメチニブ併用による術後化学療法が、ステージ3のBRAF遺伝子変異陽性メラノーマ(悪性黒色腫)患者の無再発生存を2倍に延長した。これは、マドリードで開催された2017年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)およびNew England Journal of Medicine誌で発表されたCOMBI-AD試験からの最新結果による。

 

「ステージ3メラノーマの術後化学療法に標準治療はありません」と、COMBI-AD試験の発表者でキール大学(ドイツ、キール)皮膚科学教授Axel Hauschild氏は述べた。「インターフェロンが術後療法として承認されていますが、プラセボと比較した相対的な無再発生存率の改善率は20%にすぎません」。

 

先行の第3相臨床試験は、切除不能な進行転移性BRAF遺伝子変異陽性メラノーマ患者において、ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法で全生存および無増悪生存が改善し、忍容性が良好であったことを示している。

 

COMBI-AD試験はステージ3メラノーマの術後化学療法としての分子標的治療に関する初の臨床試験である。患者全員がBRAF遺伝子変異を有しており、そのうち91%にV600E遺伝子変異、9%にV600K遺伝子変異が発現していた。これは、臨床診療では典型的な分布である。患者にはリンパ節への転移があり、完全に切除されていた。本試験の主要評価項目は、無再発生存の延長である。

 

本二重盲検試験では、患者870人を1:1の割合で、BRAF阻害薬ダブラフェニブ+MEK阻害薬トラメチニブ併用療法群と、対照プラセボ群に無作為に割り付けた。患者は12カ月間治療を受けた。

 

本試験は主要評価項目を達成した。追跡調査中央値である2.8年経過時点で、併用療法群はプラセボ群と比べて疾患再発または死亡のリスクが53%低下し、有意差があった(ハザード比0.47、95%信頼区間0.39~0.58)。併用療法による無再発生存延長効果は、患者全サブグループにわたって認められた。

 

併用療法はまた、全生存(ハザード比0.57)、無遠隔転移生存(ハザード比0.51)および無再発(ハザード比0.47)などの副次的評価項目でも有益性を示した。

 

「ステージ3メラノーマにおける術後化学療法として過去最良の結果を示しています」とHauschild教授は述べた。「ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法はプラセボと比較して無再発生存期間を2倍以上延長し、全生存の改善も目覚ましいものでした」。

 

併用療法群患者のうち97%は何らかの有害事象、41%は重篤な(グレード3または4)有害事象を発症した。これに対し、プラセボ群では有害事象が88%、重篤な有害事象が14%で発現した。併用療法群患者の約1/4(26%)が有害事象によりやむを得ず治療を中止したのに対し、プラセボ群での治療中止は3%であった。

 

「治療を中止した人数は、ステージ4メラノーマ患者を対象とした試験より若干多かったです」とHauschild教授は述べた。「これは患者の90%で疾患が進行せず、予定された満1年で治療されたためと考えられます。患者が受ける治療期間が長いほど、有害事象が発現する可能性が高くなります。しかし、ステージ4ですでにみられたような新たな毒性は認められず、全体的に治療は良好な忍容性を示したと言えます」。

 

Hauschild教授は、次のように結論づけた。「これらは治療変革につながる結果です。ダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法は、高リスクのメラノーマ患者に対する術後化学療法として非常に有効な新規選択肢です」。

 

結果についてのコメントとして、ESMOメラノーマ部門コーディネーターであり、スイスのローザンヌにあるPersonalised Analytical Oncology(個別化解析腫瘍学)部門長であるOlivier Michielin医師は次のように述べた。「長年にわたり、メラノーマに対する術後化学療法の開発に取り組んでいます。インターフェロンは有益性がわずかしかなく、しかも毒性が強いため、広くは採用されていません。最初の革命はイピリムマブで、プラセボと比べて無増悪生存および全生存が改善されました。ESMO2016年次総会で発表されたように、これは術後化学療法における初の画期的大成功でした。しかしながら、その試験で用いられたイピリムマブによる治療は、非常に毒性が強いのです。

 

インターフェロンおよびイピリムマブはいずれも免疫療法剤ですが、COMBI-AD試験はメラノーマに対する術後化学療法として分子標的治療薬の使用が報告された初の試験です。無増悪生存および全生存の改善がいずれも非常に顕著であり、メラノーマ患者の約半数を占めるBRAF遺伝子変異陽性患者にとって、この新たな治療は魅力的な選択肢となります。免疫療法剤と分子標的治療薬の毒性プロファイルの差異は、どちらを使用するかの決定因子となります」。

 

Michielin医師は、こう結論づけた。「イピリムマブおよびダブラフェニブ+トラメチニブ併用療法はいずれも、プラセボと比べて全生存を改善しました。どの術後化学療法がどの患者に対して最適であるか判断する必要があり、その設定におけるPD-1阻害に関する今後の結果も考慮に入れなければなりません」。

 

同じESMOセッションで、BRAF遺伝子変異陽性メラノーマ切除術を受け、再発リスクの高い患者に対するベムラフェニブ術後化学療法のランダム化試験(BRIM8試験)における最新結果が発表された。この薬剤は、すでにBRAF遺伝子変異のある進行/転移性メラノーマに対して確かな臨床活性を示している。

 

ベムラフェニブを用いた術後化学療法では、ステージ3C患者において主要評価項目である無病生存が改善しなかったが、ステージ2C-3BのBRAF遺伝子変異陽性メラノーマを切除した患者において有効で、忍容性は良好のようであった。

 

原文掲載日

翻訳太田奈津美

監修前田 梓(医学生物物理学/トロント大学)

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