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RB1野生型肺大細胞神経内分泌がんに非小細胞がんレジメンが有効

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RB1野生型肺大細胞神経内分泌がんに非小細胞がんレジメンが有効

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

全体的にみると、NSCLC治療のためにデザインされた化学療法の方がSCLCに対する化学療法よりも患者が得る利益が大きかった

 

肺大細胞神経内分泌がん(LCNEC)の特定のゲノムサブタイプを持つ患者は、小細胞肺がん(SCLC)に対する化学療法よりも非小細胞肺がん(NSCLC)のためにデザインされた化学療法による治療を受けた方が、生存が有意に改善することが実証されたと、スペイン、マドリードで開催された2017年欧州臨床学会(ESMO)年次総会で報告された。RB1野生型のLCNEC患者だけが、NSCLCに対する治療によって同等の利益を得られるようだ。

 

どの化学療法がLCNEC患者に最大の臨床利益をもたらすか議論されてきたが、今回のLCNECの保存検体を用いたゲノムプロファイリングの解析によってこの問題が解決された可能性がある。

 

オランダ、マーストリヒトのマーストリヒト大学医療センター(MUMC)呼吸器学部GROW腫瘍学・発達生物学科のAnne-Marie Dingemans教授は、LCNECの治療にはNSCLCに対するプラチナ製剤とゲムシタビンやタキサン製剤の併用などの化学療法と、SCLCに対するプラチナ製剤とエトポシドの併用療法のどちらが適しているかという議論に言及し、最近同定されたLCNECゲノムサブタイプが化学療法の治療成績と臨床的に意味のある関連があるかどうかを評価するために、今回の後ろ向き研究を実施した。

 

同定されたLCNECゲノムサブタイプは相互排他的

 

相互排他的な2種類のLCNECゲノムサブタイプが分子レベルの研究で同定された。一つはTP53RB12カ所に変異が認められ、SCLCに類似している。もう一つは主にRB1が野生型であるSTK11/KEAP1サブタイプでNSCLCに類似している。

 

今回の研究は、オランダがん登録・病理登録に20032012年に登録された患者232人の臨床データおよび腫瘍検体を見直す後ろ向き解析で、LCNECと診断された患者148人を割り出した。このうち、LCNECの診断が妥当であると専門家の合意が得られかつ初回化学療法を受けた患者全員の検体を、TP53RB1STK11およびKEAP1遺伝子について次世代シーケンシング(NGS)で調べた。RB1蛋白発現(pRB1、抗体は13A10)は免疫化学組織的に分析し、Hスコアが50以上のものを陽性とした。

 

NGSおよびpRB1の結果と、カプラン・マイヤー法とログランク検定による全生存(OS)と無増悪生存(PFS)との関連が解析された。

 

検体の精度管理によって、79検体がNGSに十分適しており、pRB1109検体で分析できることがわかった。RB1変異は37検体(47%)で同定され、pRB1発現消失は78検体(72%)で認められた。さらに、RB1の変異は、8検体で同定されたSTK11遺伝子における変異と相互排他的であることが明らかになった(p = 0.006)。

 

生存期間は、今回対象の全患者、野生型RBの患者およびpRB1発現陽性の患者のいずれにおいても、NSCLCに対する化学療法(プラチナ製剤とゲムシタビン/タキサン製剤併用)の方がSCLCへの化学療法(プラチナ製剤とエトポシド併用)よりも長かった。しかし、RB1変異があるLCNECでは差は認められなかった

 

この研究ではNSCLCSCLCの両方の治療に用いる化学療法の有用性を評価したが、ペメトレキセド(一部のNSCLC症例に用いられる)は神経内分泌がんに対する耐性が報告されており、今回の解析から除外した。

 

OSは、NSCLCの化学療法を受けた患者の方がSCLCの化学療法を受けた患者よりも有意に長かった。NSCLCの化学療法を受けたLCNEC患者15人のOS中央値は9.67.711.6)カ月、SCLCの化学療法を受けた患者13人では5.85.56.1)カ月であった(p = 0.026)であった。

 

[パネル中語句・キャプション訳]

RB1野生型の肺大細胞神経内分泌がんに対して、NSCLC化学療法による生存の改善が実証された。

 

RB1発現陽性のLCNEC患者においても、NSCLCの化学療法で治療された方がOSが長かった。また、NSCLCに対する化学療法を受けた患者の中ではpRB1発現陽性患者14人のOS中央値は9.67.411.8)カ月、pRB1発現陰性患者9人では1.91.72.1)カ月であった(p = 0.001)。

 

同様に、RB1野生型患者のPFSは、NSCLCの化学療法を受けた患者の方が、SCLCの化学療法を受けた患者よりも有意に長かった(p = 0.018)。pRB1発現陽性患者においても、NSCLC治療を受けた患者の方がSCLC治療を受けた患者よりもPFSが長かった(p = 0.023)。

 

しかし、RB1変異陽性患者では、OSPFSは、NSCLC化学療法とSCLC化学療法との間に有意差はなかった。

 

結論

 

著者らは、この後ろ向き解析の結果を裏付けるための前向き研究を開始するよう訴えた。今回の結果は、LCNECRB1野生型の患者では、NSCLCに対する化学療法を受けた方がSCLC治療のためにデザインされた化学療法を受けるよりも生存が改善することを実証した。しかし、RB1変異があるLCNECの患者では、どちらの化学療法レジメンでも臨床結果に差は認められなかった。

 

さらに、今回のデータは、LCNEC患者に治療判断を説明する際に、ゲノムプロファイリングが役立つ可能性を示唆している。

 

今回の研究結果を考察したMauro Civesは、SCLCに類似したゲノム特性とSCLCに対する治療の効果の間に相関を認めず、NSCLC様腫瘍を持つ患者の転帰は非選択的な患者集団とよく似ており、仮説はまだ証明されていないと語った。

 

開示

本研究はオランダがん学会 (UM 2014-7110)、ならびに欧州呼吸器学会 (ERS)および欧州分子生物学機構(EMBO(STRFT 2016-7178)より助成金の提供を受けた。

 

参考文献

431O – Derks J, et al. Genomic Subtypes of Pulmonary Large Cell Neuroendocrine Carcinoma (LCNEC) may Predict Chemotherapy Outcome.

 

 

 

原文掲載日

翻訳粟木瑞穂

監修田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学)

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