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閉経後、早期乳がんでtaselisibとレトロゾール併用により奏効率が改善

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閉経後、早期乳がんでtaselisibとレトロゾール併用により奏効率が改善

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) ESMO 2017

【プレジデンシャル・シンポジウム】

PIK3CA変異型腫瘍の有無にかかわらずPI3K阻害薬の追加は術前治療としてのレトロゾールの効果を増強(LORELEI試験)

 

PIK3CA変異型がん細胞に対する活性が増強された選択的PI3キナーゼ(PI3K)阻害薬であるtaselisibをレトロゾールに追加することにより、早期乳がんの閉経後女性全体およびPIK3CA変異型腫瘍を有する女性の部分集団のどちらにおいても客観的奏効率が改善することが、スペイン・マドリッドで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2017の年次総会で報告された。

 

これまで、taselisibの単剤投与または内分泌療法との併用投与による確定部分奏効が、PIK3CA変異を有する転移乳がんに対して認められていた。

 

エストロゲン受容体(ER)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性の閉経後早期乳がん患者において、術前治療としてのレトロゾールとtaselisibの併用と、レトロゾールとプラセボの併用を比較した第II相試験LORELEI(NCT02273973)の結果が、スペイン・バルセロナにあるバルデブロン大学病院バルデブロン腫瘍学研究所腫瘍内科部門のCristina Saura氏によって発表された。

 

LORELEI試験は、世界90施設で登録された、PIK3CA遺伝子型の中央判定が可能な腫瘍組織を有するステージI~IIIの手術可能な早期乳がん患者334人を対象とした第II相ランダム化比較二重盲検試験である。患者を、レトロゾール+taselisib(4 mgを1日1回5日間投与、2日休薬のスケジュール)群またはレトロゾール+プラセボ群に割り付けて16週間投与した後、手術を行った。

 

主要評価項目は、ランダム化割り付けされた全患者およびPIK3CA変異型腫瘍を有する患者における、乳房MRIの中央判定による奏効率と、乳房およびリンパ節の手術日時点の腫瘍消失率と定義される病理学的完全奏効率とした。

 

PIK3CA変異型腫瘍を有する患者では、症例数を算出して検出した奏効率(ORR)の絶対的増加率は24%(40%から64%、最小検出差15%、両側有意水準16%、検出力80%)、病理学的完全奏効率の絶対的増加率は18%(1%から19%、最小検出差13%、両側有意水準4%、検出力80%)であった。

 

LORELEI試験は主要評価項目を達成

taselisib+レトロゾール併用群では、PIK3CA変異陽性患者の部分集団で、奏効率は38%から56.2%に増加し、オッズ比は2.03、95%信頼区間1.06-3.88(p = 0.033)であった。

 

PIK3CA変異型腫瘍のない女性を含むランダム化割り付けされた全患者のコホート全体においても、奏効率は39.3%から50%に増加し、オッズ比は1.55、95%信頼区間1.00-2.38(p = 0.049)であった。

 

病理学的完全奏効率に関しては、全患者またはPIK3CA変異陽性患者の部分集団のいずれにおいても、taselisib+レトロゾール併用群とレトロゾール+プラセボ群の2群間に有意差は認められなかった。

 

taselisibの毒性は管理可能であることを試験責任医師らは報告した。taselisibに関連する最もよくみられた重篤(grade 3および4)な有害事象は、消化管障害(7.8%)、感染症(4.8%)、皮膚/皮下組織障害(4.8%)、血管障害(3.6%)、高血糖(1.2%)を含む代謝および栄養障害(3.6%)であった。

 

taselisib群で突然死が1人認められたが、試験薬との関連性はないと考えられた。

 

Taselisibは11.4%の患者で減量、10.8%で投与中止となった。

 

結論

LORELEI試験は、ER陽性HER2陰性の早期乳がん患者に対する選択的PI3K阻害薬とレトロゾールの併用療法後、MRIにより測定した奏効率を有意に増加させることが初めて証明されたランダム化比較試験であることを著者らは記した。

 

著者らは、taselisib+レトロゾール併用療法で認められた抗腫瘍反応についてさらなる知見を得るために、包括的なバイオマーカー解析を続けている。

 

本試験の結果を受けて、これは早期乳がん患者に対する特異的なPI3K阻害薬(taselisib)の臨床的有効性を証明するほぼ初の試験であると、ドイツ・ミュンヘンにあるミュンヘン大学産科婦人科乳房センターのNadia Harbeck氏は述べた。転移乳がんを対象とした検証的第III相試験の結果が強く期待されている。

 

情報開示

本試験は、Genentech Inc社から助成を受けた。

 

参考文献

LBA10_PR – Saura C, et al. Primary results of LORELEI: a phase II randomized, double-blind study of neoadjuvant letrozole (LET) plus taselisib versus LET plus placebo (PLA) in postmenopausal patients (pts) with ER+/HER2-negative early breast cancer (EBC).

原文掲載日

翻訳星野恭子

監修廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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