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術後イマチニブ療法は高リスク消化管間質腫瘍患者に限り推奨

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術後イマチニブ療法は高リスク消化管間質腫瘍患者に限り推奨

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

欧州がん研究治療機関の群間比較ランダム化試験の最終結果

 

消化管間質腫瘍(GIST)の治癒切除(R0/R1手術)後の術後イマチニブ療法群と無投薬観察群を比較した試験の長期的な結果では、GIST患者のうち高リスク患者に対してのみイマチニブ投与の推奨が裏づけられた。この結果については、研究者らがスペインのマドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2017の年次総会で報告した。

 

GIST患者のうちリスクが低度から中等度の患者では、無投薬観察群と比較してイマチニブ群に付加的な有用性は認められなかった。

 

イタリアのミラノにあるFondazione IRCCS – Istituto Nazionale dei Tumoriの成人間葉腫瘍・希少がん腫瘍内科学ユニットに所属する筆頭著者Paolo G.G. Casali氏は、研究者らを代表して、高度から中等度のリスクを有する限局性GIST患者においてR0/R1手術後に術後イマチニブ療法を受ける群と何ら治療を受けない群を比較した群間比較ランダム化試験(EUDRACT 2004-001810-16、NCT00103168)の最終結果を発表した。

 

独立データ審査委員会からの推奨で実施された中間解析の結果は、すでに報告されている[1]。中間解析では、術後イマチニブ療法が無再発生存(RFS)に顕著な影響を及ぼすことが確認されたと結論づけていた。術後イマチニブ療法が奏効する傾向が高リスクサブグループでみられたものの、イマチニブの治療成功生存(IFFS)は顕著な有意差を示さなかった。

 

今回の最終解析には、12カ国112病院で実施した第3相ランダム化非盲検多施設共同試験のデータを用いた。患者は、手術後、1日あたり400 mgのイマチニブを2年間投与される群または何ら治療を受けない群に無作為に割り付けられた。

 

主要評価項目はIFFSであり、副次的評価項目はRFS、無再発期間(RFI)、全生存(OS)および毒性であった。中間解析との調整のため、IFFSの結果は4.3%有意水準で、他の評価項目は5%有意水準で評価された。

 

計908人の患者が2004年12月から2008年10月まで無作為に割り付けられ、454人がイマチニブの投与を受け、454人は無投薬で経過観察された。うち835人が解析に適格であった。

 

高リスクGIST患者サブグループは、イマチニブ投与群のIFFSおよびRFSが長期的に向上する傾向を示した

 

中央値9.1年の長期的な追跡調査の後、イマチニブ投与群の5年治療成功生存割合は87%、10年治療成功生存割合は75%であり、これに対し観察のみの対照群の5年治療成功生存割合は83%、10年治療成功生存割合は74%であった。ハザード比(HR)0.87、95.7%信頼区間(CI)0.65、1.15(p値=0.31)であった。イマチニブ投与群と無投薬観察群の各群では、5年無再発生存割合は70%対63%、10年無再発生存割合は63%対61%であった。HR0.71、95%CI0.57、0.89(p値=0.002)であった。

 

また、イマチニブ投与群と無投薬観察群では、5年全生存割合は93%対92%、10年全生存割合は80%対78%であった。HR0.88、95%CI0.65、1.21(p値=0.43)であった。

 

各施設の病理診断による高リスクGIST患者526人において、イマチニブ投与群と無投薬観察群では、10年治療成功生存割合は69%対61%、10年無再発生存割合は48%対43%であった。

 

結論

著者らは、長期的IFFSおよびRFSの改善傾向が、高リスクGIST患者サブグループのうちイマチニブ投与群の患者で9.1年の追跡調査後に確認されたと述べた。

 

また、統計学的には有意でなかったが、この傾向はスカンジナビアやドイツで実施された臨床試験で報告された結果と一致しており、それらの臨床試験では術後イマチニブ療法を3年間受けた高リスクGIST患者において、長期的OSのわずかながら有意な有益性が持続したことを指摘した。

 

研究者らは、ESMO2017で発表した本研究結果から、現行の基準では低リスクGIST患者に対してイマチニブを使用しないよう助言する。その理由は、イマチニブ投与群と無投薬観察群との間で長期の治療成功生存割合と無再発生存割合がほとんど同等であったためである。

 

開示

本試験はNovartis社から資金提供を受けた。

 

引用

1.Casali PG, et al.Time to definitive failure to the first tyrosine kinase inhibitor in localized GI stromal tumors treated with imatinib as an adjuvant: a European Organisation for Research and Treatment of Cancer Soft Tissue and Bone Sarcoma Group intergroup randomized trial in collaboration with the Australasian Gastro-Intestinal Trials Group, UNICANCER, French Sarcoma Group, Italian Sarcoma Group, and Spanish Group for Research on Sarcomas. JCO 2015;33(36):4276—4283.

 

参考文献

LBA55 – Casali PGG, et al. Time to definitive failure to the first tyrosine kinase inhibitor in localized gastrointestinal stromal tumors (GIST) treated with imatinib as an adjuvant: final results of the EORTC STBSG, AGITG, UNICANCER, FSG, ISG, and GEIS randomized trial.

原文掲載日

翻訳太田奈津美

監修遠藤 誠(肉腫、骨軟部腫瘍/九州大学病院 整形外科)

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