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トリネガ乳がん腫瘍のTIL発現はペンブロリズマブの効果と関連

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トリネガ乳がん腫瘍のTIL発現はペンブロリズマブの効果と関連

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO 2017

腫瘍試料中の腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)発現率は、転移性トリプルネガティブ乳がんにおけるPD-L1発現およびペンブロリズマブの効果と関連する

 

スペイン、マドリードで開催されたESMO2017、欧州臨床腫瘍学会において発表された知見によると、転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の患者は、腫瘍の微小環境に腫瘍内浸潤リンパ球(TIL)がより多く存在していれば、ペンブロリズマブに強い効果を示す可能性が高い。

 

オーストラリアのメルボルンにあるPeter MacCallumがんセンターの研究所長であり臨床腫瘍学者であるSherene Loiは、トリプルネガティブ乳がんで観察される、患者が元来持っている抗腫瘍免疫を象徴している可能性のあるTILを、トリプルネガティブ乳がんへの免疫療法の効果に対するバイオマーカーとして研究した。研究者らは、治療歴のある転移性トリプルネガティブ乳がんでPD-L1発現を問わない患者(コホートA)と、未治療でPD-L1陽性の転移性TNBC患者(コホートB)に対するペンブロリズマブ単独療法の第2相KEYNOTE-086試験(NCT02447003)から得られたデータを利用して、間質TILの発現率とペンブロリズマブに対する反応との関係を評価した。

 

間質TILは、臨床データを知らされていない1人の病理学者による公表されている方法に従って、腫瘍生検組織のヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色スライドから定量された。PD-L1発現は免疫組織化学(IHC)およびPD-L1 IHC 22C3 pharmDx(Agilent Technologies、Carpinteria、CA、USA)によって評価された。

 

ペンブロリズマブに対する効果は、RECIST ガイドライン(固形がんの治療判定のための新ガイドライン)1.1版に従って、第三者評価機関により、12カ月間は9週間ごとに、その後は12週間ごとに評価された。

 

未治療のPD-L1陽性腫瘍から得られた試料と、非リンパ節に対してリンパ節試料において、有意に高いTIL発現率が観察された

登録された最初の222人の患者のうち、193人の患者が評価可能な腫瘍サンプルを有していた。 147サンプルがコホートA(PD-L1発現を問わない)から得られ、46サンプルがコホートB(PD-L1陽性のみ)から得られた。これらのうち、146のサンプルは主に転移部位から新たに得られたもので、47の保存されていたサンプルは主に原発性乳房腫瘍からのものであった。

 

間質TILの発現率は、PD-L1陽性転移性トリプルネガティブ乳がんに対し未治療のコホートB患者においてより高かった:

間質TIL発現率の中央値(四分位範囲; IQR)はコホートAの5%(1〜10%)(片側ウィルコクソンの順位和検定 p <0.001)と比較して、コホートBでは17.5%(5〜61.25%)であった。間質TIL発現率は、新しく採集されたサンプルの5%(1〜15%; p <0.001)に対して、保存されていた腫瘍サンプルは10%(5〜40%)と高く、リンパ節以外の試料の5%(2〜16.25%; p = 0.01)に対してリンパ節は10% (5〜50%)と高かった。

 

TILの量は、ペンブロリズマブに対してより高い効果を示すマーカーとして注目される

客観的奏効率(ORR)と間質TILレベルとの間の関係は、コホート(A対B)およびLDH濃度(連続値)について補正したロジスティック回帰によって評価された。

 

ペンブロリズマブの効果は、間質TIL発現率と有意な関係を示した。間質TIL発現率が中央値以上の患者の客観的奏効率(ORR)は、中央値未満の患者に対して、コホートAでは6.4%対1.9%、コホートBにおいては39.1%対8.7%であった。効果が認められた患者の間質TIL中央値(IQR)は、効果が認められなかった患者に対し、コホートAでは10%(5〜30%)対5% (1 to 10%)、コホートBでは50%(35〜70%)対15%(5〜40%)であった。

 

両コホートを合わせると、より高い間質TIL発現は、連続変数として高いORR(補正オッズ比1.02; 95%信頼区間[CI] 1.00~1.04 [片側p = 0.014])と有意に関連していた。 ROC曲線下面積は0.784であった。

 

研究者らは、複合された陽性スコアによって評価したPD-L1発現が、TIL発現と有意に相関した(ρ= 0.496;片側p <0.001)と判断したが、間質TIL、LDH濃度および研究コホートを含む予測モデルに有意に多い情報を加えたわけではなかった。

 

結論

著者らは、単にH&E染色スライド上で定量化した場合でもTILレベルによって、特に初回治療時の場合、ペンブロリズマブ単独療法に効果を示す可能性がより高い転移性トリプルネガティブ乳がん患者を特定できると述べた。

 

研究成果を議論したイタリア、ミラノにあるIstituto Europeo di Oncologiaとミラノ大学のGiuseppe Curiglianoは、われわれが得た知見を要約した。H&E染色によって評価されたTILは、特に初回治療において、ペンブロリズマブに対する効果と有意に関連した。TIL発現率、LDH濃度、およびコホートは、本研究におけるペンブロリズマブ単独療法に対する効果の独立した予測因子であった; TILおよびPD-L1 CPS(Combined Positive Score: 腫瘍細胞と免疫細胞のPD-L1発現を合わせたスコア)は有意な正相関を示した。またTILは、ペンブロリズマブ単独療法に効果のある可能性が高い転移性トリプルネガティブ患者を同定した。彼は、次のようにこの研究の強みを要約した。TILは、原発腫瘍(TNまたはHER2陽性の場合)で定期的に評価されるべきであり、TILは乳がんにおける免疫療法を用いた試験の層別化因子であるべきであり、TILはT細胞プライミング、T細胞誘引および潜在的に異質性(突然変異負荷)を反映している。 この研究の限界としては、TILの組成や表現型、異なる免疫構造、異なる臓器における免疫の背景が考慮されておらず、主に腫瘍周囲の間質に位置する三次リンパ系構造を評価する必要がある。

 

情報開示

この研究はアメリカ合衆国ニュージャージー州ケニルワースのMerck & Co., Inc.社によって出資されている。

 

Reference

LBA13 – Loi S, et al. Relationship between tumor infiltrating lymphocyte (TIL) levels and response to pembrolizumab (pembro) in metastatic triple-negative breast cancer (mTNBC): results from KEYNOTE-086.

原文掲載日

翻訳中村奈緒美

監修下村昭彦(乳腺・腫瘍内科/国立がん研究センター中央病院)

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