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緩和ケアの必要性を評価する新ツールTriggers、中間結果が発表

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緩和ケアの必要性を評価する新ツールTriggers、中間結果が発表

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) ESMO 2017

早期緩和ケアで利益を得られる患者を識別できる新ツールが、ESMO2017マドリードで発表予定である[1]。

 

Triggers(トリガー)と名付けられたツールがLondon Cancer Allianceにより開発された。このツールは、緩和ケア専門医への早期紹介を必要とする患者を英国臨床医が特定しやすくすることを目的としており、そのパイロット試験が、ESMOのDesignated Centres of Integrated Oncology and Palliative Care(腫瘍・緩和ケア統合センター)[2]の一つであるロイヤル・マーズデンNHS財団で、今年実施することができた。

 

ESMO2017で本ツールの評価に関する中間結果が発表される予定であり、プライマリケアチームによる本ツール有用性を証明するとともに、腫瘍科部門と緩和ケアチーム間の、より広範囲な規模での統合サービス確立の実現可能性を指摘する。

 

緩和ケアはこれまで、終末期段階での生活の質(QOL)最適化と結び付けて考えられてきた。
しかし、患者が早い段階から、専門医による緩和ケアを受けられることで、予後改善を含め、より多くの利益を得られると研究で示されてきている。

 

Triggersツールは、がん専門医が積極的な治療を続ける傍ら、より早期の段階で、患者を緩和ケア専門医に紹介が必要かの評価を可能にする。

 

パイロット試験では、ロイヤル・マーズデンの肺がん外来を受診した新規患者を対象に本ツールを導入した。サービス開始4カ月間で、解析可能な患者84%は、初回外来受診から2カ月以内に評価がなされた。

 

「対象患者の75%が、1つ以上の項目でトリガーポジティブとなった。「トリガーポジティブ」コホートに対しては、緩和ケアチームにより緩和ケアの必要性が評価され、97%が専門医による緩和ケアが少なくとも適度に必要であると判定された。彼らのうち81%は十分体が機能しており、疾患が患者の日常生活にどう影響を与えるかを評価するスケールでは、上位2つのスコアに入っていたにも関わらず、緩和ケアが必要と判定されたわけである」と、評価を指揮したJayne Wood医師(ロイヤル・マーズデンNHS財団)は述べた。

 

「本結果から、われわれは真の必要性に目を向けており、緩和ケア専門医への紹介で本当に利益を得られる患者をツールが特定してくれているといえる。目標は、本ツールが標準となり、プライマリケアチームの誰でも簡単に使用可能になることである。さらにわれわれが次にやるべき事として、(肺がん以外の)他の腫瘍にもツールを広めることだ」と、Wood医師は述べた。

 

2017年4月に診断を受け、ロイヤル・マーズデンに紹介されたある肺がん女性患者は、Triggersツールによる緩和ケア早期必要性評価で利益を得た。「私は、ロイヤル・マーズデン受診後、約2週間で、緩和ケアチームに紹介されました。彼らによる薬物治療支援のおかげで、私はより元気になりました。彼らは家まで訪ねてくれ、さまざまな症状に対する助言をしてくれます。私が必要と感じた時には、彼らに電話をすればいいと安心していられます」と話した。

 

ロイヤル・マーズデンでのパイロット試験へのコメントとして、「このような見解を得られたことは喜ばしい」と、ESMO構成員でESMO2017の支持療法/緩和ケアの議長を務めるMatti Aapro医師は述べた。「新しい治療法に関する胸躍るような結果が出てきている今日においても、支持療法/緩和ケアのコンセプトは、患者さんのケアの連続性であり、もっと重要視されるべきだ」。

 

「ESMOは支持療法や緩和ケアの重要性を、2003年から訴え続けており[3]、患者中心のケア領域で、幅広い教育プログラムやツールをがん専門医に提供している。これらの活動は、今秋新たに発行予定のESMO方針書にまとめられている」と、Aapro医師は付け加えた。

 

ロイヤル・マーズデン病院は、ESMOのDesignated Centres of Integrated Oncology and Palliative Careの1つであり、最初に当該センターとして認定されたのは2009年に遡る。プログラムによる認定は、がんセンターが腫瘍内科部門と緩和ケア部門の間で、サービス提供や統合から、医師の資格、研究、教育に至るさまざまな基準に基づいて、高い連携水準に達していることを意味する。

 

この名誉ある認定は3年間有効で、その後、センター認定の更新には再申請が必要である。
今年、新たに8つのがんセンターが認定を受け、52センターが更新に成功した[4]。

 

ESMO指定で得られる利益についての詳細調査の結果は、こちらから閲覧が可能である[5]。

 

参考文献

  1. Abstract LBA54_PR ‘Proactive Referral to Palliative Care: Model of a new Integrated Palliative Care and Oncology Service’ will be presented by Dr. Jayne Wood during the Poster Discussion Session ‘Supportive and palliative care’ on Saturday, 9 September 2017, 09:15 to 10:45 (CEST) in Bilbao Auditorium.
  2. ESMO Designated Centres of Integrated Oncology and Palliative Care http://www.esmo.org/Patients/Designated-Centres-of-Integrated-Oncology-and-Palliative-Care
  3. ESMO takes a stand on supportive and palliative care, 2003. N. Cherny, R. Catane, P. Kosmidis. Annals of Oncology 14: 1335–1337, 2003 Editorial DOI: 10.1093/annonc/mdg379. https://academic.oup.com/annonc/article/14/9/1335/235767/ESMO-takes-a-stand-on-supportive-and-palliative
  4. Characteristics and level of integration of ESMO Designated Centres of integrated oncology and palliative care, 2016. D. Hui, N. Cherny, N. Latino, F. Strasser. Annals of Oncology 27: Issue suppl_6, 1301PD, 2016 Editorial DOI: 10.1093/annonc/mdw384.02 https://academic.oup.com/annonc/article-abstract/27/suppl_6/1301PD/2800196/Characteristics-and-level-of-integration-of-ESMO?redirectedFrom=fulltext
  5. The ‘critical mass’ survey of palliative care programme at ESMO designated centres of integrated oncology and palliative care.  D. Hui, N. Cherny, N Latino, F. Strasser. Annals of Oncology: mdx280, 2017 Editorial DOI: 10.1093/annonc/mdx280 https://academic.oup.com/annonc/article/3979216/The-critical-mass-survey-of-palliative-care?searchresult=1

原文掲載日

翻訳白神ルミ子

監修佐藤恭子(緩和ケア内科/川崎市井田病院)

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