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高リスク前立腺がんに標準治療+アビラテロンまたは+ドセタキセルを比較

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高リスク前立腺がんに標準治療+アビラテロンまたは+ドセタキセルを比較

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) ESMO 2017

2種類の有益な薬剤併用を直接比較するSTAMPEDE試験で、同等の生存期間が示される

 

長期のアンドロゲン除去療法(ADT)を開始した高リスクの前立腺がん患者において、アビラテロン酢酸エステル+プレドニゾンまたはドセタキセル+プレドニゾンの追加により同等の転帰を示したSTAMPEDE試験の結果が、スペインのマドリードで開催中のESMO2017、欧州臨床腫瘍学会年次総会で発表された。どちらの治療法でも、再発に対する追加の治療を伴うファーストラインのADTによる従来の標準治療と比べ、診療を変える利益が示された。

 

イギリス、ロンドンにあるユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、Institute of Clinical Trials and Methodology(臨床試験および方法論研究所)、UCL大学・MRC 臨床試験ユニットのMatthew R. Sydes氏は、STAMPEDE試験(NCT00268476)のデータを発表した。本試験は、多群多段階プラットホームのランダム化対照プロトコルであり、高リスクの局所進行または転移性前立腺がんに対する長期のアンドロゲン除去療法(ADT)を開始したばかりの患者を募集した。ドセタキセル+プレドニゾンおよび標準治療と、標準治療単独との比較に対する患者の募集は、アビラテロン+プレドニゾンおよび標準治療と標準治療単独との比較に対する患者の募集と16カ月間重複した。これらの同時期にランダム化された患者に関するデータが発表された。標準治療は2年以上の長期ADTであった。

 

生存期間はドセタキセルが有意である一方、無増悪生存期間(PFS)、骨関連事象(SRE)および無転移生存期間(MFS)はアビラテロンが有意

 

標準治療およびドセタキセル75mg/m2を3週間ごとに6コース+プレドニゾン5mgを1日2回投与する群(189人)、または標準治療およびアビラテロン酢酸エステル1,000mg+プレドニゾン5mgを毎日、病勢が進行する(または標準治療の一部として放射線療法が計画された無転移患者では最大2年)まで投与する群(377人)に、患者を層別化およびランダム化した。患者の60%は、登録時にM1に分類され、76%はグリーソンスコアが8~10であった。患者の年齢の中央値は66歳で血清PSA中央値は56ng/mlであった。

 

主要評価項目はあらゆる原因による死亡であった。解析には、Cox比例ハザードモデルおよびフレキシブルパラメトリックモデルを用い、層別因子で調整した。

 

追跡期間中央値は4年で、その時点で149人が死亡していた。そのうち45人は標準治療およびドセタキセル+プレドニゾン群で、111人は標準治療およびアビラテロン+プレドニゾン群であった。生存期間の比較のハザード比(HR)は1.16(95%信頼区間[CI] 0.82~1.65)、治療成功生存期間のHRは0.51(95%CI 0.39~0.67)、無増悪生存期間(PFS)のHRは0.65(95%CI 0.48~0.88)、転移無増悪生存期間(MPFS)のHRは0.77(95%CI 0.57~1.03)、そして症候性骨関連事象(SSE)のHRは0.83(95%CI 0.55~1.25)であった。

 

グレード3、4、5の毒性の発生は、標準治療およびドセタキセル+プレドニゾン群でそれぞれ36%、13%、1%であったのに対し、標準治療およびアビラテロン+プレドニゾン群でそれぞれ40%、7%、1%であった。

 

病勢進行時の治療選択肢は全く異なるものであり、多くの患者が別の治療を受けた。

 

結論

STAMPEDE試験では、ホルモン未治療の前立腺がん患者に対する2つの新たな標準治療の比較解析を、直接、ランダム化して実施している。この比較は、このプロトコルの新たなプラットフォームデザインだからこそ可能であった。治療成功生存期間および無増悪生存期間は、標準治療およびアビラテロン+プレドニゾンが明らかに有意であり、確実性は低いが、無転移生存期間も標準治療およびアビラテロン+プレドニゾンが有意であった。しかし、本デザインでは、アビラテロンは病勢進行まで投与したのに対し、ドセタキセルは治療開始時に短期間投与した。つまりドセタキセルを投与した患者は、ドセタキセルの再投与など、再発時により多くの救済オプションがあったことを意味する。これによって、治療成功生存期間および無増悪生存期間はアビラテロンが有意であるが、全生存期間または補正生存率では決定的な差は認められなかったという矛盾について説明できる。1つ以上の「重度」の毒性を有する患者の割合は両群間で同等であったが、毒性の種類は全く異なるものであった。

 

これらのデータは、両方の薬剤が選択肢として利用可能な場合に、臨床医および患者が適切な選択をするのに役立つと考えられる。

 

「The Changing Landscape of Prostate Cancer」と題する討論において、イタリア、ローマのSan Camillo and Forlanini Hospital、腫瘍内科のCora Sternberg氏は、アンドロゲン除去療法(ADT)へのアビラテロン+プレドニゾンの追加は、臨床的に有効な治療選択肢であり、初回の治療を開始している男性に対するドセタキセルの代わりになると述べた。これら2種類の薬剤のどちらか、またはこれらの併用が最も有効なのかどうか、そして誰に対して最も有効なのかという課題に取り組むため、さらなる研究が必要である。

 

情報開示

本試験は、キャンサーリサーチUK、医学研究審議会、Janssen社、Astellas社、Clovis Oncology社、Novartis社、Pfizer社、Sanofi-Aventis社から資金提供を受けた。

 

参考文献

LBA31_PR – Sydes MR, et al.

Adding abiraterone acetate plus prednisolone (AAP) or docetaxel for patients (pts) with high-risk prostate cancer (PCa) starting long-term androgen deprivation therapy (ADT): directly randomised data from STAMPEDE (NCT00268476).

原文掲載日

翻訳生田亜以子

監修東光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/福島県立医科大学白河総合診療アカデミー)

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