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膀胱がんの二次治療でペムブロリズマブは良好な結果

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膀胱がんの二次治療でペムブロリズマブは良好な結果

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

マドリードで開催された2017年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)(1)で発表されたKEYNOTE-045試験の最終結果は、初回化学療法後にチェックポイント阻害剤ペムブロリズマブを投与された進行性尿路上皮がん患者では、生存期間が代替化学療法レジメンと比較して有意に延長したことを証明した。

 

最新データは、今年すでに発表された中間解析結果(2)を支持するものであり、「きわめて死亡率の高い転移性尿路上皮がんにとって画期的な結果です」と、本研究の筆頭著者であり、オランダのロッテルダムにあるエラスムス大学メディカルセンターのRonald de Wit医師は述べた。

 

「ペムブロリズマブは、二次治療において、化学療法よりも生存率が改善した最初の薬剤です。すべての患者がチェックポイント阻害剤の有益性を得るわけではありませんが、治療効果を認めた患者の多くに非常に持続的な効果が確認され、1年を超える患者もみられました」とde Wit医師は述べた。

 

第3相試験では、プラチナベースの化学療法後に再発または進行が認められた尿路上皮がん患者に、ペムブロリズマブを投与する群(n = 272)と、試験責任医師が選択したパクリタキセル、ドセタキセル、またはビンフルニンのいずれかによる化学療法を投与する群(n = 270)にランダムに割り付けた。

 

22.5カ月間の追跡期間の結果より、全生存期間(OS)中央値が、ペムブロリズマブ群(10.3カ月)では化学療法群(7.4カ月)より約3カ月延長した。中間解析時よりもハザード比(HR)が0.73から0.70(P=0.0003)とさらに改善した、とde Wit医師は述べた。

 

無増悪生存期間(PFS)中央値には有意差が認められなかった(ペムブロリズマブ群2.1カ月vs化学療法群3.3カ月、HR, 0.96, P = 0.32)。

 

「化学療法による二次治療においても一部の患者で治療効果は得られますが、奏効期間は短く、有害事象によって長期的な治療が妨げられることもあります。それに対して、ペムブロリズマブの忍容性は良好で、全グレードにおける治療関連の有害事象の発現率は、ペムブロリズマブ群の62.0%に対して化学療法群では90.6%でした」とde Wit医師は述べた。

 

さらに、今年すでに報告された治療開始から15週目のQOL(生活の質)は、ペムブロリズマブ群でより良好な結果を示した。 「全般的にみて、優れた生存率、良好な安全性プロファイル、および優れたQOLは、ペムブロリズマブが尿路上皮細胞がんの二次治療として新しい標準治療になるでしょう」とde Wit医師は結論を述べた。

 

英国ウォーリック大学(コヴェントリー市)およびQueen Elizabeth病院がんセンター(バーミンガム市)のMaria De Santis医師は、本研究へのコメントとして、「これらのKEYNOTE-045試験の最新結果は重要です。プラチナ製剤による治療歴のある患者において、ペムブロリズマブ群では化学療法群(試験担当医師の選択)よりOSを延長するることが確認されたからです。PFSに関しては、ペムブロリズマブの優越性が示されなかったことはきわめて重要です。本試験では、両治療群のPFSの曲線は6カ月以降に分離し、ペムブロリズマブ群が優位となりました。PFSはペムブロリズマブのよい代替エンドポイントではないので、今回の最新結果が示す、裏付けられた確固たるOSの優越性はますます重要なデータとなります。昨年の初回報告時のHR0.73と比較して、今回の報告ではさらに優れたHR0.70が認められたことから、ペムブロリズマブのOSの優越性が確認されました」と述べた。

 

De Santi医師はこの免疫療法の特異性を化学療法と比較して次のように述べた。「奏効した患者の20%は優れた持続的な治療効果を示し、化学療法に比べて重篤な有害事象の発現率が低く、良好な安全性プロファイルを持っていることです。有害事象のために治療中止に至った患者は化学療法群と比較してペムブロリズマブ群で少なかったことが明らかとなりました。重篤な免疫関連有害事象は稀でした。これらの結果は、尿路上皮がんの患者は複数の合併症を有する高齢者が多いことから、特に重要です」。

 

参考文献
1. AbstractLBA37_PR ‘Pembrolizumab (pembro) versus paclitaxel, docetaxel, or vinflunine for recurrent, advanced urothelial cancer (UC): mature results from the phase 3 KEYNOTE-045 trial’ will be presented by Dr Ronald de Wit during Poster Discussion Session ‘Genitourinary tumours, non-prostate’ on Sunday,10.09.2017, 14:45 – 16:15 (CEST), Cordoba Auditorium
2. N Engl J Med 2017;376:1015-26

 

要旨LBA37_PR

再発性または進行性尿路上皮がん患者を対象としたペムブロリズマブとパクリタキセル、ドセタキセル、またはビンフルニンの比較:第3相KEYNOTE-045試験の最新結果

 

R. de Wit1, D.J. Vaughn2, Y. Fradet3, J.-L. Lee4, L. Fong5, N.J. Vogelzang6, M.A. Climent7, D.P. Petrylak8, T.K. Choueiri9, A. Necchi10, W.R. Gerritsen11, H. Gurney12, D.I. Quinn13, S. Culine14, C.N. Sternberg15, Y. Mai16, M. Puhlmann16, R.F. Perini16, J. Bellmunt9, D.F. Bajorin17
1Medical Oncology, Erasmus MC Cancer Institute, Rotterdam, Netherlands, 2Medical Oncology, Abramson Cancer Center of the University of Pennsylvania, Philadelphia, PA, USA, 3Medical Oncology, CHU de Québec-Université Laval, Québec City, QC, Canada, 4Medical Oncology, Asan Medical Center and University of Ulsan College of Medicine, Seoul, Korea, Republic of, 5Medical Oncology, University of California, San Francisco, San Francisco, CA, USA, 6Medical Oncology, Comprehensive Cancer Centers of Nevada, Las Vegas, NV, USA, 7Medical Oncology, Fundación Instituto Valenciano de Oncología, Valencia, Spain, 8Medical Oncology, Smilow Cancer Hospital at Yale University, New Haven, CT, USA, 9Medical Oncology, Dana-Farber Cancer Institute, Boston, MA, USA, 10Medical Oncology, Fondazione IRCCS Istituto Nazionale dei Tumori, Milan, Italy, 11Medical oncology, Radboud University Medical Center, Nijmegen, Netherlands, 12Medical Oncology, Westmead Hospital and Macquarie University, Sydney, NSW, Australia, 13Medical Oncology, University of Southern California Norris Comprehensive Cancer Center and Hospital, Los Angeles, CA, USA, 14Medical Oncology, Hôpital Saint-Louis, Paris, France, 15Medical Oncology, San Camillo Forlanini Hospital, Rome, Italy, 16Medical Oncology, Merck & Co., Inc., Kenilworth, NJ, USA, 17Medical Oncology, Memorial Sloan-Kettering Cancer Center, New York, USA

 

背景:第3相KEYNOTE-045試験(NCT02256436)において、ペムブロリズマブは、再発性または進行性尿路上皮がんに対して試験責任医師が選択した化学療法(パクリタキセル、ドセタキセル、またはビンフルニンのいずれか)よりも有意にOSを延長した。この非盲検試験の最新結果を発表する。

 

方法:組織学的または細胞学的に尿路上皮がんと診断され、プラチナ製剤による化学療法後に進行した2レジメン以内の全身治療歴を有し、測定可能な病変(RECIST v1.1)を有するECOG PS が0~2の患者をペムブロリズマブ200mgを3週間ごとに投与する群とパクリタキセル175mg/m2、ドセタキセル75mg/m2、またはビンフルニン320mg/m2のいずれかを3週間ごとに投与する群に1:1でランダムに割り付けた。主要評価項目はOSおよびPFS、副次評価項目は奏効率や安全性等とした。有効性は全患者およびPD-L1 combined positive score(CPS; PD-L1発現を示す腫瘍細胞や炎症細胞の割合)が10%以上のPD-L1陽性患者で評価した。

 

結果:ペムブロリズマブ群に270人、化学療法群に272人が割り付けられた。ベースライン時の患者背景は両治療群間で同様であった。 2017年5月19日時点で、両治療群の追跡調査期間の中央値は22.5カ月であった。OS中央値は、ペムブロリズマブ群において化学療法群よりも有意な延長が認められ(10.3カ月vs 7.4カ月; HR, 0.70; P = 0.0003)、CPS10%以上の患者でも同様であった(8.0カ月vs 5.2カ月; HR, 0.58; P = 0.003)。 年齢、肝転移の有無、ヘモグロビン濃度、内臓転移の有無、化学療法の選択にかかわらず、化学療法群と比較してペムブロリズマブ群でOSの延長が認められた。18カ月OS率はペムブロリズマブ群で33.2%(95%信頼区間CI, 27.5-38.9)、化学療法群で19.7%(95%CI,14.7-24.8)であった(カプラン・マイヤー推定)。両治療群においてPFS中央値に有意差は認められなかった(2.1カ月vs 3.3カ月; HR, 0.96; P = 0.32)。奏効率はペムブロリズマブ群で21.1%(95% CI, 16.4-26.5)、化学療法群で11.0%(95% CI, 7.6-15.4)であった。ペムブロリズマブの奏効は化学療法よりも長期に及んでいた(奏効期間の中央値は、ペムブロリズマブ群未到達[1.6カ月以上〜24.6カ月以上]vs化学療法群4.4カ月[1.4カ月以上〜24.0カ月以上])。治療関連の有害事象は全グレードで、ペムブロリズマブ群62.0%、化学療法群90.6%であった。 グレード3以上の治療関連有害事象はペムブロリズマブ群で16.5%、化学療法群で50.2%の患者に発現した。

 

結論:追跡調査期間の追加により、ペムブロリズマブ群は化学療法群(パクリタキセル、ドセタキセル、またはビンフルニン)と比較してOSの延長が引き続き認められた(データカットオフ日2016年9月7日、 HR, 0.70 vs 0.73)。さらに、ペムブロリズマブでは継続的な効果が引き続き確認された。ペムブロリズマブは再発性または進行性尿路上皮がん患者において化学療法よりも優れた安全性プロファイルを有している。

 

臨床試験番号:ClinicalTrials.gov、NCT02256436、2014年9月29日

 

本試験の管理責任所在先:
Merck&Co.、Inc.、Kenilworth、NJ、USA
資金調達:Merck&Co.、Inc.、Kenilworth、NJ、USA
キーワード:尿路上皮がん、化学療法、PD-1、ペムブロリズマブ

原文掲載日

翻訳小熊未来

監修榎本 裕 (泌尿器科/三井記念病院)

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