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KIT/PDGFR阻害剤DCC-2618が消化管間質腫瘍に有望

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KIT/PDGFR阻害剤DCC-2618が消化管間質腫瘍に有望

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

スペイン、マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2017年年次総会で示された臨床試験での知見によると、チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)治療によって生じた広範囲な変異に活性を示す、強力なKITおよびPDGFRのキナーゼスイッチコントロール阻害剤であるDCC-2618は、消化管間質腫瘍(GIST)患者に対し、見込みのある反応を示した。

 

GISTの治療薬として既に承認されたチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は、主として、KIT遺伝子のATP結合ポケットのエクソン13、14、あるいはエクソン17、18にみられる活性化ループ変異の一種によって起こる作用を阻害する。これらの領域は、GISTにおけるイマチニブ抵抗性の要因となっていることが知られるが、既承認のTKIは、これらの全領域にわたっては効果を示さないと米国ヒューストンにあるテキサス大学MDアンダーソンがんセンターInvestigational Cancer Therapeuticsの准教授Filip Janku博士は説明する。それゆえに、既承認のTKIは、既知の抵抗性のKIT遺伝子変異すべてに効果を示すわけではない。

 

DCC-2618は、イマチニブ治療において現れる幅広い抵抗性変異に対して活性を持つKIT/PDGFRに対する強力なスイッチコントロール阻害剤である。 

 

Janku博士のグループは、1日40〜400 mgの範囲で経口投与によるDCC-2618の用量漸増試験を実施した。すでに投与されたTKIに対して耐性をもつGIST患者にDCC-2618を1日1~2回、28日間投与した。用量漸増期間の後、延長期間を設けた。延長期間の投与用量は1日150 mgとした。

 

用量漸増期間中は投与前と投与開始3週間後にPET検査を行い、CT検査は2治療周期ごとに行った。試験期間中、血漿cfDNAの次世代シークエンス解析を行い、KIT、PDGFRおよびその他の遺伝子の変異を確認した。試験責任医師は、血漿cfDNAとがん組織の遺伝子変異が一致するかどうかも確認した。

 

登録患者56人中、KIT変異が原因のGISTは42人、PDGFR変異が原因のGISTは4人であった。
患者は、平均3.4回の前治療を受けていた。

 

DCC-2618の忍容性および安全性プロファイル

試験責任医師は、DCC-2618は患者に対し忍容性があることを示した。安全性について患者70人の安全性解析集団で解析を行った。投薬により発現した有害事象の10%以上がグレード3/4として1回以上報告され、それらは、貧血が19人、無症状のリパーゼ増加が13人、高血圧が6人、クレアチニンホスホキナーゼ上昇 2人、非抱合型ビリルビン増加が2人であった。グレード3の非抱合型ビリルビン増加は2人ともUGT1A1遺伝子多型は28 *(TA)7/(TA)7のホモ接合型であった。

 

グレード3/4で用量制限毒性となったリパーゼ増加はそれぞれ100 mgと200 mgの1日2回投与を行った2人で、クレアチニンホスホキナーゼ上昇 は1日150 mg投与した1人で認められた。

 

KIT変異がある大部分の患者でPETの異常集積が減少

KITかPDGFRに変異があるGIST患者32人中22人(69%)では、PET検査により、EORTCの判定基準ではpartial metabolic response(PETの異常集積の顕著な減少)となった。評価可能な患者37人のうち5人で、RECIST基準によると部分奏効となった。1日100 mgの用量でDCC-2618投与を受けた評価可能な患者24人のうち14人では無増悪生存期間が6カ月以上となった。そのうちの9人は10周期以上のDCC-2618投与を受けた。

 

血漿cfDNAの次世代シークエンス解析により、KIT遺伝子のエクソン9、11、13、14、17、18の変異比率(MAF)が減少したことが明らかになった。

 

結論

DCC-2618は、他の薬を何度も投与して効果がなかった他覚症状を示すGIST患者の病状をコントロールし、病状を安定化する可能性を示した。

 

すべてのエクソンにおいて抵抗性変異の変異比率 を著しく減少させたことは、イマチニブ抵抗性を示す患者においてDCC-2618を使用できることを裏づける。

 

情報開示

この試験はDeciphera社によって実施された。

 

参考文献

1473O – Janku F, et al. Encouraging activity of novel pan-KIT and PDGFRα inhibitor DCC-2618 in patients (pts) with Gastrointestinal Stromal Tumor (GIST).

原文掲載日

翻訳春田裕子

監修遠藤 誠(肉腫、骨軟部腫瘍/九州大学病院 整形外科)

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