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切除可能食道胃がんにドセタキセル中心の3剤療法が有効

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切除可能食道胃がんにドセタキセル中心の3剤療法が有効

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2017(マドリッド)で発表された最新のFLOT4研究の結果で、切除可能食道胃がん患者において標準治療に対するドセタキセルを中心とした3剤療法の優位性が確認された[1]。

 

切除可能食道胃がんの予後は不良である。5年全生存率は手術を行った場合には約25%で、エピルビシン+シスプラチン+フルオロウラシル注入の周術期投与レジメン(ECF)を加えた場合は36%に増える[2]。これまでの第2相試験では周術期ドセタキセル+オキサリプラチン+フルオロウラシル/ロイコボリン併用療法(FLOT)の有望な病理学的奏効割合が示されている。

 

第3相FLOT4試験では切除可能胃がん・胃食道接合部腺がん患者716人を周術期FLOTもしくはECFへ無作為に割り付けた。すでに報告があるとおり、FLOTはECFよりも 治癒切除割合、無増悪生存率、全生存率を含むすべての有効性評価項目で優位であった。

 

研究者たちは、多変量、サブグループ、感度解析の結果を初めて明らかにした。FLOTの相対的効果は高齢者や印環細胞腫瘍患者を含むすべてのサブグループで確認され、特にジーベルト1型食道腫瘍(hazard ratio [HR], 0.60)、バレット腫瘍(HR, 0.62)、小腫瘍(HR, 0.66)、リンパ節転移陰性腫瘍(HR, 0.64)において顕著だった。

 

筆頭著者のSalah-Eddin Al-Batran教授(Institute of Clinical Cancer Research, UCT-University Cancer Centre, KrankenhausNordwest、所長、ドイツ、フランクフルト)は「これらの最新の解析によって、切除可能胃がん・胃食道接合部腺がん患者に対する周術期治療の新しい標準治療となるFLOT療法の優位性が確認された」と述べた。

 

Al-Batran教授は「腫瘍専門医の中には、小腫瘍や印環細胞がん患者は術前に治療を受けないほうが良いという者もいる。FLOT4試験の結果はそれを否定し、治療は患者に利益があることを示す」と締めくくった。

 

ESMOに向けたコメントで、Michel Ducreux教授(ギュスターヴ・ ルシィがん研究所消化管腫瘍ユニット長、フランス、ヴィルジェイフ)は、「FLOT4試験で使用した3剤併用レジメンは、ECFの効果を改善する目的で作られた。エピルビシンの代わりに低用量ドセタキセル、シスプラチンの代わりにオキサリプラチンを使用して毒性を減少させた。ECFプロトコールにおけるフルオロウラシルの持続注入に比べ、FLOTは2週間に1度24時間注入だけですむため使用も容易である」と述べた。

 

Ducreux教授は続けた。「結果からFLOTが明らかに新しい標準治療であると言える。ESMO 2017で発表された新しい解析では、FLOTレジメンの有効性が、予後が非常に不良な高齢患者や印環細胞がん患者などを含むすべてのサブグループでみられたことも示した」。

 

Ducreux教授は「FLOTはこの状況で私たちが使える最良の中心的化学療法となるだろう。さらにもう一歩進むとすれば、分子標的療法や免疫チェックポイント阻害薬を加えることで結果がさらに良くなるかもしれない。また最近、胃がんは4つの分子生物学的サブグループに分けられると提唱されているが、FLOTレジメンの各グループへの効果の違いが分かれば、さらに興味深いものになるだろう」と締めくくった。

 

参考文献

  1. Abstract LBA27_PR ‘Docetaxel, oxaliplatin, and fluorouracil/leucovorin (FLOT) for resectable esophagogastric cancer: updated results from multicenter, randomized phase 3 FLOT4-AIO trial (German Gastric Group at AIO)‘ will be presented by Professor Salah-Eddin Al-Batran during Proffered Paper Session ‘Gastrointestinal tumours, non-colorectal’ on Friday, 8 September 2017, 14:00 to 15:30 (CEST) in the Barcelona Auditorium.
  2. Cunningham D, et al. Perioperative chemotherapy versus surgery alone for resectable gastroesophageal cancer. N Engl J Med . 2006;355:11–20.
  1. Abstract LBA27_PR ‘Docetaxel, oxaliplatin, and fluorouracil/leucovorin (FLOT) for resectable esophagogastric cancer: updated results from multicenter, randomized phase 3 FLOT4-AIO trial (German Gastric Group at AIO)‘ will be presented by Professor Salah-Eddin Al-Batran during Proffered Paper Session ‘Gastrointestinal tumours, non-colorectal’ on Friday, 8 September 2017, 14:00 to 15:30 (CEST) in the Barcelona Auditorium.
  2. Cunningham D, et al. Perioperative chemotherapy versus surgery alone for resectable gastroesophageal cancer. N Engl J Med . 2006;355:11–20.

原文掲載日

翻訳松本千春

監修畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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