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転移性トリプルネガティブ乳がんへの導入療法後ニボルマブ治療が有望

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転移性トリプルネガティブ乳がんへの導入療法後ニボルマブ治療が有望

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

トリプルネガティブの転移性乳がんに対するニボルマブ投与前の低用量化学療法または放射線照射による導入療法は、実行可能である。

 

放射線照射または化学療法にて腫瘍微小環境を調整後のニボルマブ(抗PD1)の奏効率は、任意抽出された転移性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者を対象としたPD-1/PD-L1阻害剤単剤に関する以前の試験で示された奏効率と比較して有望であると、スペイン、マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会年次総会(ESMO 2017)で研究者らが報告した。

 

アムステルダムにあるオランダがん研究所(NKI)のMarleen Kok医学博士が、TONIC-trialの結果を発表した。このアダプティブ第2相ランダム化非比較試験(Eudract番号:2015-001969-49)では、3種類以下の緩和的化学療法を受けた転移性TNBC患者を、2週間導入療法について以下の5つの群のいずれかに割り付けた。1)1つの転移巣に対し放射線8Gyを3サイクル照射する群、2)ドキソルビシンを1週間15mg 、2サイクル投与する群、3)シクロホスファミドを1日50mg経口投与する群、4)シスプラチンを40mg/m2で2サイクル投与する群、5)導入療法を行わない群。これまでのところ、50人の患者の効果が評価可能であった。

 

2週間の導入療法後、iRECIST基準(免疫療法の治験における奏効の評価に対するガイドライン)およびRECIST v1.1基準(固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン)に基づく進行が認められるまで、患者全員が3mg/kgのニボルマブ治療を受けた。治療群への患者の組入れは、導入療法前後で生検を行った評価可能な患者が50人登録されるまで続けられ(第1段階)、「pick the winner(成績が優れた方を選択する)」概念(Simonの2段階デザイン)に従い、第2段階で終了する。

 

追跡期間中央値10.8カ月時点で(範囲1カ月から15.7カ月)、50人の患者の効果が評価可能であった。前治療歴については、患者の20%が前治療歴なし、52%が1種類、28%が2種類以上の前治療を受けていた。

 

任意抽出のTNBC患者を対象とした抗PD-(L)1免疫療法単剤による試験の以前の報告では、奏効率は約5~10%であった。

 

RECIST v1.1に基づくニボルマブの全コホートの客観的奏効率(ORR)は22%で、iRECIST基準では24%であった。これには完全奏効(CR)1人(2%)、部分奏効(PR)11人(22%)が含まれる。さらに、24週間以上持続する安定(SD)は患者1人(2%)で達成され、結果として臨床的有用率(CBR)は26%となった(CBR = CR+PR+SD>24週)。

 

奏効した患者における奏効期間の中央値は、9カ月であった(95%信頼区間[CI] 5.5-NA)。
予備解析では、奏効率はドキソルビシンまたはシスプラチンによる導入療法後に高くなる可能性が示唆された。

 

研究者らはまた、腫瘍生検で浸潤白血球およびCD8陽性T細胞が高値の患者ほど、治療が奏効する可能性が高いことを認めた。

 

結論

以前の研究で抗PD-(L)1治療が転移性TNBC患者に持続的反応をもたらすことが示されているが、奏効率は約5~10%と比較的低く、早急に抗PD-L1治療薬に対する腫瘍微小環境の感受性を高める戦略を明らかにすることが臨床的に必要であると著者らは指摘した。

 

これは、TNBCに対して、放射線照射または化学療法にて腫瘍微小環境を調整した後のニボルマブ治療が実行可能であることを示す最初の試験であり、結果として、任意抽出されたTNBCにおけるPD-1/PD-L1阻害剤単剤に関するこれまでの試験から予測された奏効率よりも有望であることが示された、と著者らは結論づけた。

 

試験結果について考察したGiuseppe Curigliano氏(Istituto Europeo di Oncologia、ミラノ大学。イタリア、ミラノ)は、 この試験は併用療法について調査した非常に画期的な試験であり、化学療法および放射線治療による免疫機構のプライミング(準備刺激)効果に関するデータ、および腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の定量的評価および定性的評価を示していると述べた。

 

本研究の限界は、導入剤の曝露前後での遺伝子変異量(mutational burden)およびTILに関する情報や、有用なER陽性およびHER2陽性の乳がん患者群が不足している点である。(mutational burdenとは、体細胞突然変異の頻度や数が多いがん種、症例において免疫チェックポイント阻害薬の効果が高いことから、免疫原性を規定する因子の1つとして体細胞突然変異の頻度や数が重要であるとする仮説があり、その仮説における変異の頻度や数のことである。)

 

情報開示

本試験は、オランダがん学会、Pink Ribbon、Bristol-Myers Squibb社による資金提供を受けた。

 

参考文献

LBA14 – Kok M, et al. Adaptive phase II randomized non-comparative trial of nivolumab after induction treatment in triple negative breast cancer: TONIC-trial.

原文掲載日

翻訳武藤 希

監修原 文堅(乳がん/四国がんセンター)

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