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177Lu-PSMA617が転移性去勢抵抗性前立腺がんに臨床活性を示す

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177Lu-PSMA617が転移性去勢抵抗性前立腺がんに臨床活性を示す

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

177Lu-PSMA617を用いた治療によって、強い反応とQOLの有意な改善が観察された

 

スペインのマドリードで開催された欧州腫瘍学会の年次総会ESMO2017で発表された研究結果によると、標準的治療の後に進行した進行性転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者の半数以上で、177Lu-PSMA617による治療を受けた後、前立腺特異抗原(PSA)レベルが50%以上低下したということである。初回照射後、多くの患者のQOL(骨の痛みの軽減を含む)が有意に改善されたことが報告された。

 

177Lu-PSMA617はmCRPCの評価段階にある放射線治療法であり、使用する放射標識小分子ルテチウム-177は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)と高い親和性で結合するため、 mCRPCを標的とするベータ粒子線治療が可能になる。

 

メルボルン大学のピーター・マッカラムがんセンター(Peter MacCallum Cancer Centre)の Michael Hofman准教授は、この第2相前向き臨床試験を実施する研究者チームのリーダーである。試験では、標準治療後に進行したPSMA-avid mCRPCの登録患者30人に177Lu-PSMA617を6週間毎に4サイクルまで投与した。177Lu-PSMA617は病院内のradiopharmacy(放射性医薬品担当部署)で製造され、患者が受けた平均被ばく線量は7.5ギガベクレル(GBq)であった。

 

PSA(前立腺特異抗原)レベルは有意に減少

この試験の主要評価項目は、前立腺がんワーキンググループ2(PCWG2)基準に基づく前立腺特異抗原(PSA)の減少、および有害事象共通用語規準(CTCAE) v4による毒性であった。その他の評価項目は、EORTC-QLQ-C30(※)、骨の痛みについての骨痛目録(BPI)質問票、線量測定、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)に基づき測定されたQOLであった。
(※欧州がん研究・治療機構(EORTC)が開発した核となる30項目(C30)のQOL質問票(QLQ))

 

患者は2015年10月から2016年12月の間に登録され、年齢中央値は69歳であった。全体としては、患者の87%が化学療法の治療歴があり、47%が二次治療としてのカバジタキセル化学療法後に進行していた。患者の83%がアビラテロンやエンザルタミドの治療歴があった。PSMA PET(陽電子断層撮影法)において高い取り込みを示した患者だけを試験治療の対象とした。

 

177Lu-PSMA617を用いた治療で高い奏効率

主要評価項目であるPSA値50%以上低下は、患者30人のうちの17人(57%)で達成され、際立った結果として、患者12人(40%)では深い奏効を示し、PSA値低下の割合が80%を上回った。

 

無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)のデータはまだ十分に長くなく、最終的なデータ分析で示されるであろう。

 

最も多い有害事象(AE)として、患者のうち19人(63%)でグレード1の口腔乾燥症、15人(50%)で吐き気が報告された。Lu-PSMAに起因するグレード3以上の血液毒性は5人の患者(17%)で発生した。

 

QOLは、包括的健康尺度を用いて測定されたが、Lu-PSMAの初回サイクルの直後、有意に改善されたスコアを示した。11人の患者(37%)は、包括的健康尺度10ポイント以上の改善を示した。骨の痛みの経験のある患者12人のうち9人(43%) は、平均重症度スコアで有意な改善(10ポイント以上)を示した。

 

結論

治験責任医師は、177Lu-PSMA617は致死性の高いmCRPCの治療法として見込みがあると述べた。彼らは177Lu-PSMA617を用いた本第2相臨床試験によって、従来の治療法が奏効しなかったmCRPC男性患者における高い奏効率、QOL改善をもたらす低い毒性、痛みの減少という証拠が提供されたと結論づけた。

 

標準治療の後に進行した進行性mCRPC患者の半数以上は、177Lu-PSMA617治療を受けた後、PSA値が50%以上低下した。初回照射後、多くの患者において骨の痛みの軽減を含むQOLの有意な改善が報告された。(785O – Hofman MS, et al.)

 

情報開示

外部からの資金援助は報告されていない。
ルテチウム-177はオーストラリア国立原子力研究開発機構(ANSTO)から提供され、PSMA617はAdvanced Biochemical Compoundsから提供された。

 

参考文献

785O – Hofman MS, et al. Lutetium-177 PSMA (LuPSMA) Theranostics Phase II trial: Efficacy, safety and QoL in patients with castrate-resistant prostate cancer treated with LuPSMA.

原文掲載日

翻訳畔柳祐子

監修中村光宏(放射線学物理学/京都大学医学部附属病院)

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