局所進行子宮頸がんに対する化学放射線療法は化学療法+手術に優る | 海外がん医療情報リファレンス

局所進行子宮頸がんに対する化学放射線療法は化学療法+手術に優る

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

局所進行子宮頸がんに対する化学放射線療法は化学療法+手術に優る

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 2017

患者600人以上を対象とした14年間のランダム化試験により、化学放射線療法が依然として局所進行子宮頸がんに対する標準療法であるという結論が示された。この知見は、本日(9月10日)マドリードで開催されているESMO2017会議で発表される。(1)本試験により、術前化学療法+手術で無病生存期間が延長しなかったことが示された。

 

化学放射線療法とは、放射線照射をシスプラチンベースの化学療法と同時に実施する療法を指すが、1999年に化学放射線療法が放射線療法単独で実施する場合よりも転帰が改善することが明らかになった。それ以降、局所進行子宮頸がん患者に対する標準療法となっている。

 

「化学放射線療法でも、子宮頸がんが再発する、あるいはそれにより死亡する患者がいます。そのため、よりよい治療法が必要なのです」、とインド、ムンバイにあるタタ記念センターがん専門医である筆頭著者のSudeep Gupta医師は述べた。「これまでの試験では術前化学療法+手術により放射線治療単独で行った場合と比較して転帰が改善されたことが明らかになりました。しかし、術前化学療法+手術を化学放射線療法による標準療法と比較検証した試験は行われていませんでした」。

 

本試験では、局所進行子宮頸がん患者において、術前化学療法後に腫瘍の外科切除を行うことは化学放射線療法による標準療法と比較して転帰が改善するかどうかを検討した。

 

本試験は、ステージIB2、IIA、あるいはIIBの扁平上皮子宮頸がん患者633人を対象とした。患者を術前化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)+広汎子宮摘出術を行う群あるいは化学放射線療法(標準的な骨盤部照射+シスプラチン)を行う群のいずれかに無作為に割り付けた。主要評価項目は無病生存期間とした。無病生存期間は、再発あるいはがんによる死亡のない生存と定義した。

 

中央値で58.5カ月の追跡期間の後、主要評価項目は化学療法+手術群の患者の30%、化学放射線療法群の患者の23%で発生した。5年無病生存率は化学療法+手術群の69.3%、化学放射線療法群の76.7%であった(p=0.03)。

 

「われわれの仮説の逆説が真となることが判明しました」、とGupta医師は述べた。「化学療法+その後の手術を受けた患者は、標準治療の化学放射線療法を受けた患者よりも5年の時点で生存および無病である確率が低かったのです」。

 

研究チームが全原因死亡を無病生存の定義に含めると、2つの治療群間に有意差がないことが明らかになった。しかし、化学放射線療法群で無病生存期間が延長する傾向が認められた。全生存期間に群間で統計的な有意差は認められなかった。

 

Gupta医師は次のように述べた。「化学放射線療法は、依然として局所進行子宮頸がんに対する標準治療であるべきです」。

 

ESMOで発表された結果に関し、イタリアのナポリにあるイタリア国立がん研究所 IRCCS 「Foundation G. Pascale」泌尿婦人科部長であるSandro Pignata医師は次のように述べた。「本試験は、化学療法+手術と、化学放射線療法という2つの治療戦略を直接比較した最初の試験です。本試験により、化学放射線療法が依然として標準療法であるべきことが示されました」。

 

「子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)により引き起こされ、ワクチン接種や検診により予防できます」、とPignata医師は続けた。「結果として、局所進行子宮頸がんの発症率はヨーロッパでは低下を続けています。しかし、発展途上国での発症率は依然として高いままです。それらの国では最新の放射線療法が利用できないため、術前化学療法+手術という治療法は依然として最適な選択肢かもしれません」。

 

Pignata医師は、化学放射線療法と術前化学療法+手術を比較する2番目の試験となる欧州がん研究治療機関(EORTC)による試験が現在進行中であることを指摘した。Pignata医師は次のように述べた。「EORTC試験が終了すると、2つの試験の組合せ解析により局所進行子宮頸がんに対する最も有効な治療法についての見解がさらに得られる可能性があります」。

 

要旨 928O_PR

ステージIB2~IIBの扁平上皮子宮頸がん患者における術前化学療法+手術(NACT-手術)とシスプラチン+放射線療法(CTRT)との比較:ランダム化比較試験(RCT)

 

S. Gupta1, P. Parab1, R. Kerkar2, U. Mahantshetty3, A. Maheshwari2, S. Sastri3, R. Engineer3, R. Hawaldar4, J. Ghosh1, S. Gulia1, S. Godbole1, N. Kumar2, J. Malliga2, R. Dalvi1, Y. Kembhavi1, M. Gaikar1, R. Ranade2, H. Tongaonkar2, R. Badwe5, S. Shrivastava3

1Medical Oncology, Tata Memorial Centre, Mumbai/INDIA, 2Gynecologic Oncology, Tata Memorial Centre, Mumbai/INDIA, 3Radiation Oncology, Tata Memorial Centre, Mumbai/INDIA, 4Biostatistics, Tata Memorial Centre, Mumbai/INDIA, 5Surgical Oncology, Tata Memorial Centre, Mumbai/INDIA

 

背景:局所進行の子宮頸がんに対する標準治療はCTRT(cisplatin and radiation therapy)となっている。NACT(Neoadjuvant chemotherapy followed by surgery)-手術により転帰が改善できるかどうかについてRCTで検証した。

 

方法:臨床ステージIB2、IIA、あるいはIIBの扁平上皮子宮頸がん患者をパクリタキセル(175mg/m2)+カルボプラチン(AUC 5-6)の3週間投与1サイクルとし、3サイクル行った後に広汎子宮摘出術を行うNACT-手術群、あるいは週1回のシスプラチン(40mg/m2)投与を1サイクルとし、5サイクル行うと共に標準的な骨盤部照射を行うCTRT群のいずれかに無作為割り付けした(ステージにより層別化)。術後照射をper protocol基準により実施した。主要エンドポイントは無病生存期間(DFS、再発あるいは死亡のいずれかが発生するまでの期間)とし、一方、副次的エンドポイントは全生存期間(OS)および毒性とした。CTRT(対照群)のDFSを65%と想定し(両側検定α=0.05、検出力=80%)、NACT-手術群の5年DFSの絶対的増加が10%で示されるように本試験をデザインした。被験者数は730人を予定した。

 

結果:試験登録は、2003年9月~2015年2月の間に患者635人を無作為化した後に中止した。登録患者のうち2人が適格性に違反していた。残る633人(NACT-手術群=316人、CTRT群=317人、intention-to-treat集団)では、113人(17.9%)がステージIB2、158人(25.0%)はIIA、および362人(57.2%)がIIBであった。試験群のステージ、年齢、ヘモグロビン値、全身状態、および画像上での骨盤リンパ節転移の有無についてはバランスが取れていた。解析時点で(データ締め切り時点=2017年3月30日)、追跡調査期間中央値は58.5カ月であり、NACT-手術群で105件のDFSイベントおよび80件の死亡が発生し、また、CTRT群ではそれぞれ87件および80件発生した。5年DFS(NACT-手術群67.5%対CTRT群72.2%、ハザード比[HR]=1.299、95%CI 0.977~1.725、P=0.07)、5年OS(それぞれ74.8%対74.7%、HR=1.025、95%CI 0.752-1.398、P=0.87)に関しNACT-手術群とCTRT群との間に有意差は認められなかった。予後因子について補正したところ、DFSおよびOSにおいてNACT-手術のCTRTに対する有意性が認められなかった。両群の毒性パターンはいくぶん相違が認められたものの許容可能であった。

 

結論:局所進行の扁平上皮子宮頸がんにおいて、術前化学療法+広汎子宮摘出術のシスプラチンを用いた同時併用化学放射線療法に対する優位性は認められなかった。

 

臨床試験番号:ClinicalTrials.gov number NCT00193739

キーワード:術前、化学療法、化学放射線療法、子宮頸

資金:タタ記念センター(ムンバイ)、原子力臨床試験ユニット部門

情報開示:この研究の著者らは、全員利益相反はないと宣言している。

原文掲載日

翻訳三浦恵子

監修勝俣範之(腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2乳がん検診におけるマンモグラフィの検査法を比較する新...
  3. 3免疫療法薬の併用はタイミングと順序が重要
  4. 4FDAがHER2陽性早期乳がんの延長補助療法にネラチ...
  5. 5リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  6. 6ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  7. 7FDAが皮膚未分化大細胞リンパ腫にブレンツキシマブ・...
  8. 8血中循環腫瘍DNAに基づくリキットバイオプシーの可能...
  9. 9若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  10. 10アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他