腹部脂肪は閉経後女性のがんリスクを高める可能性 | 海外がん医療情報リファレンス

腹部脂肪は閉経後女性のがんリスクを高める可能性

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

腹部脂肪は閉経後女性のがんリスクを高める可能性

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

閉経後女性のがんリスクに関して言えば、体幹の体脂肪分布が体重より重要であることが、マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2017で発表された研究で明らかになった。

 

その知見は、腹部の重量増加の傾向があるこの年齢層の女性における体重管理の優先事項に新たな解釈を加えたと、Line Mærsk Staunstrup氏は述べた。同氏は、デンマークのヘアレウでNordic Bioscience社およびProScion社と研究を行っている理学修士、博士課程の学生である。

 

「がんリスクを評価する際、体重指数(BMI)と脂肪率では脂肪の分布を評価できないため、適切な指標にはならない可能性があります」とMærsk Staunstrup氏は説明した。「中心性肥満にならないようにすることが最善の予防法になると思われます」。

 

今回の知見は、前向き疫学的危険因子研究によるもので、この研究は閉経後のデンマーク人女性における加齢に伴う疾患に関する理解を深めるためにデザインされた観察前向きコホート研究である。

 

5,855人の女性(平均年齢71歳)に対して、体脂肪および体脂肪組成を評価するため、ベースラインとして二重エネルギーX線吸収法(DXA)スキャンを実施し、その後12年間追跡調査した。

 

全国がん登録からの情報を用いて記録された固形がん女性患者811人について、末端脂肪に対する腹部脂肪の比率がベースライン後12年までのがん診断の有意な独立予測因子であったことが示された[ハザード比(HR):1.30、95%信頼区間(CI):1.11~1.52、p値:< 0.001]。BMIにも脂肪率にも有意性はなかった。

 

811人の内訳は、乳がんおよび卵巣がん患者293人、肺がんおよび消化管がん患者345人、他のがん患者173人であった。特定のがんおよび危険因子を詳しく調べた結果、末端脂肪に対する腹部脂肪の高比率に関連があるのは肺がんと消化管がんだけであった(肺がんの場合HR: 1.68、95% CI:1.12~2.53、p値:< 0.05。消化管がんの場合HR:1.34、95% CI: 1~1.8、p値:< 0.05)。

 

上記以外のがん危険因子は、加齢、ホルモン補充療法への曝露および喫煙であったが、これらの危険因子について調整後も、依然として脂肪比は独立危険因子であった。

 

「平均的な中年女性にとってこの情報は非常に有用です。なぜなら、閉経期への移行で体脂肪が中心部の体幹部分へ移っていくことがわかっているからです。そのため、中年女性は、閉経前期の年齢に近づくとき、特にライフスタイルに対する意識を高めるべきなのです」とMærsk Staunstrup氏は述べた。「臨床医は、がんリスクが高い女性に予防の話をする際にこの情報を加えてもよいでしょう。ほとんどの病院で臨床医は全身DXAスキャナーを利用できます。一方、携帯用DXAスキャナーが市販されるようになり、骨や脂肪の局所的なスキャンが可能となりましたが、中心性肥満の測定に関しては最も信頼性が高いというわけではないと思われます」とMærsk Staunstrup氏は結論づけた。

 

本研究に対するコメントとして、Galliera Hospital(イタリア、ジェノバ)のAndrea De Censi医師は、本研究は、複数のがんの原因として肥満および特にインスリン耐性の役割に重要な確証をもたらしたと述べた。

 

「肥満ががんリスクと関連があることは以前からわかっていますが、肺がんとの関連は新しく興味深いです」とDe Censi医師はコメントした。

 

「インスリンの増加は、じゃがいも、小麦、米、とうもろこしなどの炭水化物の過剰摂取によるものであり、特に内臓や腹部での脂肪蓄積につながります」とDe Censi医師は説明した。インスリンにはまた、ホルモン産生における有害作用があり、脂肪組織内の脂肪細胞は全身で慢性炎症を増加させ、複数のがんの危険因子となる。

 

「これらのデータは、臨床医が肥満患者に対して多数の介入を開始するきっかけとなります。ダイエットや運動による体脂肪減少に加え、メトホルミンなどの糖尿病治療薬にはインスリン作用を低下させ、がん予防に寄与するという潜在的役割があるかもしれません」。

原文掲載日

翻訳太田奈津美

監修尾崎由記範(臨床腫瘍科/虎の門病院)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  2. 2BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  3. 3リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5FDAがCAR-T 細胞療法Yescartaを成人大...
  6. 6ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  7. 7コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  8. 8脊髄転移に対する組織内レーザー温熱療法
  9. 9乳がん治験薬エンドキシフェン、NCIの支援により研究...
  10. 10濾胞性リンパ腫治療の新時代

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他