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診療時の腫瘍マーカー検査は不要な可能性

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診療時の腫瘍マーカー検査は不要な可能性

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)ESMO2017

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2017(マドリッド)で発表予定の研究によると、診療において大多数の腫瘍マーカー検査は不要である。マーカー検査はたった2%の患者のがん診断にしか役に立っていなかった。

 

腫瘍マーカーは、通常より高濃度でがん患者の組織、血清、もしくは他の体液に発現する可能性のある分子である。腫瘍マーカーは特定の状況における診断の補助に用いられることがあるが、2つ以上のマーカー検査を行うことは推薦されていない。

 

「診断における不適切な腫瘍マーカー使用は不安の原因となったり、不要な検査を増やしたり、正確な診断を遅らせたり、費用を膨らませたりしている」と、筆頭著者でサウス・ウエスト・ウェールズがんセンター(英国)腫瘍臨床事務官であるCraig Barrington医師は述べる。「急性腫瘍サービスを開始後、一次治療と二次治療で、がんを疑う症状や検査結果の患者に対して一通りの腫瘍マーカー検査を使用している臨床医がみられた」。

 

研究では、6カ月間でアベタウェ・ブロ・モウガンウッグ大学保健委員会(ウェールズ)において一次治療と二次治療で腫瘍マーカーの複数使用をした数を調査した。腫瘍マーカーの複数使用とは、患者1人について2週間に2つ以上の腫瘍マーカーと定義された。研究者らは複数の腫瘍マーカー検査を行った結果、がんと診断された患者数と、マーカーがその診断に役に立っていたかを調査した。

 

一次治療と二次治療の両方において1,747人で腫瘍マーカーの複数使用があった。そのうち、297人の患者(17%)は後にがんと診断されたが、腫瘍マーカーが診断に貢献したのはたったの35人(2%)である。

 

一次治療での腫瘍マーカー複数使用985人のうち、後にがんと診断された患者は50人(5%)で、腫瘍マーカーが役に立った患者は5人(0.5%)であった。二次治療での使用762人のうち、後にがんと診断された患者は244人(32%)、腫瘍マーカーがその診断に貢献した患者は30人(4%)であった。期間を12カ月間として推定すると、この不要な検査費用は95,000ポンド以上となる。

 

「ほとんどの腫瘍マーカーの複数使用はがん診断に結びついていない」とBarrington医師は述べる。「がん発見時、ほとんどの患者に腫瘍マーカーは診断に役立っていない」。

 

研究では不要な腫瘍マーカー検査が患者に及ぼす影響は調査していないが、Barrington医師は「われわれの経験やこれまでの研究では、不要な検査は不安の原因となったり、正確な診断や治療を遅らせたり、役に立たない余分な検査につながり、費用を膨らませたりしていることを示している」と述べた。

 

Barrington医師は「がんの疑いのある患者の診断における腫瘍マーカーの適時使用を臨床医に理解してもらうため教育が必要である」と締めくくった。

 

この結果に対するコメントとして、ESMO教員調節官で腫瘍内科専門医のJudith Balmaña医師(バル・デブロン大学病院(スペイン、バルセロナ))は、「この研究は、臨床医ががんの疑いのある患者に対する診療で複数の腫瘍マーカー分析を望んでいることを明らかにした。しかし、腫瘍マーカー分析はがん診断への貢献は少なく、経済的な意味合いをもつものである」と述べた。

 

Balmaña医師は「特定の臨床領域において 腫瘍マーカー検査は『少ないことに多くの利点』がある。腫瘍マーカーを通常の臨床診療に組み入れることはがん診断にもたらす成果は小さく、コスト高につながり、常識で考えれば患者の精神的負担になると思われる。診療を行う臨床医に対して腫瘍マーカーを使用する臨床上の適切なタイミングについて知ってもらうため教育が必要である」と締めくくった。

原文掲載日

翻訳松本千春

監修斎藤 博(検診研究部/国立がん研究センタ−)

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