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EGFR陽性非小細胞肺がん一次治療にオシメルチニブが標準治療に

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EGFR陽性非小細胞肺がん一次治療にオシメルチニブが標準治療に

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

上皮成長因子受容体(EGFR)変異陽性進行非小細胞肺がん患者においてオシメルチニブは現在の標準治療よりも進行リスクを低下させた

 

エクソン19欠失変異・もしくはL858R置換変異のEGFR変異陽性進行非小細胞肺がん患者における一次治療として、経口治療薬であるオシメルチニブは、標準治療よりも有意に無増悪生存期間(PFS)を延長させることが第3相FLAURA試験の結果により明らかになった。この結果は、スペイン、マドリードで開催されたESMO 2017(欧州臨床腫瘍学会年次総会)で報告された。

 

FLAURA試験では、EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん患者の一次治療として標準治療(ゲフィチニブ、もしくはエルロチニブ)とオシメルチニブを比較した。その結果、オシメルチニブは試験の主要評価項目であるPFSの延長を満たした。中枢神経系転移を有するおよび中枢神経系転移を認めない患者の双方でオシメルチニブは標準治療よりもPFSを延長した。

 

オシメルチニブは、第三世代不可逆性EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)であり、EGFR感受性変異およびEGFR T790M耐性変異の両方を阻害するようデザインされている。EGFR感受性変異陽性非小細胞肺がん患者に対しEGFR-TKIであるゲフィチニブおよびエルロチニブは有効な標準治療薬であるが、この治療薬に対し当初奏効を示す患者のほぼ50~60%でT790M変異が生じ、これにより最終的に抵抗性を示すこととなる。オシメルチニブは血液脳関門を通過するため、中枢神経系病変に対しても効果のある可能性があるとされる。

 

エモリー大学(アトランタ、ジョージア州)の腫瘍内科学教授およびウィンシップがん研究所副部長であるSuresh S. Ramalingam教授は、第3相二重盲検ランダム化FLAURA(NCT02296125)試験の国際チームを代表して結果を報告した。本試験では、エクソン19欠失変異もしくはL858R置換変異の EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん患者の初回治療において、オシメルチニブの有効性と安全性を標準治療のEGFR-TKIであるゲフィチニブもしくはエルロチニブと比較し、評価を行った。

 

本試験では、進行したEGFR変異陽性非小細胞肺がんに対しEGFR-TKIおよび全身抗がん剤治療をこれまでに受けたことのない成人患者を登録した。また、中枢神経系転移を有する神経学的に安定した患者も登録したが、この患者は中枢神経系転移病変に対する治療あるいはステロイド投与を2週間以上前に終了していることを条件とした。患者を経口オシメルチニブ80 mg/日を1日1回経口投与する群(279人)あるいは標準治療のEGFR-TKIであるゲフィチニブ250 mgあるいはエルロチニブ150 mgを1日1回経口投与する群(277人)のいずれかに無作為に割り付けた。変異状態(エクソン19欠失変異 対 L858R置換変異)および人種(アジア人 対 非アジア人)を層別化因子として、両群に平等に割り付けられるように調整した。オシメルチニブ群および標準治療群の患者背景はエクソン19欠失変異で57% 対 56%、L858R置換変異も35% 対 32%の割合であり、偏りがなく割り付けられていた。

 

主要評価項目は、RECIST v1.1基準に基づき試験責任医師が判断するPFSとした。

 

FLAURA試験では、主要評価項目であるPFSが満たされた

データ締め切り時点の2017年6月12日では、試験登録時に中枢神経系転移を有していた患者を含め、すべてのサブグループにおいてオシメルチニブ治療によるPFSの延長が一貫して認められた。

 

PFS中央値は、オシメルチニブ群で18.9カ月(95%信頼区間 [CI]15.2~21.4)であったのに対し、標準治療群では10.2カ月(95%CI 9.6~11.1)であった(ハザード比0.46;95%CI 0.37~0.57;p<0.0001)。PFSイベントの発生数 (病気が進行した患者数)は、オシメルチニブ群では計136人(49%)であったのに対し標準治療群では計206人(74%)であった。

 

両群で全生存期間中央値に到達せず、データの成熟度が約60%に達した段階で算出される予定である。現時点の21%の成熟度でオシメルチニブ群と標準治療群の全生存期間を比較した場合、ハザード比は0.63であった(95% CI 0.45~0.88、p=0.0068)。

 

客観的奏効率はオシメルチニブ群で80%であったのに対し標準治療群では76%であった。しかし、奏効持続期間はオシメルチニブ群で標準治療群の2倍となり、奏効持続期間の中央値は、オシメルチニブ群で17.2カ月(95% CI 13.8~22.0)であったのに対し標準治療群では8.5カ月(95% CI 7.3~9.8)であった。

 

有害事象はオシメルチニブ群でより少なかった

総投与期間中央値は、オシメルチニブ群で16.2(0.1~27.4)カ月であったのに対し、標準治療群では11.5(0~26.2)カ月であった。

 

試験責任医師判断に基づくあらゆる原因による有害事象発生率は、オシメルチニブ群および標準治療群の両方で98%であった。グレード3以上の有害事象の発生率は、オシメルチニブ群では総投与期間中央値が長かったにもかかわらず34%と低かったのに対し、標準治療群では45%であった。もっとも多くみられたオシメルチニブによる有害事象は下痢(58%)および皮膚乾燥(32%)であったのに対し、標準治療群では、57%で下痢、48%でざ瘡様皮膚炎が認められた。グレード3以上の下痢は、オシメルチニブ群の2%、標準治療群の3%で認められた。

 

有害事象のために試験を中断した者は、オシメルチニブ群では13%であったのに対し、標準治療群では18%であった。

 

試験期間中、オシメルチニブ群では58人(21%)、標準治療群では83人(30%)が死亡した。

 

オシメルチニブを規制当局が承認

欧州医薬品庁(EMA)および米国食品医薬品局(FDA)は、転移性EGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん患者の治療として、1日1回服用のオシメルチニブ80 mg錠剤を承認している。

 

EMAの承認は、局所進行または転移性のEGFR T790M変異陽性非小細胞肺がん成人患者の治療に対してである。オシメルチニブ80 mg錠の製品概要には、EGFR T790M変異状態の確認が重要であると記載されている。組織検体由来の腫瘍DNAあるいは血漿検体由来の血中腫瘍DNA(ctDNA)いずれかを用いて妥当性が確認された検査薬によってT790M変異検出を行わねばならない。

 

2017年3月、FDAは、EGFR TKI投与中または投与後に増悪していたことが確認され、FDAが承認した検査薬によってT790Mを検出することを条件に、EGFR T790M陽性転移非小細胞肺がん患者に対する治療薬として、オシメルチニブを通常承認している。

 

結論

研究チームは、EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者における一次治療としてオシメルチニブは標準治療よりも有害事象/治療効果の両面で優れていることを示した、と結論付けた。

 

これらの知見により、すべてのEGFR陽性非小細胞肺がんに対する一次治療としてオシメルチニブの使用が推奨される。

 

情報開示

FLAURA試験はアストラゼネカ社の後援の下行われた。

 

参考文献

LBA2_PR – Ramalingam SSらOsimertinib vs standard of care (SoC) EGFR-TKI as first-line therapy in patients (pts) with EGFRm advanced NSCLC:FLAURA.

原文掲載日

翻訳三浦恵子

監修田中謙太郎(呼吸器内科、腫瘍内科、免疫/九州大学病院呼吸器科)

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