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非小細胞肺がんの術後経過観察に定期的CTは疑問

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非小細胞肺がんの術後経過観察に定期的CTは疑問

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

トピック:肺がんおよび他の胸部腫瘍

 

非小細胞肺がん(NSCLC)完全切除後の経過観察としてコンピュータ断層撮影(CT)を受けた患者と受けなかった患者とで全生存期間(OS)に差が認められないことが、マドリッドでの欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2017年度会議(1)で発表されたIFCT-0302試験の結果、明らかとなった。完全切除後の最適な経過観察の実施手順は確立しないままとなる。

 

まさにこの知見は、多くのガイドラインが推奨する定期的CTが必要でないかもしれないことを示唆している。

 

「群間に差がないことから、いずれの経過観察の実施手順も適切なものと考えます」と、臨床試験医師であるフランス、ブザンソンの地域大学病院センター、ジャン・マンジョ病院(Centre Hospitalier Régional Universitaire, Hôpital Jean Minjoz)のVirginie Westeel教授は述べた。「保守的な視点で考えると、CTは1年ごとの実施でしょう。そしてこれは長期的には有益かもしれません。しかし、術後2年間において、6カ月ごとに定期的CTを行うことは意味のないことかもしれません」とWesteel教授は述べた。

 

Westeel教授が示唆したものは、診療で標準的に実施されているものとは異なる。なぜなら、大多数の医学会や臨床診療ガイドライン(2)では、術後2年間は3カ月から6カ月ごとに経過観察で胸部CTを実施することが適切であると推奨されているからである。

 

本多施設共同試験では、腫瘍を完全切除したI-II-IIIA期の非小細胞肺がん患者1775人が参加し、最初の2年間は6カ月ごと、5年までは1年ごとに経過観察の受診を行った。

 

患者は、経過観察で臨床検査および胸部X線を行う対照群、または対照群の実施項目に加えて胸腹部CTおよび気管支鏡検査(肺腺がんの場合は任意選択)を行う実験群にランダムに割り付けられた。

 

観察期間中央値8年10カ月経過後、全生存に有意な群間差は認められなかった(ハザード比0.95、95%信頼区間0.82~1.09、p=0.37)。全生存期間中央値は対照群で99.7カ月、実験群で123.6カ月であった。

 

3年無病生存率もそれぞれ63.3%と60.2%、8年全生存率も51.7%と54.6%で同様であった。

 

ESMO広報担当である、イタリア、ナポリのカンパニア・ルイジ・ヴァンヴィテッリ大学(University of Campania Luigi Vanvitelli)のFloriana Morgillo博士は本試験についてコメントし、CTによる経過観察で有意な有益性は認められなかったが、CT群(試験対象群)では生存の改善傾向が示されたことから、経過観察期間が長くなると、CTによる経過観察法が有益であることが最終的に明らかになるのではないかと述べた。

 

また一方でMorgillo博士は、CTによる観察は二次がんの発見に有用である可能性があることから、依然として適切な選択肢であると述べた。「早期の非小細胞肺がん患者の相当な割合で、術後2年目から4年目に二次がんが発生しますので、2年後以降CTによる観察で早期発見すれば、治癒に結び付く治療ができる可能性があります」とMorgillo博士は述べた。同博士は、患者はCTによる放射線曝露についても知らされなければならないと付け加えた。

 

参考文献

 

  1. Abstract 1273O ‘Results of the phase III IFCT-0302 trial assessing minimal versus CT-scan-based follow-up for completely resected non-small cell lung cancer (NSCLC)’ will be presented by Virginie Westeel during Presidential Symposium I on Saturday, 9 September 2017, 16:30 to 18:00 (CEST) in the Madrid Auditorium.
  2. ESMO guidelines for Early-Stage and Locally Advanced (Non Metastatic) Non-Small Cell Lung Cancer

原文掲載日

翻訳竹原順子

監修田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学)

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