Palifermin、癌治療による口内痛を減少させる | 海外がん医療情報リファレンス

Palifermin、癌治療による口内痛を減少させる

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

Palifermin、癌治療による口内痛を減少させる

Palifermin Reduces Mouth Sores Caused by Cancer Treatment(http://cancer.gov/clinicaltrials/results/palifermin1204)
(2004/12/21)the Dec. 16, 2004, issue of the New England Journal of Medicineによると、試薬palifermin (Kepivance)が、集中化学療法や放射線療法を受けたリンパ腫や他の血液腫瘍患者の口内炎や痛みの期間、程度の両方を抑えた。


要約
新しい研究によると、palifermin (KepivanceR) と呼ばれる試験薬はリンパ腫や他の血液系のがんの治療として強力な化学療法および放射線療法を受けた患者の口腔内に発生するただれや潰瘍の程度やその持続期間を減少させました。

出典  New England Journal of Medicine  2004年12月16日

背景
大量化学療法と放射線による治療を受ける多くの癌患者は、激痛や、経口による飲食物の摂取困難、重症の感染症に至る原因となる口内炎、口腔のただれ、潰瘍を起こします。鎮痛剤で口内炎の不快感を軽減できる可能性もありますが、癌治療において、よく見られるこの重大な合併症の標準的な予防や治療法はまだありません。

Palifermin (KepivanceR) と呼ばれる試験的な生物学的製剤の予備的研究により、本剤は安全であり、口腔内のただれに対する何らかの予防ができることが示唆されています。 Paliferminは研究室で造られた薬で、ケラチノサイト増殖因子 (KGF) と呼ばれる、自然に存在するヒトタンパクを修飾したものです。

KGFは、皮膚や口腔表面の組織中の細胞を刺激し、分裂、成長させます。動物での試験や早期の臨床試験において、paliferminは天然のKGFと同様にこれらの細胞を刺激し、分裂、成長させることが示されました。 今回の試験は、paliferminのヒトでの第III相無作為、二重盲検、プラセボ対照試験として完了した初めてのものです。

試験
この試験は、全身放射療法と大量化学療法に続いて自家幹細胞移植が行われる予定のリンパ腫と他の血液系のがんの212名の患者で実施されました。

患者は、静注によるpalifermin又はプラセボ投与群に無作為に割り付けられました。全身照射療法を始める前に、3日間連続の投与が行われました。移植を受けた後、再度、3日間連続してpalifermin又はプラセボの投薬が行われました。

特別の訓練を受けた専門家が患者の口腔内のただれの程度を毎日評価しました。移植の8日前に始め、その後4週間続けられました。 患者は口腔内のただれの程度と飲食時や日常生活に及ぼされた困難度を毎日アンケートに書き込みました。

本試験は、カリフォルニアのドゥアルテにあるCity of Hope National Medical Center のRicardo Spielberger医師が中心となり、全米の13施設で行われました。

結果
プラセボを投与された患者のほとんどすべて(98パーセント)が重症な口腔内のただれを発症し、固形食を飲み込むことができないか、数例では経口による飲食が不可能でした。対照的に、paliferminを投与された患者では、63パーセントが同程度の口腔内のただれを発症しました。 この状態は、プラセボ群が中央値で9日続いたのに対し、palifermin群では中央値で6日続きました。

paliferminを投与された患者では、口腔内のただれの減少、および飲食や会話、睡眠の障害といった口腔内のただれから起こる合併症の軽減が報告されました。又、口腔内の痛みに対して使用する鎮痛剤の量がプラセボ投与を受けた患者よりも少なく、又重症な感染症の発生も少ない結果となりました。

この試験の結果に基づき、米国食品医薬品局は大量化学療法および放射線治療の後に幹細胞移植を受ける血液系のがん患者の重症の口内炎の発生やその持続期間を減らす薬剤としてpaliferminを承認しました。

制限事項
本試験にはpaliferminの製造元であるアムジェンInc.から資金が供給されました。

著者からの注意事項として、paliferminは実験室で合成されたヒト増殖因子(細胞分裂と成長を刺激する物質)であるので、理論的に二次癌の成長を促進する可能性があると指摘されています。本試験に参加した患者でこの危険性があるかどうかを評価するための長期のフォローアップが行われています。 12カ月の追跡の結果、病気の進行なしで生存している患者の数はpalifermin群とプラセボ群においてほとんど同様の結果でした。

コメント

この試験の結果は、FDAによって承認された、大量化学療法と放射線療法の後に幹細胞救済を受ける血液の悪性疾患患者の重症の口内炎の発生とその持続期間を減少させるという、paliferminの適応症での使用をサポートしています。

肺癌や移植片対宿主疾患に対する化学療法と放射線治療に伴って起こる嚥下障害等、他の副作用の減少に対するpaliferminの効果を検討する、追加の試験が現在行われています。

(HAJI 訳・島村義樹(薬学) 監修)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  4. 4がんに対する標的光免疫療法の進展
  5. 5若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  6. 6「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  7. 7HER2陽性進行乳癌治療に対する2種類の新診療ガイド...
  8. 8ルミナールA乳がんでは術後化学療法の効果は認められず
  9. 9コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward