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地中海食が大腸の健康に有益な可能性

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地中海食が大腸の健康に有益な可能性

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

2017年世界消化器がん学会プレスリリース

 

大腸の保護に関して、「地中海食」(MD)の利点は良く知られているが、地中海食のどの要素が最も健康によいかを特定することは難しい。

 

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)の第19回世界消化器がん学会で本日発表された新しい研究から、魚および果物を増やすこと、ならびにソフトドリンクを減らすことが三大重要事項であることが示唆される。

 

「われわれは、これらの3つのうちの1つを摂取することで、地中海食の要素をいっさい摂取していない人と比べて、進行した大腸の前がん病変が見つかる確率を30%強減らすことと関係していることを見出しました。健康的に3つすべてを摂取した人では、その効果により合わせておよそ86%確率が低下しました」と、イスラエルのテルアビブにあるテルアビブ・メディカルセンターのNaomi Fliss Isakov博士は述べた。

 

「大腸がんは腸ポリープから発生しますが、赤身肉、アルコールおよび高カロリー食を多量に摂取する低繊維食と関連があることがわかっています」とFliss Isakov博士は述べた。

 

そして、地中海食は大腸がんの発症率が低くなることと関連があるとみなされている一方、地中海食のどの要素が最も有用であるかは、かならずしも明らかにはされていない。

 

集団検診または診断的大腸内視鏡検査を受けた808人の食事調査票を用いて、研究チームは対象者の日常の食事の細目を詳細に調査できた。

 

40~70歳で、大腸がんの高リスク因子のない対象者が、食事摂取頻度調査票に回答した。

 

地中海食をきっちり摂取しているかについては、平均(中央値)よりも多く、果物、野菜、豆類、ナッツ、種子、全粒粉、魚、鳥肉を摂取し、飽和脂肪酸より一価不飽和脂肪酸の割合が高い食事を摂取していること、および平均(中央値)より,赤身肉、アルコールおよびソフトドリンクの摂取が少ないことと定義した。

 

研究者らは、大腸内視鏡検査で異常がなかった対象者に比べて、進行したポリープがあった対象者は、地中海食の要素が少ないと申告していることを見出した(1.9要素対4.5要素)。2~3個の地中海食の要素を摂取するだけで、まったく摂取しない人に比べて進行したポリープを発症する確率が半減するという関連性が認められた。

 

発症率は地中海食の要素が増えるとともに、低下を示した。つまり,摂取した地中海食の要素が多いほど、進行した大腸ポリープの確率が低くなっていた。

 

研究者らは他の食事要素を含むその他の大腸がんリスク因子について調整した結果、進行した大腸ポリープの発症率を低下させる最良の組み合わせは、魚と果物を多く摂取し、ソフトドリンクを少なくすることだと絞った。

 

「次の段階は、大腸がん高リスク群で地中海食がリスク低下につながるかどうかを明らかにすることでしょう」と彼女は結論づけた。

 

研究に対するコメントとして、ESMO広報担当Dirk Arnold医学博士(ポルトガル、リスボン、Instituto CUF de Oncologia)は、「今回の大規模集団に基づくコホート対照研究から、大腸ポリープが食事および他の生活様式の因子と関連があるとの仮説が証明されたのは印象的です。これは、今年これまでに判明しているとおり、ナッツの摂取やビタミンD補充が予防的に働く可能性があることなどの、栄養の効果に対する他の直近の知見とも一致します。しかし、これらの結果が死亡率を減少させることと関連するかどうかはまだわかりませんし、食事を変更することが有益であるかどうか、また、どのタイミングで変更することが有益であるかもはっきりしません。こうした情報が不足してはいますが、他の健康上の理由も考慮すると、地中海食を検討することは道理にかなっています」と述べた。

 

 

Abstract

 

地中海食が進行大腸ポリープのリスク減少に関連~集団ベースの後向き研究より

 

諸言:

大腸がん(以下CRC)はがん関連死の主要な原因として多く認められるものであり、腺種および鋸歯状(きょしじょう)ポリープから徐々に発生する。食事に関するリスクファクターとして確認されているものには赤身肉および加工肉、アルコールや高カロリー食品の過剰摂取、そして植物性食品の摂取不足などがある。集団観察研究では、地中海食を遵守することがCRCのリスク減少に関連すると認められた。この食事の抗腫瘍作用は、食物繊維を多く含む植物性食品、低カロリー食品、赤身肉よりも魚を多く摂ることといった摂取内容によるものであろう。しかし、個々の摂取内容やその組み合わせと進行大腸ポリープとの関連性は明らかになっていない。本研究では、地中海食の個々の摂取内容およびその組み合わせと進行大腸ポリープ(進行腺腫と鋸歯状腺腫)との関連性の評価を目的に、集団ベース後向き研究を行った。

 

方法:

スクリーニング目的あるいは診断目的で大腸内視鏡検査を受けた、40~70歳の患者で、連続した808人を対象に後向き研究を行った。除外したのは、結腸切除術を受けた者、CRCの高いリスクを持つ者、重症者、研究のアンケートに回答できない者などである。すべての参加者に身体計測、診察および日常生活の問診を行い、詳細を半定量式食物摂取頻度調査票(FFQ)に記入した。このFFQはイスラエル人用に改変し、本試験のニーズに合わせたものである。地中海食の遵守とは、野菜や豆類、果物、ナッツ、種子、全粒粉、魚、飽和脂肪酸(SFA)に対する一価不飽和脂肪酸(MUFA)の割合、鳥肉がサンプル中央値を上回るよう摂取すること、そして赤身肉、アルコール、ソフトドリンクはサンプル中央値を下回るよう摂取すること定義した。進行ポリープの症例は以下のように定義した。

進行腺腫(10㎜より大きく高度の異形成あるいは絨毛状組織を認めるもの)、4個以上の非進行腺腫あるいは鋸歯状腺腫、および10㎜以上あるいは高度の異形成を有する鋸歯状腺腫。これらの症例を過去も当時もポリープの既往を持たない対照例と比較した。

 

結論:

地中海食の遵守は進行大腸ポリープと負の関連を示す。すなわち魚と果物を多く摂取し、ソフトドリンクの摂取を減らすといった摂取内容が、個々に、また組み合わせるとなおいっそう、進行大腸ポリープのオッズを減らすことに関連する。大規模前向き研究は、食事のパターンと大腸の腫瘍形成との関連をより明らかにすることができるかもしれない。

 

 

 

 

原文掲載日

翻訳木下秀文(本文)、白鳥理枝(Abstract)

監修畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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