化学療法を受けている期間の卵巣機能抑制が、卵巣機能の保護に役立つ可能性 | 海外がん医療情報リファレンス

化学療法を受けている期間の卵巣機能抑制が、卵巣機能の保護に役立つ可能性

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

化学療法を受けている期間の卵巣機能抑制が、卵巣機能の保護に役立つ可能性

キャンサーコンサルタンツ
2011年6月22日

早期の乳癌で化学療法を受けている若年患者では、卵巣機能を抑制する薬剤を使用することで、早期閉経のリスクが軽減される可能性がある。この研究結果は、米国医師会誌(JAMA)で発表された。

約6%の乳癌患者は、40歳未満で乳癌の診断を受けている。その多くは、化学療法やホルモン療法、またはその両方を受けており、こうした治療のために早期閉経のリスクにさらされている。早期閉経の結果として不妊やホット・フラッシュを含む諸症状が発生する。

妊娠能力の維持を望む若年癌患者は、癌治療を始める前に胚や卵子、あるいは卵巣組織を冷凍保存することができる。治療中の卵巣保護も、卵巣機能と受精能力保存に役立つ可能性があるが、化学療法で誘発される卵巣障害を防ぐための標準的方策は、確立されていない。

性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)類似体として知られる薬剤は、卵巣機能を抑制する。化学療法を受けている期間にこうした薬品の一つトリプトレリンを使用することで、化学療法誘発性の損傷から卵巣を守ることが可能かどうかを評価するために、第3相臨床試験が実施された。本試験には、ステージIからIIIまでの乳癌患者で閉経前の女性281人が登録した。試験参加者は全員、化学療法の対象予定患者であった。

本試験への登録者は、化学療法単独群か、または化学療法とトリプトレリンとの併用群に割り付けられた。トリプトレリン併用群の患者は、化学療法開始の最低1週間前にトリプトレリンを投与され、その後の化学療法実施期間中は4週間毎に投与された。

主要評価となる転帰は、早期閉経である。閉経後のホルモン水準および、化学療法の最終サイクルから1年間、月経が再開しないことをもって、早期閉経と定義した。

  • 最後の化学療法サイクルから1年後、化学療法群の早期閉経率は26%であったのに対し、化学療法とトリプトレリンの併用投与群では9%であった。

 

この療法に関する重要な懸念は、卵巣機能の温存により、ホルモン受容体陽性の乳癌患者の再発リスクが上昇する可能性があることである。この対策として、本試験への登録者のうち、ホルモン受容体陽性の患者で卵巣機能が再開した(月経サイクルまたは閉経期前のホルモン水準による明示)患者については、最低2年間は卵巣機能抑制のためトリプトレリン投与に戻された。また本研究に参加したホルモン受容体陽性の乳癌患者は、さらにタモキシフェンの投与を5年間受けた。

本研究は、化学療法期間中にGnRH類似体を使用することで、若年乳癌患者の早期閉経リスクを下げる可能性を示した。しかしながら本研究は、GnRHの使用が乳癌の転帰に与える影響については言及していない。

妊娠能力と卵巣機能の両方あるいはどちらかの温存を希望する若年乳癌患者は、治療開始前に可能な治療の選択肢について、主治医に相談することが推奨される。

参考文献:Del Mastro L, Boni L, Michelotti A et al. Effect of the gonadotropin-releasing hormone analogue triptorelin on the occurrence of chemotherapy-induced early menopause in premenopausal women with breast cancer. A randomized trial. Journal of the American Medical Association. 2011;306:269-276.

******
片瀬 ケイ 訳
辻村信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)監修
******


原文


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved. These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein. Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc. 本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。 Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。
printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward