2011/07/26号◆思春期小児および若年成人(AYA)癌特別号・癌研究ハイライト「免疫化学的検査によるセンチネルリンパ節での乳癌細胞検出は生存率と関連しない」「放射線+短期ホルモン療法は早期前立腺癌男性の生存率を改善」「ホジキンリンパ腫試験、副作用が治療選択の鍵に」 | 海外がん医療情報リファレンス

2011/07/26号◆思春期小児および若年成人(AYA)癌特別号・癌研究ハイライト「免疫化学的検査によるセンチネルリンパ節での乳癌細胞検出は生存率と関連しない」「放射線+短期ホルモン療法は早期前立腺癌男性の生存率を改善」「ホジキンリンパ腫試験、副作用が治療選択の鍵に」

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2011/07/26号◆思春期小児および若年成人(AYA)癌特別号・癌研究ハイライト「免疫化学的検査によるセンチネルリンパ節での乳癌細胞検出は生存率と関連しない」「放射線+短期ホルモン療法は早期前立腺癌男性の生存率を改善」「ホジキンリンパ腫試験、副作用が治療選択の鍵に」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2011年7月26日号(Volume 8 / Number 15)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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癌研究ハイライト

・免疫化学的検査によるセンチネルリンパ節での乳癌細胞検出は生存率と関連しない
・放射線+短期ホルモン療法は早期前立腺癌男性の生存率を改善
・ホジキンリンパ腫試験、副作用が治療選択の鍵に

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免疫化学的検査によるセンチネルリンパ節での乳癌細胞検出は生存率と関連しない

標準的な組織染色に免疫化学的検査(抗体を用いる癌細胞検出技術)を加えたセンチネルリンパ節での乳癌細胞の検出は、乳癌治療後の生存率の予測に役立たないとみられる。米国腫瘍外科学会(American College of Surgeons Oncology Group:ACOSOG)によるZ0010試験の結果が、7月26日付JAMA誌電子版に発表された。

ジョン・ウェイン癌研究所(カリフォルニア州サンタモニカ)のDr. Armando Giuliano氏を中心とする126病院のACOSOGの研究者は、1999年5月~2003年5月にセンチネルリンパ節を同定できた早期乳癌の女性5,119人について、前向き観察研究を行った。

ほとんどの女性はI期のエストロゲン受容体陽性乳癌であった。91%は全乳房照射を、83%は化学療法を、68%はホルモン療法を受けた。

ほぼ4分の1の女性において、標準的な組織染色でセンチネルリンパ節に癌細胞が検出された。残りの女性のうち85%が免疫組織化学的検査(IHC)を用いて評価された。そのうちの約10%の女性でIHCにより、標準的な組織染色で検出できなかったセンチネルリンパ節への潜在性転移(最初は検出されなかった)が認められた。しかし、IHCでリンパ節に癌細胞が検出された女性と検出されなかった女性の間に全生存率の統計学的な有意差は見られなかった。

検査可能な検体のある女性3,413人で免疫細胞化学検査という類似の検査を実施したところ、104人(3%)の骨髄に潜在性転移が認められた。これらの癌細胞の存在は全生存率の低下と関連していた。しかし、年齢や腫瘍の大きさなど他の因子を含めて解析すると、潜在性骨髄転移と全生存率との相関は見られなくなった。骨髄転移陽性であった症例数が少ないことにより、統計的に有意でなくなったのかもしれないと、著者らは指摘した。

研究者はまた、Z0010試験のほとんどの患者が、免疫組織化学的検査所見にかかわらず米国での標準治療である術後全身療法を受けたと記載している。「したがって、未治療の微小転移の影響は不明であるが、現在の診療とは直接の関連性はない」と著者は記している。というのは、潜在性センチネルリンパ節転移を補助全身療法で治療したとしても生存率に影響を及ぼさないためである。

センチネルリンパ節のIHCは生存率の予測に有用ではなく、また骨髄の吸引生検を早期乳癌患者の日常診療に組み入れるよう推奨するほど潜在性骨髄転移の発生率は高くないため、これらの女性でのセンチネルリンパ節と骨髄の日常的な免疫化学的検査は「臨床的に妥当ではない」と、著者らは結論づけた。

「多くの検査室は現在センチネルリンパ節転移を探す免疫組織化学的検査を実施しているが、本試験はこの高額診療を支持しない」と、NCIの癌治療・診断部門の乳癌診療部長であるDr. Jo Anne Zujewski氏も賛同している。

放射線+短期ホルモン療法は早期前立腺癌男性の生存率を改善

NCIが支援する臨床試験によると、中等度リスクの早期前立腺癌の男性において、放射線療法と、短期的に男性ホルモンを低下させる療法によって、放射線療法単独の治療より全生存率が改善した。この試験結果は、New England Journal of Medicine誌7月14日号に発表された。

米国とカナダの212施設でRTOG(米国腫瘍放射線治療グループ)により実施された試験に、限局性非転移性前立腺癌で、血清前立腺特異抗原(PSA)レベルが20 ng/mL未満の患者約2,000人が登録された。患者は放射線療法のみ、放射線療法+短期(4カ月)アンドロゲン除去療法のいずれかの治療に無作為に割り付けられた。アンドロゲン除去療法では薬剤を用いてテストステロンの自然産生を劇的に低下させた。

放射線療法単独の参加者に比較して、アンドロゲン除去療法+照射を受けた参加者では、10年後の全生存率に統計学的に有意な改善がみられたことが報告された(57% vs 62%)。

アンドロゲン除去療法+放射線療法を受けた男性では、放射線療法単独の男性より、前立腺癌自体による死亡も少ないとみられた(4% vs 8%)。併用療法の優位性は主に中等度リスク疾患の患者に限られ、低リスク前立腺癌の男性では認められなかったと、研究者は述べた(中等度リスク疾患の男性ではグリーソンスコア、PSA、臨床病期が低リスク疾患の男性より高い)。

試験には、白人男性より前立腺癌リスクが高いといわれている黒人男性約400人が含まれていた。10年後の全生存率、前立腺癌自体による死亡率、生化学的再発(アンドロゲン除去療法初期に低下したPSA値の再上昇)に関して、アンドロゲン除去療法追加の優位性は、白人男性と黒人男性で同程度であった。

「本試験は臨床治療にとって重要な意味を持つ」と、筆頭著者でRadiological Associates of Sacramento(カリフォルニア州にあるサクラメント放射線協会)のDr. Christopher U. Jones氏は述べ、「われわれは今や、従来の放射線療法へのアンドロゲン除去療法の追加により利益を得られるのはどの早期前立腺癌患者かということについて確かな科学的根拠がある」と続けた。しかし著者らは、今では放射線療法の新技術により、試験で使用したより高線量の照射が可能になっていることも指摘した。これに続くRTOG試験では、新照射法で治療した中等度リスク疾患の男性に、アンドロゲン除去療法を追加する意義について検討する。

ホジキンリンパ腫試験、副作用が治療選択の鍵に

進行ホジキンリンパ腫治療のための2つの方法は長期間の有効性についてほぼ同等であるが、片方の試験では治療に関連する死亡、不妊、二次癌のリスクがより高いなど、重度の副作用を伴うことが、臨床試験で示された。この知見はNew England Journal of Medicine誌7月21号に発表された。

イタリアの研究者は、試験でBEACOPPABVDと呼ばれる2つの多剤併用化学療法のいずれかに無作為に割り付けた患者の転帰を比較した。なお、いずれの群でも必要な患者に対しては追加療法を実施し(初期療法後に残存腫瘍のある患者や完全寛解後に再発した患者は高用量サルベージ化学療法と自家造血幹細胞移植による治療を受けた)、これを含めて検討した。

Milan癌研究所のDr. Alessandro Gianni氏らは、最初の進行から7年間の無増悪率はBEACOPPの85%に対しABVDでは73%であることを見出した。しかし、7年生存率はBEACOPP群で89%、ABVD群で84%であり、統計学的に有意な差ではなかった。サルベージ療法後の全生存に関する転帰は両群で同程度であったが、副作用に関しては、ABVDに明らかな利点があった。

どちらか一方に生存上の利点がない場合、「2つの初期治療の決定をする際には、患者に両療法における得失を知らせるべき」と著者らは述べている。さらに、BEACOPP療法はABVD療法で治癒したであろう患者(患者の大半)を不必要に重度の毒性リスクにさらすことになるが、ABVD療法は一部の患者(本試験では8人に1人)で有害な重度の副作用を伴う高用量サルベージ治療が必要になると指摘した。

治療に反応したABVD群の患者の4分の3は、不妊、白血病リスク、より強いBEACOPP治療によるその他の毒性作用から免れたと、ブリティッシュコロンビア州癌機関(British Columbia Cancer Agency)のリンパ種センター臨床部長で付随論説著者であるDr. Joseph Connors氏は指摘した。本疾患の多くの患者は若年成人で、残りの人生を治療による有害な副作用を抱えて生きてゆかなければならない。

「本試験は、いずれかの治療法で多くの人々が救われることを示す」とConnors氏は述べ、「この知見は、多くの医師が実施していること、すなわち主要な治療法としてのABVDの使用を再確認するものであった」と指摘した。

しかし、さらに次のように続けた。「どちらの治療法を使用するかの決定はこの分野にとって未解決の問題であり、新しい試験がこの問題を実質的に解明するであろう」。ABVD法は数十年間使用されている一方、より強力なBEACOPP法は1990年代にドイツの研究者により開発された。

新しい知見は重要な原則をも打ち立てたとConnors氏はつけ加えた。「治癒も可能なこのような疾患について、治療転帰を比較する際に適切な方法は、単に初回治療の転帰を見るのではなく、全体的な管理戦略をみることである。全体を通してみる必要がある。」

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榎 真由 訳
廣田 裕(呼吸器外科/とみます外科プライマリーケアクリニック)、林 正樹(血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院) 監修
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