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肺や胸腺カルチノイドにエベロリムス、パシレオチドLARが有効

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肺や胸腺カルチノイドにエベロリムス、パシレオチドLARが有効

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

有効性はすべての3治療群で認められた

2016年10月10日、デンマークのコペンハーゲンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 2016年総会での第2相試験結果の報告によると、進行した肺または胸腺のカルチノイド患者に対し、エベロリムス、パシレオチドLAR、もしくはその両方を併用した場合に、統計学的に有意な効果があることが、すべての3治療群9カ月目の無増悪患者の割合で確認でき、併用群でより関連性が高かった。

 

エベロリムスは哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)経路を阻害し、神経内分泌腫瘍(NET)を含むさまざまながん種に臨床的に有益性を示すのに対し、パシレオチドLARはソマトスタチン・アナログである。

 

イタリア・ペルージャにあるペルージャ大学とウンブリア州地域がんネットワークで、腫瘍医学部と多領域NETグループに属するPiero Ferolla医師と共同研究者らは、Piero Ferolla医師が共同著者でもある現行のESMOやENETSガイドラインを踏まえると、肺や胸腺の進行カルチノイドは依然として、治療選択肢が限られ、有効な治療法がなく医学的ニーズ(unmet medical needs)が高い領域であり、これらのがんのみに限定した研究は過去にないと指摘する。彼らが強調した点は、エベロリムスは第3相RADIANT-4試験で、消化管または肺の神経内分泌腫瘍(NET)に対し、無増悪生存期間の改善を示しており、またパシレオチドLARはNET患者に対し抗がん作用がある可能性を示していたことである。この試験結果がきっかけとなり、Ferolla医師と共同研究者は、肺や胸腺の進行カルチノイド患者に対し、エベロリムスやパシレオチドLSR、またはその両方を併用した場合の有効性と安全性の評価を行った。

 

第2相LUNA試験では、パシレオチドLARを1カ月に60mg筋肉注射する患者41人、エベロリムスを1日に10mg経口投与する患者42人、パシレオチドLARに加えエベロリムスを単剤投与量と同用量併用とする患者41人に無作為に割り付けた。

 

本試験の主要評価項目は、9カ月目の無増悪率(PFR-9)とし、RECISTv.1.1基準で規定された9カ月目の完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD)と判断された患者の割合である。副次的評価項目は、無増悪生存期間(PFS)、病勢コントロール率(DCR)と安全性を含む。

 

患者の年齢の中央値は64歳であった。非定型的カルチノイドは患者の68.5%であったのに対し、定型的カルチノイドは31.5%であった。原発腫瘍部位は肺である患者が93.5%であり、胸腺は6.5%であった。WHOの全身状態が、0、1、2である患者は、それぞれ64%、34%、2%であった。前治療として薬物療法を受けた患者は44%で、放射線療法は27%、手術と局所領域療法は97%、ソマトスタチン・アナログ投与は48%の患者が受けていた。

 

試験の主要評価項目は、3群すべてで達成された。

 

本試験での主要評価項目であるPFR-9を達成したのは、パシレオチドLAR単剤投与群患者の39.0%であり(95% confidence interval [CI] 24.2, 55.5)、エベロリムス単剤投与群では33.3%(95% CI 19.6, 49.5)、エベロリムスとパシレオチドLAR併用投与群では58.5%であった(95% CI 42.1, 73.7)。

 

どの3治療群でも完全奏効は認められなかった。9カ月目の最良総合効果は部分奏効であり、各治療群の2%で認められた。安定は、パシレオチドLAR群で34%、エベロリムス群で31%、両剤の併用投与群で49%に認められた。進行(PD)は、パシレオチド単剤投与群で17%に対し、エベロリムス単剤投与群で2%であった。両剤の併用投与群でPDは認められなかった。

 

試験は65%の患者で、12カ月のコア・フェーズ治療中に中止となった。PDや有害事象(AE)により中止した患者は、それぞれ27%に上った。すべての治療群にわたり、AEのほとんどがグレード1か2であった。パシレオチドLARとエベロリムスの併用投与群で、最も多かったAE(グレードを問わず)は、高血糖88%、下痢78%、体重減少56%、無力症37%、胃炎34%であった。

 

James Yao医師は本試験の結果を考察し、単群試験、または治療群の中から“勝者を選ぶ”ランダム化第2相試験は、過去のコントロールとの間接的比較に依存するものになると述べた。過去のデータの質が低い場合、信頼区間が広い場合、あるいは転帰が不均一である場合に、信頼度は下がる。各治療群の結果で臨床効果は認められるが、信頼度を伴う有効性の優劣を示さなかった。LUNA試験の結果は改善したと言えるが、比較によるランダム化第2相試験が必要であると、Yao医師は述べた。

 

結論

Ferolla医師と共同著者らによると、LUNA試験は、肺と胸腺のカルチノイド患者に限定してデザインした初めてのランダム化試験である。同医師は、LUNA試験が主要評価項目を満たしたことを強調し、良好なPFR-9は主にエベロリムスとパシレオチドLARの併用投与群で確認されたが、単剤投与治療群でも確認されたと述べた。

 

病勢が進行している上記患者において、パシレオチドLARとエベロリムスの併用投与では新たな毒性の徴候はみられなかった。

 

参考文献:

416O

Efficacy and safety of pasireotide LAR or everolimus alone, or in combination in patients with advanced carcinoids (NET) of the lung/thymus: Results from the randomized, phase 2 LUNA study

P. Ferolla, M.P. Brizzi, T. Meyer, W. Mansoor, J. Mazieres, C.D. Cao, H. Lena, A. Berruti, W. Buikhuisen, M. Stankovic, N. Singh, E. Chiodini, G. Gislimberti, K. Oberg, E. Baudin

 

本試験はノバルティスから資金提供を受けた。

 

原文掲載日

翻訳松川 深玲

監修吉松由貴(呼吸器内科/飯塚病院)

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