MEK阻害薬でのKRAS変異非小細胞肺がん治療は奏効せず | 海外がん医療情報リファレンス

MEK阻害薬でのKRAS変異非小細胞肺がん治療は奏効せず

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

MEK阻害薬でのKRAS変異非小細胞肺がん治療は奏効せず

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

MEK阻害薬 selumetinib [セルメチニブ] はdocetaxel [ドセタキセル] との併用で、 KRAS変異非小細胞肺がん(NSCLC)の患者の無増悪生存期間と全生存期間のいずれも改善しないことが、コペンハーゲンでの欧州臨床腫瘍学会議(ESMO2016)で公表されたデータで示された。

 

「KRAS変異肺がんは、ゲノム変異情報に基づいて分類される肺がんの最大のサブセットですが、有効な分子標的治療法がありません」と、米国ボストンのダナファーバーがん研究所の試験責任医師、Pasi Jänn博士は述べた。

 

セルメチニブはKRASの直下流のエファクタータンパク質を阻害し、これがKRAS変異腫瘍においてKRAS関連シグナルを遮断すると考えられた。

 

以前に行われたKRAS変異非小細胞肺がんの第2相試験では、セルメチニブとドセタキセルの併用療法を受けた患者の無増悪生存期間と奏効率は、ドセタキセル単剤療法の場合と比較して有意な改善を示していた。

 

 

今回の第3相二重盲検ランダム化 SELECT-1試験では、KRAS変異非小細胞肺がん患者510人をセルメチニブの経口投与(75 mg、1日2回)とドセタキセル静注(21日周期の第1日に75mg/m2)の併用療法、またはドセタキセルとプラセボ併用療法のいずれかに無作為に割り付けた。

 

 

データのカットオフ時点ではセルメチニブ群とプラセボ群間で、無増悪生存期間中央値の有意な差異が見られず(3.9 カ月対2.8カ月、HR 0.93、p=0.44)、全生存期間中央値でも有意な差異が見られなかった(8.7カ月対7.9カ月、HR 1.05、p=0.64)。

 

セルメチニブ群の奏効率は、プラセボ群と比較してより高い傾向にあった(20.1%対13.7%、OR 1.61、p=0.051)。

 

セルメチニブとドセタキセル併用療法群には、プラセボ群と比較して重篤な副作用がより頻繁に発現し(49%対32%)、副作用による入院もより頻繁に発現した(46%対30%)。

 

「第3相試験の結果、進行KRAS変異肺がん患者へのドセタキセル投与にセルメチニブを併用した場合、無増悪生存期間または全生存期間の改善においては臨床的な恩恵がないことが明らかになりました」と、Jänne博士は述べた。

 

「したがって、これは積極的に進めるべき治療法ではなく、依然として、この非小細胞肺がん患者のサブセットには新しい治療法開発が何としても必要であり、そのチャンスはまだあります」。

 

 

米国ロチェスター、メイヨークリニックの早期がん治療プログラムおよびグローバル・オンコロジーのディレクターAlex Adjei博士は、今回の試験について次のようにコメントした。「Jänne博士らが実施した試験は、遺伝子型情報に基づいてうまくデザインされ、称賛に値するものですが、特にKRAS変異非小細胞肺がんに対してこの併用療法を研究する前臨床的根拠があったとは言い難いものでした」。

 

 

「セルメチニブをはじめとするMEK阻害薬はKRAS変異非小細胞肺がんの細胞株には有効性はありません。一方、非小細胞肺がんを含む多種類の腫瘍においては、セルメチニブとその他のMEK阻害薬にドセタキセルを併用すると細胞傷害性の相乗作用を示し、このような相乗効果がKRASの状態とは無関係であるという前臨床データがあります」と、Adjei博士は述べた。

 

 

「別のMEK阻害薬、trametinib[トラメチニブ]とドセタキセル併用療法のランダム化第2相試験では、KRAS変異非小細胞肺がんと野生型非小細胞肺がんの間で有効性の差異は示されませんでした。また、今回の第3相試験デザインのベースになった第2相試験はサンプルのサイズが非常に小さく、これまでこのような小規模ランダム化第2相試験は、第3相試験で否定的な結果に至っています」。Adjei博士はこのように締めくくった。

 

 

参考文献:
LBA47_PR “Selumetinib in combination with docetaxel as second-line treatment for patients with KRAS-mutant advanced NSCLC: Results from the phase III SELECT-1 trial” will be presented by Prof Pasi Jänne during the Proffered Paper session, NSCLC, metastatic 2 on Monday, 10 October 2016, 09:15 to 10:15 CEST in Room Vienna.

原文掲載日

翻訳三木村 秋

監修花岡秀樹(遺伝子解析/サーモフィッシャーサイエンティフィック)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 五十音 アルファベット 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他