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ERBB2遺伝子変化は3期大腸がんの予後不良と関連

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ERBB2遺伝子変化は3期大腸がんの予後不良と関連

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

大腸がんにおけるERBB2遺伝子の変異や増幅といった遺伝子変化は、発生頻度は低いものの、認められている

 

ステージ3の大腸がん患者を対象としたPETACC8術後補助療法(アジュバント)試験において、まれにみられるERBB2遺伝子変化が新たな予後バイオマーカーとなり得ることが、10月10日にデンマーク・コペンハーゲンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2016で発表された。ERBB2遺伝子変化は、発生頻度は低いものの、著しい予後不良に関連することから大腸がんの補助療法として、ERBB2遺伝子変化スクリーニングおよび抗ERBB2遺伝子療法が検討されている。

 

フランス、パリにあるジョルジュ・ポンピドゥー欧州病院・生物学部、フランス国立保健医学研究所(INSERM UMR-S1147)およびパリ・デカルト大学に所属するPierreLaurent-Puig教授は、ERBB2遺伝子増幅は、転移性大腸がん(mCRC)において標的可能な遺伝子変化であることが最近明らかにされたと説明している。この研究のきっかけとなったのは、HER2陽性の転移性大腸がん患者に対してトラスツズマブとラパチニブによる2種類の標的治療を行うHERACLES試験において認められた反応であった。同氏は、ステージ3の大腸がんにおけるERBB2遺伝子変化の発生と予後としての役割が定義されれば、大腸がんに対して極めて必要とされる補助療法戦略が加わる可能性があると強調している。

 

PETACC8試験には、ステージ3の大腸腺がんであることが組織学的に確認され、切除済みの患者が全体で2,559人参加し、2,043人がこの橋渡し研究プログラムへの参加に同意した。そのうち、1,795人の組織サンプルに対して次世代シーケンス技術(NGS)によるスクリーニングを実施し、1,804人に対しては、免疫染色およびFISH解析を実施した。

 

試験責任医師らは、大腸がんおよび肺がんパネルV2ならびにすでに実証されているアルゴリズムを用いて、ERBB2遺伝子の増幅およびエクソン19~21における変異を探索した。Ventana Roche 社から得たポリクローナル抗体HER2クローン4B5で染色されたERBB2遺伝子に対して、Zytolight SPEC ERBB2/CEN17 Dual ColorによるFISH解析を行い、すべてのサンプルのスクリーニングを実施した。

 

ERBB2遺伝子変化は大腸がんの予後不良に関連する

 

この方法を用いたところ、64人(3.8%)にERBB2遺伝子変化が認められた。そのうち17人(1%)のサンプルは、ERBB2遺伝子変異を有していた。V842Iに変異を有していたのが5人と最も多く、V777LおよびL755Sの変異が3つのサンプルで認められた。RAS遺伝子変異またはBRAF遺伝子変異との有意な関連性および非関連性は明示されなかった。ERBB2遺伝子増幅は、次世代シーケンス技術では49人(2.9%)のサンプルに認められ、FISH解析では28人に認められた。

 

また、ERBB2遺伝子変化の予後的重要性を検討するため、ERBB2遺伝子の変異または増幅が認められるすべての患者の蓄積データに対して単変量解析が行われた。

 

ERBB2遺伝子変化は予後不良の指標であり、無再発期間の短縮(TTR、ハザード比[HR]1.55、95%信頼区間[CI]1.02, 2.36[p=0.04])および全生存の短縮(ハザード比1.57、95%信頼区間0.99, 2.5[p=0.05])に関連していた。治療、RAS遺伝子変異の存在、分化度、腫瘍の部位、pTおよびpNの程度、腸閉塞または腸管穿孔の存在、静脈塞栓またはリンパ管塞栓などの交絡因子を補正しても、無再発期間におけるERBB2遺伝子変化の予後に占める 重要性は保たれていた。

 

結論

 

ERBB2遺伝子変化の発生率は、ステージ3の大腸がん患者の約4%と、比較的まれではあるものの、ERBB2遺伝子変化が無再発期間の短縮および全生存短縮に関連していることが明らかにされた。ERBB2遺伝子変化の存在は予後不良の指標となることから、大腸がんの補助療法として、抗ERBB2遺伝子療法の使用が臨床試験の場で検討されるべきであると、著者らは結論付けている。

 

参考文献

459O

ERBB2 alterations a new prognostic biomarker in stage III colon cancer from a FOLFOX based adjuvant trial (PETACC8)

P. Laurent-Puig, R. Balogoun, A. Cayre, K. Le Malicot, J. Tabernero, E. Mini, G. Folprecht, J.-L. van Laethem, J. Thaler, L. Nørgård Petersen, E. Sanchez, J. Bridgewater, S. Ellis, C. Locher, C. Lagorce, J.-F. Ramé, C. Lepage, F. Penault-Llorca, J. Taieb

 

本試験は、Merck社およびSanofi社から資金提供を受けた。

原文掲載日

翻訳重森玲子

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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