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PD-L1発現は進行皮膚がんにおける免疫療法剤の効果を予測

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PD-L1発現は進行皮膚がんにおける免疫療法剤の効果を予測

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

ニボルマブによる単剤療法またはニボルマブとイピリムマブによる併用療法を受けた患者を対象とした試験に基づいたプール解析結果

 

進行性メラノーマ(悪性黒色腫)を対象とした3つの臨床試験に基づいたプール解析によると、PD-L1の発現率で分類されたサブグループのすべてにおいて、ニボルマブによる単剤投与群、ニボルマブとイピリムマブによる併用投与群のPD-L1発現率5%以上を呈する患者の無増悪生存期間(PFS)で同様の結果が得られたのに対し、durable response rate(DRR、持続性奏効率)は単剤投与群より併用投与群の方が高かった。本発表の筆頭著者であるオーストラリア、シドニーにあるMelanoma Institute Australia およびシドニー大学のGeorgina Long氏は「治療関連副作用が単剤投与群より併用投与群で多く発症したことを踏まえ、単剤投与または併用投与を選択した場合のそれぞれのベネフィットとリスクをより理解するためにPD-L1発現検査は使用できるのかについて関心が高まっています」と述べた。

 

解析結果は、10月10日、コペンハーゲンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016)において発表された。

 

第2相試験のCheckMate 069、第3相試験のCheckMate 066および067のプールデータに基づくバイオマーカーに関する大規模解析は、未治療のメラノーマ患者832人を対象とし、ニボルマブ1 mg/kgとイピリムマブ3 mg/kgを3週間ごとに4サイクル投与した後、ニボルマブ3 mg/kgを隔週で投与する群(358人)とニボルマブ3 mg/kgを2週間ごとに投与する群(474人)に無作為に割り付けられた。いずれの群も病勢進行または許容できない毒性が生じるまで投与を継続した。原発部位または転移部位の腫瘍組織は治療開始前のスクリーニング時に採取され、有効性が認められているDako社のIHC検査を用いてPD-L1発現の評価を実施した。

 

PD-L1発現率が5%以上の患者数は、併用投与群92人(26%)、単剤投与群139人(29%)であった。PD-L1染色陽性を示す腫瘍サンプルの大半(80%)でPD-L1発現率が10%以下であった。生検標本の採取部位や原発巣か転移巣かの違いによるPD-L1発現率の差は認められなかった。PD-L1発現率の閾値を1%超、5%超、10%超に変更し設定した場合でも、患者はどちらの療法で反応を得られる可能性が高いのかを同定するために実施する検査の精度は改善されなかった。また、ROC曲線(受信者動作特性曲線)解析では、responder検出のために感度や特異度を最大限化させる最適閾値を定義できなかった。多くの患者数を有する単剤投与群のROC曲線下面積は0.6であった。なお、完璧といわれる診断テストではROC曲線下面積が1.0であるのに対し、真陽性を判定するだけの検査のような真に無用な診断テストでは0.5である。

 

PD-L1発現率5%以上を呈する患者のサブグループにおけるPFS中央値は、単剤投与群で22.0カ月であったのに対し、併用投与群では未到達(NR)であった。しかし、18カ月以上の追跡調査を実施したところ、両群のハザード比は同値(0.99; 95%信頼区間[CI] 0.66~1.45)であり、ニボルマブ、イピリムマブ両剤でPFS延長の差は認められなかった。

 

PD-L1発現率が5%未満(低発現率)または非発現であったサブグループにおけるPFS中央値は、併用投与群11.1カ月、単剤投与群4.9カ月(HR 0.70; 95% CI 0.57~0.87)であった。

 

PFSの結果と比較し、PD-L1の発現率にかかわらず、全奏効率(ORR)は併用投与群の方が高かった。PD-L1発現率5%以上の患者グループのORRは、併用投与群68.5%、単剤投与群59.0%、対してPD-L1発現率5%未満の患者ではそれぞれ54.9%、39.7%で、併用投与群の方が高かった。併用投与群の奏効期間(DoR)の中央値は、両患者グループで未到達であった。単剤投与群のDoRは、PD-L1発現率5%以上の患者で未到達であったのに対し、PD-L1発現率5%未満の患者では22.3カ月であった。

 

結論

 

PD-L1発現率が高い患者グループにおけるPFS中央値は、併用投与群と単剤投与群で同程度であったが、ORRは両サブグループで併用投与群の方が数値的に高かった。しかし、全生存期間(OS)に関するデータは不十分で、バイオマーカーとしてPD-L1を使用するには問題が残っており、また反応性を予測する可能性がある、より重要な因子としてのバイオマーカーが他に新しく発見されているため、著者は上記の結果を併用投与群および単剤投与群の相対的ベネフィットの評価のために使用することについて注意を促した。具体的にいうと、PD-L1検査はBRAF変異検査のような陽性か陰性のみで結果を示す検査とは異なり、患者の年齢、他検査の実施、マニュアルによる組織学的スコアリングの結果などの複数の要因により擬陽性を示すことがある。Long氏は、治療選択は、PD-L1は未だ完全に解明されていないことを理解している臨床医とともに、患者ごとにそれぞれ決定されるべきである、と述べた。

 

参考文献

1112PD

PD-L1 expression as a biomarker for nivolumab (NIVO) plus ipilimumab (IPI) and NIVO alone in advanced melanoma (MEL): A pooled analysis

G.V. Long, J. Larkin, P.A. Ascierto, F.S. Hodi, P. Rutkowski, V. Sileni, J. Hassel, C. Lebbe, A.C. Pavlick, J. Wagstaff, D. Schadendorf, R. Dummer, D. Hogg, J.B.A.G. Haanen, P. Corrie, C. Hoeller, C. Horak, J. Wolchok, C. Robert d

 

本試験は、Bristol-Myers Squibb社から資金提供を受けた。

 

原文掲載日

翻訳宮原 和子

監修小宮 武文(腫瘍内科/カンザス大学医療センター)

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