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頭頸部がんの予後が過小評価、フランスでの調査結果

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頭頸部がんの予後が過小評価、フランスでの調査結果

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

コペンハーゲンで開催された2016年度欧州臨床腫瘍学会(ESMO)での2つのプレゼンテーションによると、フランスで行われた頭頸部がんに関する全国的調査で、同疾患の実際の負荷が1/3以上過小評価されており、頭頸部がんは二次原発がんのリスクが非常に高いことが明らかになった。

 

EPICORL研究は、フランス初の全国的な頭頸部がん予後調査であり、French National Hospital Discharge database(フランス国民退院データベース)から2008~2012年のデータを用いている。

 

フランスの病院から退院した頭頸部がん患者131,965人のうち、41%が後に病院で亡くなり、5年全生存率は34%であったことが確認された[1,2]。

 

遠隔転移と診断された人は患者の12%であり、死亡リスクが6倍増加する結果となっていた(HR = 6.2)。

 

追跡調査中の再発は、早期に診断された患者で31%、進行期に診断された患者で57%であり、こちらも死亡リスクがほぼ6倍増加する結果となっていた(HR = 5.9)[1]。

 

「喫煙やアルコール使用障害といった主なリスク要因により、頭頸部がんが二次原発がんを引き起こすリスクが非常に高くなり、重度の併存疾患の負荷が顕著に大きくなります」と、責任医師であるパリのテノン病院放射線腫瘍科のFlorence Huguet医師は述べた。

 

研究対象患者の半数以上は頭頸部がん以外のがんも有しているか、がん以外に重度のチャールソン併存疾患指数を有しており、顕著に低い生存率につながっていた。

 

研究者らはまた、二次原発頭頸部がんの発現率が高く、診断時で患者の6.1%、追跡調査中で患者の2.3%で確認されたと言及した。

 

「過去の報告の範囲で再発性および二次性の異時性頭頸部がんの累計発現率が分かりましたが、進行期がんと診断された患者は早期がんと診断された患者と比べ、各リスクが顕著に上昇していました」とHuguet医師は述べた。

 

EPICORL研究の研究者らはまた、全国的な死因統計で頭頸部がんの負荷が38%過小評価されていることも発見した[2]。

 

責任医師である、ギュスターヴ・ルシー病院頭頸部がん科のCaroline Even医師は、このことは進行頭頸部がんにより病院で死亡した患者41,503人の43%は頭頸部がん以外のがんの治療も受けていたことが原因である可能性が高いと述べた。

 

「原発性がんの部位が複数存在する状況で、根本的な死因の判定では、意見が分かれることがあります。そのため、頭頸部がん以外でそれ以前に発症したがん、または同時に発症したがんの存在が、全国統計で確認された死亡率の差の主な説明要因であることがわかりましたが、驚きはありません」とEven医師は述べた。

 

頭頸部がんの発現率が、2つの主なリスク要因である喫煙および飲酒を減らすことで低下すると報告される一方、本研究で頭頸部がんの年間院内死亡者数が研究期間中に上昇していることが分かった。

 

本研究へのコメントとして、フランスのHôpitaux Universitaires Paris Nord Val de Seine腫瘍内科医であるSandrine Faivre教授は、以下のように述べた。

 

「本研究は、人々が過去数十年間喫煙や飲酒にさらされてきた国における全国規模の分析を行った重要なデータです。

 

今回のフランスの疫学研究では、HPV感染が影響するとは報告されていないようですが、HPV感染も、喫煙や飲酒で誘発されるという、頭頸部がんと共通する旧知の特徴があります。

 

本試験では喫煙や飲酒に関連する頭頸部がんの負荷と予後不良に力点を置いており、喫煙と飲酒はこの患者集団の顕著な併存疾患も誘発します。

 

再発に加え、注目すべきは他の二次原発がんの発現率も高いことで、他の頭頸部位や肺など、リスクのある器官部位に対するスクリーニングまたは診断検査が必要です。

 

これは頭頸部がん患者を治療するフランスの医師に対する警告です。診療において我々は、治療毒性の影響を特に受けやすくなる併存疾患を複数有する可能性がある患者の脆弱性を念頭に置かなければなりません」とFaivre医師は締めくくった。

 

参考文献:
1. Abstract 960P – Causes of death statistics underestimate the burden of head and neck (H&N) cancers: a nationwide study from France in 2008-2012 (EPICORL study) will be presented by Dr C Even at a Poster Session on Sunday 9 October at 13:00 CEST
2. Abstract 963P – Survival of patients with head and neck (H&N) cancers: a nationwide study from France in 2008-2012 (EPICORL study) will be presented by Dr F. Huguet at a Poster Session on Sunday 9 October at 13:00 CEST

原文掲載日

翻訳太田奈津美

監修高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)、

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