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ニボルマブによる術前免疫療法は早期肺がんに適応可能

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ニボルマブによる術前免疫療法は早期肺がんに適応可能

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

PD-1阻害剤ニボルマブを使用したネオアジュバント免疫療法は、早期肺がんの術前療法として安全で適用可能であると、コペンハーゲンでの欧州臨床腫瘍学会議(ESMO) 2016で報告された。

 

「これまで、ニボルマブやその他の抗PD-1剤や抗PD-L1剤の試験は転移性または進行した肺がんでのみ報告されてきました」。筆頭著者で米国ボルチモアのジョンズホプキンス大学シドニー・キンメル総合がんセンターの腫瘍学助教Patrick Forde博士は述べた。「これは、早期肺がんにネオアジュバントPD-1阻害薬を適用した最初の試験です」。

 

この試験の主目標は、腫瘍を切除する前に早期非小細胞肺がん(NSCLC) 患者へのネオアジュバント療法としてのニボルマブの投与が、安全で適用可能であるかを確認することであった。治療によって手術が遅れなければ、治療は可能であると思われた。

 

探索的な目的として、治療前の生検組織と治療後に切除された腫瘍組織との大規模相関分析が含まれ、 PD-L1染色、多重免疫組織化学的検査やT細胞受容体のシークエンシングが行われた。さらに行われた探索的な分析では、病理学的退縮の程度を調べた。この解析は肺がん病理学者が行い、早期非小細胞肺がんのネオアジュバント化学療法への奏効評価時に使用された報告済みの方法が用いられた。大幅な病理学的退縮(90パーセント以上) は、残った生存がん細胞が10パーセント未満の切除検体と定義された。

 

この試験には、腫瘍の生検を受けた患者20人が参加した。患者は、腫瘍の外科的切除4週間前と2週間前の2回、ニボルマブの投与を受けた。最初の患者16人の結果が本日発表された。試験責任医師は、安全性に関して特筆すべき問題はなく、ニボルマブによる手術遅延がなかったことを確認した。患者15人のうち6人 (40パーセント) に、ニボルマブ投与後、腫瘍の大幅な病理学的退縮が認められた。これらの腫瘍のすべてに免疫細胞が高密度に浸潤し、完全な病理学的奏効が得られているか、残ったがん細胞が散在しているかのいずれかが見られた。さらに患者5人に、一定の腫瘍の退縮と、免疫細胞浸潤の所見が認められた。多重免疫組織化学法(IHC) によって腫瘍内への細胞傷害性T細胞の浸潤が検出され、治療前生検では存在が認められなかった新しいT細胞クローンも検出された。

 

「ニボルマブのネオアジュバント療法としての投与は、ステージIからIIIAの非小細胞肺がん に対して安全かつ適用可能であり、抗 PD-1免疫療法が早期肺がんに有効な可能性があることもわかりました。これら初回の結果を受けて、試験規模を拡大しているところです。1つの群はニボルマブの3回目の投与を手術前に受け、もう1つの群はニボルマブとイピリムマブの併用投与を手術前に受けます。この拡大試験は、ジョンズホプキンス大学とメモリアルスローンケタリングがんセンターの治験責任医師との連携によって継続して実施される予定です。他には、米国の肺がん遺伝子変異コンソーシアムも非小細胞肺がん におけるネオアジュバント免疫チェックポイント阻害についての大規模試験を実施しています」とForde博士は述べた。

 

本試験に関して、英国リバプール大学の胸部腫瘍学部長Pieter Postmus教授は次のようにコメントした。「小さな生検は腫瘍全体を表していない場合もあるので、生検と切除した腫瘍とを比較するとバイアスが生じる可能性があります。これは治療への反応を評価する方法としては妥当ではありません。ニボルマブ治療による生物学的効果については説明されていますが、生存期間に対して臨床的な影響があるかどうかは証明されていないのです」。

 

「大幅な病理学的奏効が生存期間の改善と相関しているかどうか、今のところわかりませんが、この方法はまず、免疫療法前、および免疫療法の4週間から8週間後に採取した腫瘍生検内の生存腫瘍細胞のパーセンテージを比較することによって、進行がんの患者群で検証することができます」と、 Postmus教授は続けた。「もし、この方法で、手術前の試験で定義されたとおり、退縮が進行がん患者の生存期間と相関しているなら、あまり進行していない、または切除可能な患者にも同じことが当てはまりそうです。長期間に及ぶ生存データが、これらのネオアジュバント免疫療法の方針に対する最終試験となるでしょう」。

 

参考文献:

1. Abstract LBA41_PR – ‘Neoadjuvant anti-PD1, nivolumab, in early resectable non-small-cell lung cancer‘ will be presented by Dr Patrick Forde during the Proffered Paper Session, Non-metastatic NSCLC and other thoracic malignancies on Friday, 7 October, 14:00 to 15:30 (CEST) in Room Madrid.

原文掲載日

翻訳三木村 秋

監修田中謙太郎(呼吸器内科、腫瘍内科、免疫/九州大学大学院医学研究院 九州連携臨床腫瘍学講座)

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