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ハイリスク軟部肉腫、術前化学療法で有意な延命効果

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ハイリスク軟部肉腫、術前化学療法で有意な延命効果

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

体幹または四肢の軟部肉腫で再発リスクが高い患者に対するアントラサイクリン+イホスファミドを用いた術前化学療法試験の中間解析において、有意な延命効果がみられたため、試験は早期中止となったことが、コペンハーゲンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016)で本日発表された。

 

この試験では、この化学療法を、組織型で個別化した化学療法レジメンと比較した。

 

イタリア、ミラノの国立がんセンター(National Cancer Institute)の肉腫外科部長で試験責任医師のAlessandro Gronchi氏は、「軟部肉腫に対する術後補助化学療法の有益性を検証する試験では、試験ごとに相反する結果が得られており、ここ数年大きく議論されてきました」、と述べた。

 

今回の多施設共同臨床試験では、四肢または体幹壁に発生する軟部肉腫全体の約80%を占める5種類の組織型から、体幹または四肢のハイリスク肉腫患者287人が登録された。

 

患者は、エピルビシン(120mg/m2)+イホスファミド(9g/m2)3サイクル投与群、または5種類の組織型ごとの個別化レジメン3サイクル投与群のどちらかに、1対1の割合で無作為に割り付けられた。個別化レジメンは、未分化多形肉腫にゲムシタビン+ドセタキセル投与、高悪性度の粘液型脂肪肉腫にトラベクテジン投与、滑膜肉腫に高用量イホスファミドの持続投与、悪性末梢神経鞘腫瘍にエトポシド+イホスファミド投与、平滑筋肉腫にゲムシタビン+ダカルバジン投与とした。レジメンはすべて術前に投与された。

 

中央値で12.3カ月の経過観察の後、エピルビシン+イホスファミド群に割り付けられた患者の46カ月無再発生存率は、組織型別レジメン群と比較し、有意に高値を示し(0.62対0.38、p=0.004)、全生存率も有意に良好であった(0.89対0.64、p=0.033)。

 

Gronchi氏は、「体幹または四肢にハイリスク軟部肉腫がある患者の80%で生存率が20%改善するのですから、エピルビシン+イホスファミド化学療法を検討することは価値があります。今回の試験ではさらに経過観察を続け、この中間解析結果を裏付けたいと考えています。これは術前化学療法の有用性を明らかにする最初の説得力のあるエビデンスとなるのですから」と述べた。

 

この試験では組織型別の個別化レジメンの有用性は示されなかったが、組織型別に分析すると、トラベクテジン治療を受けた高悪性度の粘液性脂肪肉腫患者は、無増悪生存率と全生存率について、エピルビシン+イホスファミド治療患者と同等だったことが示唆された。

 

「トラベクテジンは従来の化学療法よりも毒性がはるかに低いので、このサブグループを拡大して転帰に差がないかどうか評価しようと思っているところです」、とGronchi氏は述べ、組織型別治療には有害な作用がなかったことを指摘した。

 

本試験に対し、「試験責任医師らは、組織型別治療で再発リスクを3分の1低下させたかったので、この試験では主要目的は達成されなかったということになります」と、オーストリアにあるウィーン医科大学(Medical University Vienna)の骨・軟部組織・肉腫科プログラム部長、Thomas Brodowicz教授は述べた。

 

「この結果で言えることは、術前アントラサイクリン+イホスファミドは組織型別レジメンより有効ということですが、依然として残る問題は、はたしてこれは化学療法を行わないことに比べて良い結果なのかということです」、とBrodowicz教授は投げかけた。「また、組織型別治療は3サイクルで十分なのか、術前アプローチはハイリスク患者すべてにとって正しいアプローチなのかという問題もあります」。

 

Brodowicz教授は、転移性腫瘍の治療において組織型別レジメンは大いに関心がもたれてきたこと、今回の試験では限局性疾患を対象としており、その結果は否定的だったが、その結論は転移性腫瘍に拡大されるものではないことも述べた。

 

「組織型別治療自体に有害な作用がある可能性もあったのですが、それは明らかになりませんでした。(長期経過観察で裏づけられれば、)今回の知見の一番の関心は、四肢または体幹壁のハイリスク軟部肉腫患者に対して、術前化学療法を使用することが、治療なしをはじめとする既存の他の治療選択肢と比較して、全生存率と無再発生存率において明確な利点があるかどうかということです」とGronchi氏は結論づけた。

原文掲載日

翻訳久保優子

監修遠藤 誠(肉腫、骨軟部腫瘍/国立がん研究センター中央病院)

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