ニラパリブが卵巣がん患者の転帰を大幅に改善―画期的な結果 | 海外がん医療情報リファレンス

ニラパリブが卵巣がん患者の転帰を大幅に改善―画期的な結果

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ニラパリブが卵巣がん患者の転帰を大幅に改善―画期的な結果

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

PARP阻害剤であるniraparib[ニラパリブ]がプラチナ製剤感受性再発卵巣がんの転帰を著しく改善することが、コペンハーゲンで開かれた欧州臨床腫瘍学会(ESMO2016)集会ではじめて発表された。この結果は、ENGOT-OV16/NOVA試験データによって明らかになったもので、本データはNew England Journal of Medicine(NEJM)誌でも公開された。ニラパリブがプラセボと比較して無増悪生存期間を大幅に延長したことで、本試験の主要評価項目が達成された。

 

「再発卵巣がんの治療選択肢は限られています」と、本研究の筆頭著者で、デンマークRigshospitaletコペンハーゲン大学病院の腫瘍内科医長、北欧婦人科腫瘍学会(NSGO)の医療ディレクターを務めるMansoor Raza Mirza氏は述べた。「プラチナ製剤の化学療法は蓄積毒性があり、投与追加による利益がないなど使用が限られます。そうなると次の再発まで治療を一時停止し、再び併用化学療法を開始するのです」。

 

「欧州における維持療法の選択肢は現在のところベバシズマブですが、これは一度しか使えず、無増悪生存期間を2、3カ月延長する程度です。またPARP阻害剤のolaparib[オラパリブ]は、生殖細胞系BRCA遺伝子変異(卵巣がんの約10-15%)にしか承認されていません。欧州外では、承認を受けた維持療法が存在しません」と、Mirza氏は続けた。

 

この第3相試験は、European Network of Gynaecological Oncology Trial group(ENGOT)と共同で行われた。ENGOT-OV16/NOVA試験では、プラチナ製剤の化学療法に感受性のある再発卵巣がん患者に対する維持療法として、PARP阻害剤ニラパリブの有効性と安全性を評価した。患者をBRCA変異の有無でコホートにわけ、それぞれ2対1の割合で、ニラパリブ300mgを1日1回投与する群と、プラセボを投与する群に無作為に割り付けた。

 

本試験には553人が登録された。このうち203人は生殖細胞系BRCA変異を有し、残り350人には変異がなかった。ニラパリブはプラセボと比べ、両方のコホートおよびすべてのサブグループにおいて、主要評価項目の無増悪生存期間を有意に改善した。

 

無増悪生存期間の中央値は、生殖細胞系BRCA変異を持つ患者のニラパリブ群が21カ月、プラセボ群5.5カ月だった(ハザード比[HR]0.27、95%信頼区間[CI]0.173~0.410、p<0.0001)。生殖細胞系BRCA変異を持たない患者グループでは、ニラパリブ群9.3カ月に対し、プラセボ群は3.9カ月だった(HR 0.45、95%CI 0.338~0.607、p<0.0001)。さらにBRCA変異がないコホートで、相同組換えDNA修復欠陥(HRD)を有するというサブグループでも、ニラパリブ群12.9カ月に対し、プラセボ群は3.8カ月という結果だった(HR 0.38、95%CI 0.243~0.586、p<0.0001)。

 

ニラパリブの投与を受けた患者の10%以上に、グレード3/4の有害事象が発現した。28%は血小板減少、25%は貧血、11%は好中球減少だった。こうした有害事象は用量調節で対処でき、患者は治療を続けることができた。ニラパリブ、プラセボ両群ともに患者から報告されたアウトカムも同等だった。ニラパリブ群の患者は、症状のコントロールが維持され、プラセボ群と同程度の生活の質を維持した。

 

すべての副次的評価項目でも、有意な改善がみられた。変異の有無にかかわらず、またHRDサブグループにおいても、ニラパリブはプラセボと比較して、2回目の無増悪生存期間、初回治療終了後に次の治療を開始するまでの期間、そして化学療法の休薬期間を有意に延長した。

 

「これは卵巣がん患者にとって、飛躍的な進歩です」とMirza氏は述べた。「再発卵巣がんで、無増悪生存期間がこれほど長く延長されたのははじめてです。ニラパリブは、全卵巣がん患者の70%を占める患者集団に対し、すべての評価項目で有意な改善を示したのです。この画期的な試験結果で、再発卵巣がんの治療を変えられるかもしれません」。

 

「ニラパリブの承認がおりたら、BRCA変異の有無にかかわらず、私のすべてのプラチナ製剤感受性再発卵巣がん患者に使うことを考えます」と、Mirza氏は締めくくった。

 

今回の試験結果について、スペインのOncology Foundation Institute Valenciaの婦人腫瘍科の責任者を務めるAndrés Poveda氏は、「この試験結果は、PARP阻害剤から利益を受ける患者人口を、倍以上に増やしました」と述べた。

 

「高悪性度漿液性卵巣がんにも、個別化医療を使う時代がきました」と、Poveda氏は続けた。「これは、HRDを使って治療する患者を選択した最初の試験でしたが、有効な戦略であることが示されました。またBRCA変異を持つ患者もPAPR阻害剤の利益を受けることがわかりました」。

 

Poveda氏は、「今後の研究で、HRDを有するどの患者集団にPARP阻害剤が有効でなく、その理由は何か、そして長期間効き目を示したのはどの患者集団でその理由は何かを解明していく必要があります。また、サイクリンE陽性などHRD以外の要因で、治療が有効な患者を予測できるかどうかも知る必要があります」と締めくくった。

NEJM論文を見る

 

References

Abstract LBA3_PR “A randomized, double-blind phase 3 trial of maintenance therapy with niraparib vs placebo in patients with platinum-sensitive recurrent ovarian cancer (ENGOT-OV16/NOVA trial)” will be presented by Dr Mansoor Mirza during the Presidential Symposium 1 on Saturday, 8 October 2016, 16:30 to 18:00 (CEST) in Room Copenhagen.

NEJM citation: Mirza M, Monk B, Herrstedt J, et al. Niraparib maintenance therapy in platinum-sensitive recurrent ovarian cancer. N Engl J Med. DOI: 10.1056/NEJMoa1611310(NEJM論文全文)

原文掲載日

翻訳片瀬ケイ

監修原野謙一(乳腺・婦人科腫瘍内科/国立がん研究センター東病院)

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