治療難治性固形腫瘍に対するFGFR阻害剤第1相試験 | 海外がん医療情報リファレンス

治療難治性固形腫瘍に対するFGFR阻害剤第1相試験

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治療難治性固形腫瘍に対するFGFR阻害剤第1相試験

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

局所進行もしくは転移性の治療難治性固形腫瘍を有する患者を対象とした、汎線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤BAY 1163877の用量漸増試験の結果が、本日、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2016、コペンハーゲン)で報告された[1]。本剤がヒト対象とするのは初めてであり、また、この新規化合物では、腫瘍メッセンジャーRNA(mRNA)発現を利用し、奏効患者を特定する。

 

St Gallen Cancer Centre(スイス)の腫瘍内科指導医で、筆頭著者のMarkus Joerger氏は次のように述べた。「これまで腫瘍のFGFR異常を調べてきたFGFR阻害剤研究のほとんどで、際立った成果は出ていません。本研究では、腫瘍FGFR mRNA発現をバイオマーカーとする革新的アプローチを用いています」。

 

今回の多施設第1相試験は、6カ国で実施された。本剤の用量漸増試験は、腫瘍FGFR mRNA値の高い患者を対象とし、拡大コホートで実施された。患者合計80人が登録され、治療されたが、その内訳は、用量漸増試験相の患者23人、拡大コホート(膀胱がん、頭頸部がん、肺がん、登録されたすべてのがん患者)の患者57人であった。

 

用量漸増試験では、1回投与量50〜800mg(1日2回)の範囲で、5種類の用量について検証した。BAY 1163877の半減期は約12時間であり、200mgを超えた用量での曝露では、用量に比例した増加よりも少ないことが判明した。用量制限毒性は認められなかったため、最大耐量は規定されなかった。前臨床試験結果、および血清リン酸塩値と臨床分析の結果に基づき、今後の試験では、1回800mg1日2回の投与が推奨された。

 

毒性に関しては、ほとんどの患者が軽度の高リン血症を発症したが、これはすべてのFGFR阻害剤で起きる症状である。血中リン酸塩値のさらなる上昇を避けるため、該当患者には、低リン酸塩結合剤が投与され、BAY 1163877用量の減量が可能であった。

 

BAY 1163877の拡大コホートにおいて、最も高い活性がみられたのは膀胱がんで、患者8人中3人が部分奏効に至った。肺の扁平上皮細胞がん、頭頸部の扁平上皮細胞がんと腺様のう胞がんを有する患者の中にも部分奏効に至ったものがいた。線様のう胞がん患者では、1年以上奏効している。

 

Joerger氏は次のように述べている。「BAY 1163877は、治療利益が期待できる患者を効果的に特定する革新的バイオマーカーを応用すれば、忍容性に優れた化合物です。特に、患者の約35%にFGFR mRNA発現陽性を認める膀胱がんについては、さらに研究を進めるべきです」。

 

ヨーロッパがん研究所(イタリア、ミラノ)の初期創薬部門長であるGiuseppe Curigliano教授は試験結果について次のように述べた。「FGFR阻害剤は希少腫瘍の患者に対する治療薬となる可能性があります。この患者集団には、長期間にわたる疾病管理を伴う腺様のう胞がん患者が含まれます。分子スクリーニングプログラムの枠組みの中でわれわれは、FGFR mRNA発現を有する患者に治療機会を提供できる可能性があります」。

 

「BAY 1163877の毒性プロファイルは、開発中の他のFGFR阻害剤よりも優れています」と、同氏は続けた。「FGFR阻害剤が奏効する患者を特定するため、より多くの試験を実施する必要があります。本試験では、腫瘍FGFR mRNA発現は、奏効に関する最良の予測因子でした。本試験で得られた結果を今後の試験で検証することが次のステップとなります」。

 

脚注:
1. Abstract 360O_PR – ‘Phase I study of the pan-fibroblast growth factor receptor (FGFR) inhibitor BAY 1163877 with expansion cohorts for subjects based on tumor FGFR mRNA expression levels‘ will be presented by Dr Markus Joerger during the Proffered Paper session, Developmental Therapeutics on Saturday, 8 October, 11:00 to 12:30 (CEST) in room Rome.
2. FGFR: 線維芽細胞増殖因子受容体

原文掲載日

翻訳岐部幸子

監修花岡秀樹(遺伝子解析/サーモフィッシャーサイエンティフィック)

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