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免疫療法が転移性膀胱がんの一次、二次治療に有望

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免疫療法が転移性膀胱がんの一次、二次治療に有望

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

欧州臨床腫瘍学会2016年次総会(ESMO2016、コペンハーゲン)で発表された第2相臨床試験2件において、免疫療法は転移性膀胱がんの一次および二次治療で有望な結果を示した。

 

転移性膀胱がん患者のほぼ半数は、生存延長効果のある、一次治療としてのシスプラチンをベースとした化学療法を受けることができない。これらの患者の生存期間は、現在使用可能な代替化学療法のもとではわずか9~10カ月でしかない。

 

第2相臨床試験KEYNOTE-052は、シスプラチン不適応の転移性あるいは局所進行膀胱がん患者に対する一次療法としてのペムブロリズマブによるPD-1(プログラム細胞死1)阻害の有効性および安全性を評価した。本日、研究者らは本試験に登録した最初の患者100人の予備解析を発表した。本試験の主要評価項目である客観的奏効率は24%であった。薬剤に最も奏効する可能性がある患者を示すバイオマーカーのカットオフ値は、免疫細胞または腫瘍細胞に発現するすべてのPD-L1(プログラム細胞死リガンド1)が10%以上であることが示された。患者のうち30人にはこのレベルでPD-L1が発現していたが、そのうち11人(37%)は治療が奏効した。この奏効期間の中央値はまだ到達しておらず、治療は良好な忍容性を示した。

 

米国ニューヨークにあるニューヨーク大学ランゴーン医療センターの助教であり、本論文の筆頭著者であるArjun Balar医師は次のように言った。「ペムブロリズマブは、シスプラチンに適応しない転移性膀胱がん患者における一次治療薬としてかなり効果があり、安全性プロファイルも良好です。バイオマーカーのカットオフ値はより規模の大きい試験集団で確認する必要がありますが、それによって、ペムブロリズマブがよく奏効する可能性が最も高い患者を特定できると思われます。免疫療法は、この恐ろしい病に直面している患者に対するわれわれの治療アプローチのあり方を急速に変えつつあります」。

 

近年、免疫チェックポイント阻害薬が開発されるまで、数十年間にわたり、プラチナベース化学療法後に進行した転移性膀胱がん患者に対する二次治療の世界的な標準はなかった。本日発表された、もうひとつの研究、第2相臨床試験CheckMate275は、PD-1阻害剤ニボルマブの効果および安全性を、一次治療でプラチナベース化学療法後に進行した転移性膀胱がん患者270人において評価した。CheckMate275試験は、今日までに報告された膀胱がんにおけるPD-1阻害剤の最大規模の試験である。

 

有効性について評価することができたこれら患者のうち265人において、主要評価項目である客観的奏効率は19.6%であった。フォローアップの中央値7カ月の時点で奏効期間の中央値は未達であった。腫瘍のPD-L1発現率が高い患者、低い患者(PD-L1発現が1%未満の患者を含む)ともに、客観的奏効率は、化学療法でこれまでに達成した数値を上回った。

 

「このデータは、プラチナベース化学療法後に進行した転移性尿路上皮がん患者に対するニボルマブの医薬品登録を支持するために、米国食品医薬品局に提出される予定です。この適応について、同局はニボルマブを画期的な治療薬に指定しています。免疫チェックポイント阻害薬はこれら患者にとって最も有望な治療アプローチとなりました」と、米国ニューヨークにあるマウントサイナイ医科大学内科教授であり本論文の筆頭筆者であるMatthew Galsky博士は語った。

 

膀胱がんの管理の現状に関するコメントとして、ウォーリック大学がん研究センター(英国)の臨床腫瘍学の准教授であるMaria De Santis医師は次のように語った。「シスプラチン不適応患者、および、シスプラチンベース化学療法後も進行した患者に対する治療選択肢は不十分です」。

 

続けて同氏は次のように語った。「今年、初の免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブが膀胱がんに対して承認されました。そして、CheckMate275試験も二次治療の設定でニボルマブに関して同等の成果をあげています」。

 

「KEYNOTE-025試験により、免疫療法が化学療法よりもわずかに低い奏効率で、シスプラチン不適応患者に対する一次治療としても有効であることが確認されました。しかし、ペムブロリズマブによる奏効期間は従来の化学療法による奏効期間を上回ると思われます。この試験のプロトコルには、新たなバイオマーカーの定義とカットオフ値が含まれていましたが、さらに評価する必要があります」とDe Santis氏は語った。

 

同氏は「免疫チェックポイント阻害薬により、膀胱がんに関する治療方法の変化が始まりました。これから数年以内に免疫療法をほかの臨床ステージで使用したり、併用療法として使用することにより、さらに劇的な変化があることを期待しています」と結論づけた。

 

参考文献:

Abstract LBA32_PR – ‘Pembrolizumab (pembro) as first-line therapy for advanced/unresectable or metastatic urothelial cancer: Preliminary results from the phase 2 KEYNOTE-052 study, ‘will be presented by Dr Arjun Balar during the Proffered Paper Session Genitourinary tumours, non-prostate: on Saturday, 8 October, 9:15 to 10:30 (CEST).

Abstract LBA31_PR – ‘Efficacy and safety of nivolumab monotherapy in patients with metastatic urothelial cancer (mUC) who have received prior treatment: Results from the phase II CheckMate 275 study, ‘will be presented by Professor Matthew Galsky during the Proffered Paper Session Genitourinary tumours, non-prostate: on Saturday, 8 October, 09:15 to 10:30 (CEST)

原文掲載日

翻訳有田香名美

監修榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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