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初回ペムブロリズマブ併用療法は進行肺癌の治療成績を有意に改善

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初回ペムブロリズマブ併用療法は進行肺癌の治療成績を有意に改善

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

未治療の進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対し、標準的な初回化学療法にPD-1抗体であるペムブロリズマブを加えることにより、奏効率および無増悪生存が有意に改善することが、本日、コペンハーゲンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2016年総会で報告された。

 

ペムブロリズマブは、チェックポイント阻害剤と呼ばれる一種の免疫療法剤に属する抗がん剤で、腫瘍が体の免疫反応を抑え込む際に利用する仕組みを標的としている。

 

「ペムブロリズマブはT細胞の「再活性化」を可能にし、T細胞が本来の役割、つまり腫瘍細胞を殺す働き、を果たすようにデザインされたものです」と米国ペンシルベニア大学Abramsonがんセンターの胸部腫瘍科長で、臨床試験責任医師であるCorey Langer氏は述べた。

 

KEYNOTE-021と呼ばれる第2相臨床試験では、研究者らはIIIB/IV期の化学療法未治療、非扁平上皮非小細胞肺がん患者123人を、カルボプラチン+ペメトレキセド(500mg/m2を3週間毎)の4クール投与に24カ月間のペムブロリズマブ(200mgを3週間毎)投与を加える群と加えない群とに無作為に割りつけた。

 

追跡期間中央値10.6カ月の時点で、化学療法単独治療群と比較し、ペムブロリズマブ併用群において、有意に高い奏効率(55%対29%、P=0.0016)が観察された。この試験では腫瘍におけるPD-L1発現量による患者選択はなされなかったが、研究者らはPD-L1発現が50%以上の腫瘍における、ペムブロリズマブと化学療法併用での高い奏効率(約80%)に注目した。

 

この早い時点での重要な評価において、ペムブロリズマブ群の参加者では無増悪生存期間(PFS)が改善した(中央値で13.0カ月対8.9カ月)が、全生存率は2群間で同様であった(6カ月生存率は92%)。

 

化学療法単独群と比較しペムブロリズマブ群では、グレード3以上の有害事象の発生頻度は高かったが(39%対26%)、このことは治療の中断率(化学療法単独群の13%対ペムブロリズマブ群の10%)や治療関連死に影響を与えるものではなかった。本試験でもっとも多くみられた治療関連の有害事象は疲労・悪心と貧血であり、疲労・悪心はペムブロリズマブ投与を受けている患者、貧血は化学療法単独群でより多くみられた。

 

「本試験は未治療の進行非扁平上皮非小細胞肺がんを対象に、標準的化学療法にPD1を標的とするモノクローナル抗体を加えることの有用性を評価するために行われた最初のランダム化第2相臨床試験です」とLanger氏は述べた。「現在進行中の第3相臨床試験でこれらの有用性が確認されれば、進行非小細胞肺がんの治療が根本的に変わる可能性があります」。

 

本試験を評して、英国マンチェスターのクリスティ病院および南マンチェスター大学病院腫瘍内科の顧問であるRaffaele Califano氏は「本集団における化学療法とペムブロリズマブ併用のデータは大いに期待できるものであり、初回化学療法へのペムブロリズマブの併用による毒性は対処可能で、併用により治療関連の有害事象や死亡の頻度が増加しないことは心強いことです」と述べた。

 

「ここで注意すべきことは、標準治療群で報告された無増悪生存(PFS)が予想よりもはるかに長く、歴史的なデータと比較しても約2倍であった点です。このことは患者選択や本試験に登録された患者の他の臨床的および分子生物学的特性が影響している可能性があります」とCalifano氏は述べた。

 

「この免疫チェックポイント阻害剤の併用という戦略を実診療に適用すべきかどうかを確かめるためには、同様のデザインで、無増悪生存(PFS)の差を検討する十分な検出力を有し、かつ患者の治療結果をしっかりと評価しうるランダム化第3相試験でさらに検証する必要があります」。

原文掲載日

翻訳橋本奈美

監修田中文啓(呼吸器外科/産業医科大学)

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