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イピリムマブ術後療法はステージ3、高リスク皮膚癌の生存を改善

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イピリムマブ術後療法はステージ3、高リスク皮膚癌の生存を改善

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)

高リスクのステージIIIメラノーマ(悪性黒色腫)患者において、術後化学療法としてのイピリムマブは全生存率を有意に改善することが、本日コペンハーゲンで開催中の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2016年総会で初めて発表された。この結果は、EORTC 18071第3相試験によって示された。

 

「イピリムマブは細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)を阻害する免疫チェックポイント阻害薬です」と、筆頭著者でフランス、ヴィルジュイフのInstitut Gustave Roussy事務総長であるAlexander Eggermont教授は言った。「イピリムマブは2011年に欧米で進行性メラノーマの一次治療として承認されました。次の疑問は、その術後化学療法における有用性でした」。

 

EORTC 18071第3相試験では、メラノーマの高リスクステージIII患者に対する術後化学療法としてのイピリムマブを評価した。2008~2011年の間に、951人の患者がイピリムマブまたはプラセボに無作為に割り付けられた。インターフェロンは欧州では日常的に使用されておらず、また、標準治療として承認されていないため、比較薬剤として使用されなかった。

 

2015年の報告で、本試験は中央値2.3年の追跡期間後、主要エンドポイントを達成、イピリムマブは有意に無再発生存率を改善した。本剤はその後、ステージIIIメラノーマの術後化学療法として米国食品医薬品局(FDA)に承認された。

 

追跡期間中央値5.3年の現在、全生存率における影響が報告され、死亡相対リスクを28%減少させることが示された(ハザード比0.72、p=0.001)。無再発生存率および無遠隔転移生存率のハザード比0.76(各p<0.001、p=0.002)と、すべてのエンドポイントで一貫性が示された。絶対的には、5年時全生存率はイピリムマブ群で65%と、プラセボ群の54%より11%高かった。

 

イピリムマブは免疫関連有害事象を起こすことが知られている。5.3年時において、2.3年時の初回報告以来、毒性または死亡の追加報告はみられなかった。最も重要なグレード3~4の有害事象は消化器系(16%)、肝臓系(11%)および内分泌系(8%)であった。これらの事象は確立されたアルゴリズムで管理され、多くの場合4~8週間以内に回復した。内分泌系有害事象は回復にほかより長期を要す、または永久的なホルモン置換療法が必要だった。

 

Eggermont教授は言った。「イピリムマブによる術後化学療法は全生存率を有意に改善し、好ましいリスクーベネフィット比を示しました。これはステージIIIメラノーマ患者さんへの重要な選択肢を明らかに提示しています」。

 

結果についてのコメントで、スイス、ローザンヌにあるローザンヌ大学病院の個別化分析腫瘍科長であるOlivier Michielin氏は言った。「これはメラノーマに対して術後化学療法でチェックポイント阻害を適用した最初の試みでした。その効果は、統計的・臨床的に有意である死亡リスクの28%減少と、絶対値としての5年時全生存率における11%の上昇でした」。

 

「これは科学的に重要な知見でもあります」と、Michielin氏は加えた。「イピリムマブは腫瘍抗原に対する免疫系を刺激することで作用します。術後化学療法においてはごく微小な残存病変しか存在していない状況であり、これまでは、免疫反応を惹起するのに十分な量の抗原が存在しているかは明らかでなかったのです」。

 

同氏は続けた。「今やこの方法のリスクとベネフィットについては、患者さんたちと議論すべきです。毒性は無視できないため、患者さんたちは有害事象プロファイルを意識する必要があります。本試験で使用された10mg/kgのレジメンは重大な毒性と関連する可能性があるため、実績のある施設で実施すべきです」。

 

Michielin氏は結論付けた。「本試験はメラノーマ治療の重要な一里塚を示しました。これらの結果はメラノーマ同様ほかの疾患タイプに対する術後化学療法の治癒率を検討・改善するための、チェックポイント阻害に基づく試験への扉を開いたと言えるでしょう。われわれは現在、術後化学療法における、PD-1チェックポイント阻害抗体ペムブロリズマブとプラセボとを比較検討する、EORTC 1325試験を含むいくつかの試験の結果を待っているところです」。

原文掲載日

翻訳大澤朋子

監修北尾章人(血液・腫瘍内科/神戸大学大学院医学研究科)

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