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スニチニブ、腎がん術後療法の第3相で無病生存を改善

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スニチニブ、腎がん術後療法の第3相で無病生存を改善

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) 

スニチニブの第3相試験で、腎摘除後の高リスク腎細胞がんに対する術後補助療法において主要評価項目の無病生存期間を達成したことが、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2016年度会議(コペンハーゲン)で報告された。

 

「腎臓の一部摘除または全摘除後の腎臓がん再発率は、一部の患者サブグループでは50%にもなります」。本研究筆頭著者Alain Ravaud教授(フランス、ボルドー大学病院、腫瘍内科学部長)は話す。「これが腎臓がんと、乳がんなど再発率が概して低い他の腫瘍との違いです」。

 

「転移性腎臓がん患者の病態をコントロールするよい薬剤はありますが、標準的な術後補助療法はありません」と、同氏は付け加えた。

 

今回の第3相試験では、スニチニブ(受容体チロシンキナーゼ阻害剤)を用いた術後補助療法に関して、淡明細胞型腎細胞がんと呼ばれる腎臓がんの無病生存期間を延長する効果を調べた。試験は、腎摘除後でがん再発リスクの高い患者615人を対象として実施された。患者は1年間プラセボあるいはスニチニブを投与する群に無作為に割り付けられた。スニチニブは1日50mg、4週間投薬/2週間休薬のスケジュールで投与し、1日37.5mgまでは投与量減量が認められた。独立した中央審査で転移が疑われた患者は、試験対象から除外された。

 

主要評価項目は無病生存期間であった。評価を行ったのは、放射線科医から成る独立中央審査委員会で、CTスキャン検査によりイベント発生の有無を判定した。イベントとして、残存する腎臓または局所リンパ節での再発、転移、二次性悪性腫瘍が想定された。独立中央審査と試験医師の間で見解が異なった場合、該当する腫瘍の生検標本または外科切除標本を採取して判定した。すなわち、がんが検出されれば、再発と判定された。

 

試験の主要評価項目は、プラセボ群の無病生存期間5.6年に対してスニチニブ群では6.8年と、有意な延長により達成した(ハザード比0.761, p=0.03)。グレード3以上の有害事象はスニチニブ群62.1%、プラセボ群21.1%と、スニチニブの方が多くみられた。治療毒性により死亡した患者はいなかった。

 

Ravaud氏は言う。「スニチニブは、今回示された無病生存期間の延長、管理可能な安全性プロファイルを考えると、腎細胞がんに対する術後補助療法として新たな選択肢となる可能性があります。現在、この病態における標準治療はないため、今回の試験結果で治療法が変わるかもしれません」。

 

同氏は結論として次のように述べた。「スニチニブが腎細胞がんの術後補助療法として規制当局から承認されることを期待します。そうなれば、臨床医は本試験に従ってスニチニブを使用すべきです。つまり、淡明細胞型腎細胞がんが優位で、転移がなく、再発リスクの高い患者に対して、開始投与量1日50mg、最低投与量1日37.5mgとする上記スケジュールでの投与です。これが特に重要な点です。なぜなら、スニチニブは、上記とは異なる投与方法を用いた別の試験では有用性が示されなかったからです」。

 

今回の結果について、Thomas Powles氏(英国ロンドン、Barts Cancer Institute泌尿器がん科教授)は、次のようにコメントした。「今回の肯定的試験は、ほぼ同様のデザインで以前に行われた、より大規模な術後補助療法試験(ASSURE)との関連で解釈すべきです。ASSURE試験では無病生存期間あるいは全生存期間で有意差は示されませんでした。このことから多くの疑義が生じます。私は無増悪生存のメタ解析は否定的結果となり、現時点では治療法の変更は時期尚早ではないかと思います。両試験とも、術後補助療法としてのスニチニブは毒性を伴うことを示しています」。

 

同氏は続けて述べた。「無病生存期間は、有用な代理評価項目ではありますが、異なる試験で相反する結果が出ています。それは、代表的標準である全生存期間に必ずしも読み替えられるわけではありません。今回の試験の予備的結果は、生存利益を示していません。この研究領域では他にも多数の試験が進行中であり、その中から、生存利益へと流れを変えるような肯定的な結果が出ればよいと思います」。

 

Powles氏は次のように締めくくった。「無病生存に関して一貫して肯定的な証拠がない現状で、特にその毒性を考えると、私は自分の患者に術後補助療法としてスニチニブを勧めるにはまだ早いと考えます。生存に関する肯定的な証拠、すなわち無病生存期間のメタ解析が必要でしょう。この領域におけるさらなる研究が待たれます」。

原文掲載日

翻訳山田登志子

監修榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

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