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進行大腸がんへの抗IL-1α抗体製剤の効果に疑問視

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進行大腸がんへの抗IL-1α抗体製剤の効果に疑問視

欧州臨床腫瘍学会(ESMO) プレスリリース

 

2016年7月2日(土)のセッション19(大腸がんセッション)での、Tamas Hickish氏による「進行大腸がんにおけるMABp1の重要な第3相試験」(1)の発表後、本学会の科学委員会に提出された抄録やそれに付随するプレスリリース翻訳版はこちら)では取り上げられなかったいくつかの領域について、活発な議論が沸き起こった。

 

リスボンにあるInstituto CUF de OncologiaのDirk Arnold教授は、本セッションにおける抄録の討論参加者でESMO理事であり、こう説明している。「本抄録ではさまざまな重要な課題が取り上げられたため、口頭抄録としての発表に選ばれました。第一に、本試験では、がんに関連した諸症状を有する末期の転移性大腸がん患者の治療における、いまだ対処されていない課題について取り上げています。そして第二に、症状改善パラメーター(XBiotech社が作成し、欧州医薬品庁(EMA)作業部会と合同開発)の新たな『採点法』を用いた、興味深い患者関連評価項目を使用しています。この採点法は、全く新しいわけではありませんが、がんに関連した諸症状の改善に焦点を置いた同様の手法が1990年代半ばに用いられた結果として、ゲムシタビン(膵臓がんに使用される抗がん剤、Burris ら、 J Clin Oncol 1997)が承認されたのは、非常に興味深いことです」。

 

「2対1のランダム化や注目すべき症例数が示された本試験の実施は、容認できるものでした(しかし有益性の評価や一貫した症例数の計画は示されなかった)。しかし発表の際に、試験に関するさまざまな課題が浮き彫りになった結果、活発な討論が生じました。最も重要なのは、『改善が76%増加~』という主張には、(相対的な改善率を示すものとしては)語弊があるということです」。

 

「この新しい採点法に基づき、8週間後に報告された症状改善に関連する数字は、MABp1で治療を受けている患者では33%、プラセボ群の患者では19%です。ですから、実薬で症状が改善した患者との差はわずか14%です。興味深いことに、患者の19%は実薬なしで症状が改善し(本試験におけるプラセボ群)、実薬群よりも相対的に多かったのです。そのうえ、8週間のいつの時点で症状緩和の徴候が認められたかについては、言及されていません」。

 

 Arnold教授は、以下のように続けている。「私は、本抄録についての考察において、新しい症状改善採点法を用いた『臨床的奏効群の詳細な解析』には、309人の患者すべてが含まれることを強調しました。しかし、『(X線写真上での?)病勢安定との相関』や『重篤有害事象が発生した患者数』については、治療から独立して、『奏効群』対『非奏効群』として実施されただけでした。ですから、プラセボで『奏効した患者』も、この解析に含まれました。『全生存』曲線についても同じことが言えます。ただこちらは一部の患者だけ(175人)が登録されました」。

 

「最後に、この試験が理にかなっているかどうかはこれから審議するところですが、これらの結果には詳細な検討がなされていないので、信頼することもできません。この試験を診療として実行する場合に有益性があるかどうか、まだ明らかになっていません」。

 

本声明は、オリジナルのプレスリリースの続報であり、ESMOの主要なオピニオン・リーダーの見解が反映されている。本声明は、ESMO広報担当者が早急に審査したニュースを迅速に追跡する会議にて共有されることが望ましい。

 

参考文献

(1) Abstract O-027 – ‘A pivotal phase 3 Trial of MABp1 in advanced colorectal cancer’ was presented by Dr. Tamas Hickish during Session XIX: Colorectal Cancer, on 02.07.2016.

原文掲載日

翻訳生田亜以子

監修廣田 裕(呼吸器外科、腫瘍学/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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