バレニクリンを用いた禁煙は心臓発作やその他の重篤な心疾患のリスクを高める/ジョンズホプキンズ大学 | 海外がん医療情報リファレンス

バレニクリンを用いた禁煙は心臓発作やその他の重篤な心疾患のリスクを高める/ジョンズホプキンズ大学

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バレニクリンを用いた禁煙は心臓発作やその他の重篤な心疾患のリスクを高める/ジョンズホプキンズ大学

2011年7月4日

人気の禁煙補助薬は、重篤な心血管イベントの発生リスクをプラセボ群と比較して、72%増加させることが判明

最もよく使用されている禁煙補助薬を服用している健康な中高年の喫煙者では、プラセボ群と比較して、心臓発作やその他の重篤な心疾患によって入院するリスクが72パーセント増加する。これは、ジョンズホプキンス大学主導の研究により示された結果である。

「心血管疾患のリスクを軽減させるという禁煙の動機があるにもかかわらず、本薬剤を服用することで、この軽減すべきリスクを逆に増大させることとなる。」と公衆衛生学修士を持つSonal Singh医師は説明する。同医師は、本研究の筆頭著者でジョンズホプキンス大学医学部一般内科助教である。

Canadian Medical Association Journal誌に掲載された今回の研究では、バレニクリンまたはプラセボのいずれかを投与した8200例を超える健康な被験者を対象とした二重盲検無作為化比較臨床試験14件について、Singh医師らが再検討および分析した。(バレニクリンはファイザー社が製造し、チャンピックスという製品名で米国内で販売されている。)バレニクリン群とプラセボ群どちらにおいても死亡した被験者は同数(7例)であったが、バレニクリン群において、入院を要する心臓発作や不整脈などの主要有害心血管イベントのリスク増加は72%であった。いずれの臨床試験においても1年以上の追跡調査は行われていない。臨床試験参加者は、主に男性で、平均年齢は45歳未満であった。
自力での禁煙の試みと比較して、 バレニクリン を使用した禁煙の成功率はやや上昇することが分かっている。とはいえ、一般的には、薬剤の助けを一切かりずに禁煙する人が大多数を占める。

さらに、バレニクリンには、自殺念慮および自殺行為に関連があるとしてFDAの最も重大な警告である枠組み警告が出されていることをSingh医師は指摘した。「チャンピックスの心血管系への安全性に対する懸念を、FDAに今年の初めに通知しました。」と同医師は続けた。

FDAは6月16日、心臓に基礎疾患をもつ患者がバレニクリンを使用すると、心臓発作やその他の心血管イベントのリスクがわずかに増加するという発表を、700例を対象とした臨床試験の結果に基づき行った。しかし、今回の研究により、心疾患をもたない喫煙者にとっても、バレニクリンが、重篤な心血管イベントのリスクを大幅に増加させることが分かった。「バレニクリンに関する本研究は、リスクベネフィットプロファイルを検討する段階にきていると思います。」とSingh 医師は見解を述べる。「憂慮すべきでしょう。禁煙するためにチャンピックスを使用する必要はないし、今回の研究結果からも、同薬剤の使用を避けるべき根拠が示されています。」

長い間、喫煙は心疾患および心臓死のリスク増加に関係しているとされ、禁煙により、このようなリスクが減少することが分かっている。Singh医師と、Wake Forest University 医学部およびイギリスのUniversity of East Anglia の研究者らは、禁煙の必要性を強調すると同時に、バレニクリンが禁煙を補助するのに適した薬剤ではない可能性を示唆した。

Singh医師によると、同薬剤と心血管疾患のリスクの関係性に関する懸念は、2006年に発売されて以来存在したが、今回の研究で初めてリスクの程度が明確になった。また、同医師は、FDAがバレニクリンの米国内での販売を承認する際に、優先審査制度を適用しており、監督機関 による見直しを希望している。

今回の研究は、the National Center for Research Resources および the National Institutes of Health Roadmap for Medical Research からの助成金を受けて実施された。

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内田彩香 訳
酒井 伸茂  (薬剤師)  監修
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原文

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