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カルシウムにビタミンDを加えると黒色腫リスクが低下する女性がいる/スタンフォード大学

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カルシウムにビタミンDを加えると黒色腫リスクが低下する女性がいる/スタンフォード大学

2011年6月27日

カルシウムとビタミンDの併用により、悪性黒色腫(メラノーマ)に進行するリスクの高い女性の半数において、その危険性をカットできる可能性が、スタンフォード大学医学部の研究者らによる新しい研究から明らかとなった。

非黒色腫皮膚癌という一般的で非致死性疾患の人々は、より致死的な疾患—メラノーマをより発症しやすいので、大規模臨床試験の既存データを利用し、この研究では非黒色腫皮膚癌の既往がある女性に焦点を絞った。一度非黒色腫皮膚癌を発症し、カルシウムとビタミンDを同時に摂取した女性は、同じ既往のこれらを摂取しなかった女性よりもメラノーマの発症率が57パーセント低かったことが明らかとなった。基底細胞癌または有棘細胞癌などの非黒色腫皮膚癌は、最もよく見られる皮膚癌である。

「予防医学においては、メラノーマのリスクが最も高い人々を対象にしたいと考えています」皮膚科医でこの研究の筆頭著者であるJean Tang医学博士はこう述べている。「もしあなたが今まで非黒色腫皮膚癌に罹患したことがあるのなら、カルシウムとビタミンDの併用により、より致死的なメラノーマを発症するリスクを下げられる可能性があります。」

Tang博士は注意も発している。1日量として1,000mgのカルシウムと400IUのビタミンDを摂取しても、全ての人の皮膚癌予防となるわけではないことが、この研究からわかった。研究によれば、サプリメントを摂取した非黒色腫皮膚癌の既往のない女性では、プラセボを摂取した対照群と比較してリスク減少は認められなかった。

この研究は6月27日付のJournal of Clinical Oncology誌のオンライン版に掲載された。

ビタミンDは骨の成長において、その役割がよく知られているが、非骨格性細胞にも影響を及ぼしている。皮膚を含む身体の多くの部分において、ビタミンDは細胞の複製速度をコントロールしている。この複製過程は癌においてしばしば失敗する。多くの研究施設からの報告により、ビタミンDは大腸癌、乳癌、前立腺癌、そして他の癌腫のリスク軽減に関与していることが示唆されている。それにもかかわらず、昨年の11月に米国医学研究会はビタミンDとカルシウムについて、骨の健康以外の条件に対する有用性を示すには証拠が不十分であるため、さらに研究が必要であるとの報告を出した。

この研究は、癌のリスクに関するビタミンD補給の効果について調査するランダム化比較試験としては2つめの研究である。

Tang博士らは、50歳~79歳の女性36,000人を平均7年間追跡した女性の健康イニシアチブ(Women’s Health Initiative、WHI)のデータを解析した。この試験の一環として、半数の女性はカルシウムとビタミンDの1日量を摂取し、残りの半数はプラセボを摂取した。WHIカルシウムとビタミンD併用試験は、股関節骨折と大腸癌におけるサプリメントの効果を検証するためにデザインされたものであるが、他の癌腫を含む多くの健康上の問題におけるデータも収集された。

Tang博士らは、皮膚癌に対しビタミンDに予防効果があるかどうかを調査するため、WHI試験から提供された大規模で長期間のデータセットを利用した。「我々の結果は、カルシウムとビタミンD併用試験で初めて癌発生の減少効果が認められました」と、本論文の共著者で、近年医学部を卒業したTheresa Fu医師は述べた。

非黒色腫皮膚癌の既往がない女性において予防効果が得られなかったことは、WHI試験での患者に対するビタミンDの投与量によるものと思われる。「このWHI試験での患者に投与したビタミンDの量は今日の知識からすると非常に低く、一日あたりわずか400IUであった」と、内分泌学の名誉教授で本研究の共著者であるDavid Feldman医師は述べている。さらに、プラセボ群の患者らは、カルシウムとビタミンDが投与された患者らと同量のビタミンDの摂取が許可されており、そのため2つの群間の試験における差は小さかった。この差が小さかったことを踏まえ、Feldman医師は「メラノーマのリスクに対し効果があったことは、やや驚くべきことであり、ビタミンDの多くの潜在的有益性が検出されなかった可能性があると、私は考えています」と述べた。

この試験には男性が含まれていなかったため、サプリメントの予防効果が非黒色腫皮膚癌の既往のある男性に対しても適用できるかどうか確かめることができなかった。それにもかかわらず、Tang博士らによる2010年の研究から、ビタミンDの血中濃度が高い高齢男性では非黒色腫皮膚癌がより少ないことが示された。

WHIのような大規模な研究においてさえメラノーマの発症頻度が低いことは、癌の絶対数が少ないことを意味している。36,000人の参加者のうち、メラノーマが報告された例はわずか176人であった。「このことは、メラノーマのような比較的まれな癌を捉えるには、いかに大規模な研究が必要であるかを強調するものです」と、スタンフォードWHIの試験責任医師で本論文の上席著者であるMarcia Stefanick博士は述べている。

「これらの結果は、われわれがさらなる研究を行うことに拍車を掛けるものです」と、Tang博士は述べている。博士はビタミンDと癌予防との潜在的関連性を検討するため、複数の研究方針を計画しており、ビタミンDの血中濃度とメラノーマの転帰を比較する試験が含まれている。また別の研究計画では、皮膚癌リスクが高い患者での皮膚細胞の性状に対する高用量のビタミンDの効果を調べることになっている。

本論文のその他の著者は、前スタンフォード病院皮膚科レジデントのEleni Linos医師、医学博士と、ノースウエスト・カイザー健康研究センター、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院、ハーバード大学医学部、ウェイクフォレスト大学ヘルスサイエンス、ロズウェルパークがん研究所、フレッド・ハッチンソンがん研究センターの共同研究者である。

本研究に資金援助を行ったのは、米国立心臓・肺・血液研究所、米国保健社会福祉省、米国立関節炎・骨格筋・皮膚疾患研究所、米国立研究資源センター、スタンフォード大学医学部医学研究フェローシップである。

本研究をサポートしたスタンフォード大学皮膚科の詳細については、http://dermatology.stanford.edu/ のサイトにて確認できる。

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山下裕子 訳
須藤 智久(薬学、臨床試験/国立がん研究センター)監修
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原文(英文)へのリンクになります。
なお翻訳は現在、原文の翻訳許諾を取得中のため、公開までに暫く時間がかかることが予想されています。恐れ入りますが暫くお待ちくださいませ。

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