皮膚癌・卵巣癌細胞の”進化”を解明/カリフォルニア大学サンフランシスコ校 | 海外がん医療情報リファレンス

皮膚癌・卵巣癌細胞の”進化”を解明/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

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皮膚癌・卵巣癌細胞の”進化”を解明/カリフォルニア大学サンフランシスコ校

掲載日:2011/06/29
連絡先:Jason Socrates Bardi
電話:(415)502-6397
メール:jason.bardi@ucsf.edu

サンフランシスコ発:カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究者を中心とするチームが、ヒト癌細胞が正常で健全な状態から,侵襲的な悪性腫瘍へ変化していく際にどの変異が発現してくるかを決定することにより、癌細胞の”進化”を明らかにする方法を開発した。この研究により、医師が初期の癌を発見できるような新しい診断法が開発されるかもしれない。初期の癌であれば、それ以降よりも一般的に治療がしやすい。

今回のアプローチは癌細胞のDNAをばらばらにする方法により、いわば遺伝子考古学といったものである。ちょうど考古学者が発掘現場から出土した物品の年代を,その周辺で発掘されたものの年代から決定するように、今回の新技術においては、癌細胞のDNAを掘り出し、周辺にある遺伝物質を見てどの遺伝子変異が最初にくるかを決定する。

この新技術を使うことで,正常細胞と2種類の癌細胞を鑑別する変異を同定できただけでなく, いくつかの最も鍵となる変異が起こった,正確な順序も同定することができた.

「どの変異が先でどれが後なのかがわかります」。UCSFの皮膚科医Raymond Cho医師/医学博士はこう述べた。

Cho氏はじめUCSFの研究者らは、オレゴン健康科学大学のPaul Spellman氏とJoe Gray氏のグループ、カリフォルニア大学バークレー校Elizabeth Purdom氏、さらにサムスン総合技術院の研究者らと共同でこの技術を開発した。本研究は今週のCancer Discovery誌に掲載される。

癌は極めて多様性のある疾患で、単一の疾患ではなく,何千種類にもなる。癌の種類が異なれば、各臓器に及ぼす影響、体内での挙動、治療に対する反応、さらには顕微鏡での見え方まで違う。そしてもっとも根本的なのは、すべて遺伝子的に異なることだ。

癌は細胞のDNA内の変異が原因で発生する。あらゆるものが変異の原因となるたとえば、家系的遺伝、感染症、毒物、放射能、太陽光、あるいはこれらの組み合わせ。時の経過とともに、これらの変異が一部の遺伝子の働きを停止させたり、反対に他の遺伝子産物の産生を開始させたりして、最終的には細胞の増殖、成長、拡大、その他癌の不吉な特性を示すようになる。

どの変異が最初に発生するかに興味をもったCho氏らは、癌細胞の長鎖DNAの数が異常に倍となっていることが多いという事実に着目し、変異部分を切り取る方法を開発した。この技術は,癌細胞の遺伝子配列を決定することにより,どの変異が2重となっているかを検索する. そうなっていれば,複製する前にその変異が起こっていたことを示す. Cho氏らは、もっとも変異数が多い癌のひとつである,皮膚癌の一種である扁平上皮癌と、一般的な型の卵巣癌について研究を行った。これらの癌との関連が知られる遺伝子TP53の複製物の蓄積を調べたところ、ほとんどの場合,これまで考えられていた時期より早期に,TP53には複雑な変化が生じていることがわかった。

この結果は重要である。というのは,変異部分の実際の配列を同定できれば、どの変異が前癌病変につながり、さらにはどの変異が侵襲的な癌を生 み出すのかを決定するのに役立つだろうから, とCho氏は述べている.

本研究記事”Temporal Dissection of Tumorigenesis in Primary Cancers”の著者は次のとおり。 Steffen Durinck, Christine Ho, Nicholas J. Wang, Wilson Liao, Lakshmi R. Jakkula, Eric A. Collisson, Jennifer Pons, Sai-Wing Chan, Ernest T. Lam, Catherine Chu, Kyunghee Park, Sung-woo Hong, Joe S. Hur, Nam Huh, Isaac M. Neuhaus, Siegrid S. Yu, Roy C. Grekin, Theodora M. Mauro, James E. Cleaver, Pui-Yan Kwok, Philip E. LeBoit, Gad Getz, Kristian Cibulskis, Jon C. Aster, Haiyan Huang, Elizabeth Purdom, Jian Li, Lars Bolund, Sarah T. Arron, Joe W. Gray, Paul T. Spellman, and Raymond J. Cho. Cancer Discovery誌2011年7月号に掲載。参照:http://dx.doi.org/10.1158/2159-8290.CD-11-0028

本研究に参加したUCSF以外の著者の所属は、ローレンス・バークレー国立研究所、カリフォルニア大学バークレー校、サンフランシスコ皮膚病理研究所、サムスン総合技術院、サムスン電子本社、Eli and Edythe L. Broad Institute(ハーバード大・マサチューセッツ工科大)、ブリガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタル(ボストン)、北京ゲノム研究所(中国・深圳)、オーフス大学(デンマーク)、オレゴン健康科学大学。

本研究は次の団体から資金提供を受けた。国立関節炎・骨格筋・皮膚疾患研究所、国立癌研究所(NCI)、国立研究資源センター、(NCRR)、米国エネルギー省、陸軍省、退役軍人省、カリフォルニア大学Cancer Coordinating Committee, カリフォルニア大学サンフランシスコ校Clinical & Translational Science Institute また、サムスン総合技術院およびStand Up To Cancer(米国癌研究会議のドリームチームによる実用的癌研究補助金)から無制限の資金提供を受けた。

追加支援として、Dermatology Foundation Psoriasis Career Development Awards, Canary Foundation/American Cancer Society Postdoctoral Fellowship for the Early Detection of Cancer, Samsung Biotechnology Scholar-in-Residence programから資金提供を受けた。

USCFは、先進的なバイオメディカル研究、ライフサイエンスと医療の大学院レベル教育、すぐれた患者ケアを通じ、世界中の健康増進を目標とする有数の大学である。ツイッターでUCSFをフォロー: @ucsf/ @ucsfscience

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訳   橋本 仁
監修  廣田 裕(呼吸器外科/とみます外科プライマリーケアクリニック)
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原文

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