前立腺癌予防試験のレビューから、セレニウムおよびビタミンEサプリメントの使用に有益性のないことが示される | 海外がん医療情報リファレンス

前立腺癌予防試験のレビューから、セレニウムおよびビタミンEサプリメントの使用に有益性のないことが示される

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

前立腺癌予防試験のレビューから、セレニウムおよびビタミンEサプリメントの使用に有益性のないことが示される

NCIニュース 2008年9月4日
12月9日更新

米国国立癌研究所(NCI)など米国国立衛生研究所に属する複数の機関から資金援助を受けたセレニウムおよびビタミンE癌予防試験(SELECT)の試験データに関する最初の独立したレビューから、セレニウムおよびビタミンEサプリメントの単剤投与、併用投与はいずれも前立腺癌を予防しないことが明らかになりました。

試験データによって二つの気がかりな傾向も示されました。試験でビタミンEを単剤で服用した50歳以上の35,000人を超える男性において、統計的に有意ではありませんが、前立腺癌症例数のわずかな増加が認められたことと、同じく統計的に有意ではないがセレニウムを単剤で服用した男性に成人発症型糖尿病の症例数のわずかな増加が認められたことです(セレニウム服用群で10%、プラセボ服用群で9.3%)。どちらの結果もサプリメントによるリスク増加を実証するものではなく、偶然によるものである可能性もあります。

研究機関の国際ネットワークである米国南西部癌臨床試験グループ(SWOG)は、米国、プエルトリコ、カナダの400以上の臨床施設でSELECTをコーディネートしました。

SELECTの試験データと追加的な分析は米国医師会誌(JAMA)2008年12月9日付オンライン版で発表されました。中でも注目される結果は前立腺癌の5年発症率で、プラセボ服用群で4.43%、セレニウム服用群で4.56%、ビタミンE服用群で4.93%(最も高い発症率ですが、プラセボ服用群と統計的有意差は示されていません)、セレニウムおよびビタミンE服用群で4.56%でした。

臨床試験プロトコルの順守率は1年目から5年目にかけて低下しましたが(5年目で83%vs.65%)、これは予想されていたことであり、試験結果に影響はありませんでした。

SELECTの参加者は、試験のレビューの説明と試験用サプリメントの服用を中止するよう伝える書簡を受け取っています。試験スタッフが参加者の健康状態を引き続きモニターし、前立腺癌発見のため定期的に直腸診や前立腺特異抗原(PSA)検査も行われます。研究者は参加者を約3年間追跡観察し、サプリメントまたはプラセボの服用の長期的な作用を究明し、前立腺癌やその他の癌、男性の加齢による疾病をさらに理解するための大規模な分子解析に用いられる血液試料のバイオレポジトリー を完成させる予定です。このさらなるデータ収集は本試験においてきわめて重要です。

患者も医師もサプリメントとプラセボのどちらを服用しているか知らされておらず、この方法は盲検化または遮蔽化として知られています。SELECT参加者の追跡調査中も、参加者は盲検化されています。追跡調査を盲検化することによって無意識の偏見や誤った結論が出る可能性を回避できます。しかし、参加者の要望により、サプリメントの投与を受けていた場合はその種類を通知されます。

「SELECTは前立腺癌に関する複数の問題への回答となるような試験として常にデザインされました。私たちは35,000人の男性の健康状態をモニターし続けており、その情報は前立腺癌を予防できるという強力な初期のエビデンスを示した2つの栄養素になぜ有益性がなかったのかを理解する上で役立っています」とSELECTの試験共同委員長でクリーブランドクリニックのEric Klein医師は述べました。

SELECTは、前立腺癌が主要評価項目でない以前の別々の研究結果を実証するために行われました。一つは肺癌予防のためにビタミンEを服用したフィンランドの29,133人の男性喫煙者を対象とした1998年の試験で、驚いたことにビタミンEを服用した男性では前立腺癌の発症率が32%少ないことがわかりました。もう一つは、病気予防のためにセレニウムを服用している皮膚癌の男女1,312人を対象とした1996年の試験で、セレニウムを服用している男性は服用していない男性より前立腺癌の発症率が52%少ないことが示されました。

これらの試験や以前の研究結果を基に、2001年にSELECTに参加する男性が募集されました。彼らには4セットのサプリメントまたはプラセボのうちの1つが無作為に割り当てられ、各グループには8,000人以上が登録されました。参加者は、セレニウムとビタミンE、セレニウムとビタミンEのプラセボ、ビタミンEとセレニウムのプラセボ、ビタミンEとセレニウム両方のプラセボを服用する4グループに分けられました。

SELECTが男性を募集する一方で、2003年にSWOGが資金提供した別の試験でフィナステライドが前立腺癌の発症を25%減少させたと報告したことは注目すべきです。この結果が分かったとき、SELECTに参加する男性はその旨を通知され、フィナステライドの服用を許可されました(他のSWOGの試験に参加していない男性の4.8%がSELECT実施中のある期間にフィナステライドを服用しました)。フィナステライドは前立腺癌予防薬としては米国食品医薬品局からまだ承認を受けていません。

皮膚癌を除けば、前立腺癌は米国の男性で最も多い癌です。2008年には米国で推定186,320人が新たに前立腺癌と診断され、28,660人が亡くなっています。「新たな分子診断ツールやアプリケーションを用いて前立腺癌の予防および治療方法を発見することはNCIの優先事項であり、前立腺癌による死亡や発症の減少において前進していきたいと思います。また、癌予防の科学は個別化した分子予防へと向かっており、私たちは個人のゲノムを基にリスクを予測し、予防策を講じていきます」とNCI所長のJohn E. Niederhuber医師は述べました。

SELECTはNCIから1億1,400万ドル、国立補完代替医療センターから追加的な資金提供を受け、サブ試験はNIHの国立心肺血液研究所、国立老化研究所、国立眼病研究所の資金的提供を受けて実施されています。サブ試験では慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー病や黄斑変性症、白内障の発症に対するセレニウムとビタミンEの効能を評価し、今後は参加者が試験用サプリメントを服用せずに試験を続行していきます。NCIが資金提供を行っているサブ試験では大腸ポリープを発症した男性へのサプリメントの効能を調査中です。

「SELECT試験はボランティアの方々、時間を割いて熱心に参加してくれた何千人もの男性、前立腺癌が予防可能になる将来のためのすべてに負うところが大きいです」とSWOGの委員長であるLaurence H. Baker D.O.氏は述べました。SELECTの研究者はデータを分析しており、その分析を提出し、ピアレビューの医学誌で発表する予定です。
SELECTに関するQ&Aは、下記のウェブサイトをご覧ください。http://www.cancer.gov/newscenter/pressreleases/SELECTQandA.

SWOG(www.swog.org)は米国で最大規模の癌臨床試験の共同グループの一つです。NIHの一部門であるNCIから研究助成金を受け、成人の癌の予防や治療を行い、癌生存者の生活の質を向上させるために臨床試験を行っています。SWOGでは18のNCI指定がんセンターを含む約550施設で5,000人以上の医師兼研究者が試験を行っています。ミシガン州アナーバーに本部を置き(734-998-7130), オフィスはテキサス州サンアントニオに、統計センターはワシントン州シアトルにあります。

NCIは予防や癌生物学の研究、新たな治療法の開発、新たな研究者の育成や指導を通じて、癌の負担を大幅に軽減し、癌患者やその家族の生活を改善するための国家癌プログラムやNIHの取り組みを統率しています。癌についての詳細はNCIのウェブサイト(http://www.cancer.gov)をご覧いただくか、NCI癌情報サービスへご連絡ください。1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)

*****
吉田加奈子 訳
大藪友利子(生物工学)

******


原文

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

arrow_upward