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濾胞性リンパ腫患者の無病生存期間がワクチンにより改善/MDアンダーソンがんセンター

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濾胞性リンパ腫患者の無病生存期間がワクチンにより改善/MDアンダーソンがんセンター

オーダーメイド治療に関する画期的な試験により「大量の新薬」の可能性
MDアンダーソンがんセンター
2011年5月31日

リンパ腫ワクチンを患者一人ひとりに合わせることで無病生存期間が14カ月延長され、さらに、特定の生物学的マーカーを有する患者に対してはさらに良好な効果が得られる兆しもある、というテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究チームの報告が、本日Journal of Clinical Oncology誌の電子版に掲載された。

論文の責任著者であるLarry Kwak医学博士は、「この試験においては、ワクチン接種によって濾胞性リンパ腫が再発するまでの期間が約14カ月延びることが今なお示されています。これは意義深いことです。なぜなら、ほとんどの抗癌剤は、生存期間をわずか数カ月延長するということを根拠に承認されているからです」と語った。同氏は米国国立癌研究所在籍中にこのワクチンを開発し、現在はMDアンダーソンがんセンターのリンパ腫・骨髄腫部門主任を務めている。

「この試験成績には、新しい癌ワクチンの時代の到来を告げる可能性があります。大量の薬剤がまもなく良好な成績をみせ始めると信じています」とKwak氏は語った。

この多施設共同試験は、リンパ腫ワクチンの第3相試験として初めて成功した試験であり、オーダーメイド癌治療薬の試験として初めて実施されたもののひとつである。初期の成績の一部が2009年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会本会議で発表されている。

免疫系攻撃の調整に腫瘍タンパクを使用

Kwak氏は癌ワクチンの基礎研究、特に濾胞性リンパ腫の個別治療の研究に20年にわたって携わっており、2010年にはタイムズ誌が選ぶ最も影響力のある100人のひとりに選ばれている。

同氏は、「このワクチンは、実験台から患者に投与できるようになるまでわれわれが育てたまさに自家製ワクチンの一例です。実験室で発見し、臨床試験の過程を最初から最後まで手がけました。今や市販薬として認可が得られるのも間近です」と述べている。

ワクチンを作るには、各患者の腫瘍から特有のタンパク質を単離して、送達製剤および増殖因子と混合する。そのあと、この混合物を患者に注射して戻す。初期の諸試験から、この方法によって、ほとんどのリンパ腫患者に対し副作用もごくわずかで抗腫瘍免疫反応がもたらされることが明らかになった。

「これはオーダーメイド治療の極みです。患者二人のリンパ腫が同じ種類であるとしても、腫瘍のタンパク質は異なっているものです」とKwak氏は述べた。

米国国立癌研究所によれば、非ホジキンリンパ腫はアメリカで最もよくみられる癌のひとつである。2010年には74000人以上が非ホジキンリンパ腫と診断されており、全世界では、濾胞性リンパ腫は非ホジキンリンパ腫の22%を占めている。

Kwak氏は、「新種の化学療法によって濾胞性リンパ腫患者の生存率は改善しましたが、進行期リンパ腫は依然として治らないと考えられています。通常、濾胞性リンパ腫を寛解させることはできますが、さらに治療しなければ、ほぼ全患者が再発します」と述べた。

患者によってはさらに強力な効果を示すこともある

本試験に参加した患者234人は最初にPACEと呼ばれる併用化学療法を受けた。このうち117人が完全寛解または6カ月間以上の完全奏効を示し、ワクチンまたはプラセボの投与を受けた。追跡期間中央値55.6カ月間のうち、再発までの期間の中央値は、ワクチン投与を受けた患者76人が44.2カ月であったのに対し、プラセボ投与を受けた患者41人では30.6カ月であった。

しかし、予定していなかった特定患者群の解析から、特定の生物学的マーカーを有する患者では、無病生存期間が28.7カ月から52.9カ月に延びるというさらに大きな効果があったことがわかった。このような結果はランダム化試験による確認を要するものの、このワクチンがさらに目標となる可能性を示唆するものである。

Kwak氏は、「この大幅な差は、ワクチンが著効する可能性が高い患者を特定できる方法を示すものです。また、これから進めていく上で優先順位を絞るのにも役立ちます。たとえば、米国食品医薬品局(FDA)は、ワクチンが一部の患者にきわめて効果があるという知見を得ているため、この薬剤の商業的開発を促進する可能性があります」と語った。

次は何か

上記の試験成績は、さらに他のリンパ腫患者など、他の癌種にも応用できることも考えられる。さらにKwak氏は、同氏が率いるチームが研究してきた新世代のリンパ腫ワクチンが来年内には臨床試験に入るはずであると話した。

米国国立癌研究所は、臨床試験の運営を企業パートナーに引き渡す意図で最初の第3相ランダム化試験に資金援助し、ワクチンを前進させた。BioVest International社が競争的過程を経てNCIと共同研究することになり、2004年に臨床試験を引き継いだ。BioVestはブランド名BioVaxID™のもとにこのワクチンを開発している。同社はワクチンのFDA承認取得に向けて前進している。本試験はNCIとBioVest International社から援助を受けている。

Kwak氏の共同主著者は、Sattva Neelapu, M.D., principal investigator at MD Anderson, and Stephen Schuster, M.D., Abramson Cancer Center of the University of Pennsylvania, Philadelphia, PAである。研究チームはこのほか次のメンバーから構成されている。Elise Chong, B.A., Abramson Cancer Center of the University of Pennsylvania, Philadelphia; Donald Berry, Ph.D., MD Anderson Department of Biostatistics; Barry Gause, M.D., John Janik, M.D., Elaine Jaffe, M.D., Craig W. Reynolds, Ph.D., Center for Cancer Research, National Cancer Institute, National Institutes of Health; Franco Muggia, M.D., NYU Cancer Institute, New York University School of Medicine; Jon Gockerman, M.D., Duke University Comprehensive Cancer Center; Jane Winter, M.D., Robert H. Lurie Comprehensive Cancer Center of Northwestern University; Christopher Flowers, M.D., Emory University Winship Cancer Institute; Daniel Nikcevich, M.D., Ph.D., SMDC Cancer Center and Duluth CCOP; Eduardo Sotomayor, M.D., H. Lee Moffitt Cancer Center and Research Institute; Dean McGaughey, M.D., Virginia Oncology Associates; and Carlos Santos, Ph.D., Mihaela Popa, M.D., Ph.D. and Amy McCord, Ph.D., Biovest International, Inc.
Schuster, Neelapu, Janik, Muggia, Gockerman, Winterおよび FlowersがBiovest International社から研究助成金を受けた。Santos, PopaおよびMcCordはBiovest International社の社員である。Flowers, BerryおよびKwakはBiovest International社から顧問料を受けた。Gause, Santosおよび PopaはBiovestの株主である。

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佐治 京子 訳
吉原 哲 (血液内科/造血幹細胞移植) 監修
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原文

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