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2011/06/28号◆特集記事「調査に基づき、新たにタバコ警告画像をパッケージに表示」

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2011/06/28号◆特集記事「調査に基づき、新たにタバコ警告画像をパッケージに表示」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2011年6月28日号(Volume 8 / Number 13)

日経BP「癌Experts」にもPDF掲載中~

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◇◆◇ 特集記事 ◇◆◇

調査に基づき、新たにタバコ警告画像をパッケージに表示

先週、米国食品医薬品局(FDA)が、新たにタバコに表示する警告画像を9種類発表したことにより、この四半世紀で初めて米国で販売されるタバコのパッケージが変わることになる。2012年秋までにタバコ製造各社は、タバコの各包装箱とカートン箱の前面と裏面の半分以上に、癌に冒された両肺、腐った歯、受動喫煙に晒される幼児の画像などを使った警告表示をすることを義務づけられる。

また、警告を掲示しなければならない対象は雑誌、新聞広告、チラシ、クーポン、小売表示や店頭表示、インターネット広告など、あらゆる形態のタバコ広告のうちの20%である。新たな警告が意図するところは、現在の喫煙者に禁煙を呼びかけることと、非喫煙者(とくに若者)が一度でもタバコをくわえることのないよう思いとどまらせることである。

「この国の歴史のなかでこの新しい警告画像表示は、最も強力で効果的なタバコに関する健康被害への警告となるでしょう。これは真実を伝えるものですから」と、6月21日ホワイトハウスで行われた記者会見で米国保健社会福祉省のKathleen Sebelius大臣は述べた。「このような警告によって、タバコを手に取る人は誰でも実際に自分が手にしているものの危険性がどのようなものかを正しく知ることになります」。

2009年6月22日に法制化された‘家族の喫煙予防・タバコ規制法’は、FDAにタバコ製品を規制する権限を与え、健康被害を警告する新たな画像表示を課した。昨年11月にFDAは36種類の画像案を提出し、最終的に9種類の画像が選ばれた。

「最終的に残った9つの画像は、多くの重要な基準から選ばれたものです」と、FDA長官であるDr. Margaret Hamburg氏はホワイトハウスでの記者会見で述べた。「専門家、企業関係者[代表]など、およそ1,700もの利害関係者から寄せられたパブリックコメントを考慮いたしました。なかには、科学的な研究論文を提出された方もいました」と同氏は説明した。

また、FDAは全国調査を実施して、タバコによる健康被害の警告画像に対する人々の反応を調べた。この調査は18,000人もの参加者を対象としており、これまでに実施された同様の調査の中では最大規模のものであるとHamburg氏は述べた。

「それぞれの警告画像案が健康リスクをどれだけ効果的に伝えられるかを調べると同時に、このような警告画像によって喫煙者の禁煙意欲を後押しできるか、また非喫煙者(とりわけ子どもたち)がタバコを吸ってみようなどと思わないようにすることができるかを調査しました」とも同氏は述べた。

大きなカラー画像だけでなく、すべての警告には喫煙全国ネットワーク(禁煙ホットライン)の電話番号(1-800-QUIT-NOW)や、「タバコは癌を発症させます」、「タバコは中毒になります」、「タバコの煙はあなたのお子さんに害を与えかねません」といった教育的な文章も表示されることになっている。

新たな警告表示の根拠

これまでにすでに30以上の国や管轄地がタバコ包装に健康被害の警告画像を課している。米国国立癌研究所(NCI)タバコ規制研究部門(Tobacco Control Research Branch)は、さまざまな国で実施されている健康被害の警告画像表示の影響を調べるために多数の研究プロジェクトへ資金提供を行っている。

「われわれの研究からはっきりと浮かび上がった一つの事実は、警告がおぞましいものであればあるほど、人々の注意を引く効果も高いということです」と、NCIの資金提供を受けて行われた研究プロジェクトの一つを指揮したロズウェルパーク癌研究所のDr. K. Michael Cummings氏は述べた。「また、警告が視覚に訴えるものであり、タバコによる被害を忠実に映しているものであれば、喫煙リスクについての知識や信念に影響を与えられることもわかりました」と同氏は述べた。「たしかに、視覚に訴える警告はわれわれがこれまでみてきた文字を主体とする警告よりもずっと効果的です」。

NCIが資金援助を行っているもう一つの研究に携わっているカナダ・オンタリオ州のウォータールー大学所属のDr. David Hammond氏も同意見であり、「絵を使うことで[警告表示を]幼児も含めた識字率の低い人々でも理解できるようになります。警告には根拠に基づいた最善の実践成果がいくつか組み入れられています。すなわち、警告は比較的大きめにするとよく、[タバコの]箱の全面と裏面に表示します。また、警告のうち少なくともいくつかは感情に訴えかける情報を含むようにするといいのです」。

また禁煙方法をタバコの包装や広告にじかに載せてしまうことから効果的な結果が得られた。「禁煙の支援が得られる禁煙ホットラインの電話番号やウェブサイトのアドレスなど、健康被害のおそれに喫煙者自身がすぐ対処できるような情報を警告メッセージに含めておくと、喫煙者が禁煙に意欲的になり、根拠に基づいた喫煙支援が可能となることが、数多くの研究からわかっています」とCummings氏は述べた。(1-800-QUIT-NOWを利用する他、喫煙者はwww.smokefree.gov.からも喫煙支援を得られる)。

タバコ製品がもたらす危険性を消費者に適切に知らせるために、警告メッセージの変更を行う頻度や表示に付け加えるべき新たな項目を学ぶ研究をさらに行っていく必要があることをCummings氏は指摘した。例えば、フィルターや低タールタバコでは健康被害が軽減されないことやニコチン中毒がきわめて克服困難である理由などは、今後の警告ラベルへの掲載が検討されてもいい題材である。

禁煙に遅すぎるというはことない

米国公衆衛生局医務長官のDr. Regina Benjamin氏は2回目の記者会見に現れ、新しい警告への支持を表明し、現在の米国におけるタバコの使用状況についての展望を示した。「多くの努力により、1964年に出された最初の公衆衛生局医務長官報告書以来はじめて、我が国民はタバコの使用を半分に減らしました」と同氏は述べた。「しかし2003年以降、われわれの前進は止まったままです。米国では成人5人のうち1人が依然として喫煙者です。若者では5人のうち1人が喫煙者です。タバコの使用は予防可能な死因の第1位に留まり続けており、毎年44万人を超える夭折がタバコの使用によるものです」。

死に至ることに加えて、タバコの使用による財政的帰結は相当のものである。「米国だけで年間におよそ2,000億ドルが医療費の増大と生産性費用の喪失により消えていきます」とFDAのタバコ製品センター所長であるDr. Lawrence Deyton氏は述べた。また「われわれは力を合わせて、タバコ関連死とタバコ関連病を米国史における過去としなければなりません。決して未来に残してはなりません」と同氏は述べた。

NCI癌制御・人口学部門長のDr. Robert Croyle氏は次のように述べる。「「たいへんな進歩を遂げたとはいえ、タバコの使用は依然として米国の癌による死因の第1位であり、癌関連の健康格差をもたらす原因でも第1位となっています。健康被害の新たな警告画像がタバコによる我が国の負担を軽減させる可能性に、われわれはたいへん期待を抱いております」。

禁煙したいと考えている喫煙者はどしどし医師へ相談するといいとBenjamin氏は述べた。医師のアドバイスを受けた患者の禁煙成功率は66%高いと同氏は説明した。喫煙者が禁煙すると、わずか1年で心疾患リスクは急激に低下する。脳卒中リスクは2~5年後に非喫煙者とほぼ同程度に低下する。口腔癌、咽頭癌、食道癌、膀胱癌のリスクは5年後に半分になる。肺癌による死亡リスクは10年後に半分に低下する。

「何歳でも、どんな時でも禁煙効果はあります」とBenjamin氏は述べた。「禁煙に遅すぎるということはありません。ただ、早ければ早いほど効果があります」。

長期的なコミットメント

新たな警告表示に関して懸念される事柄のなかに、消費者が警告画像とその健康被害警告に慣れて鈍感になるおそれが挙げられる。Hamburg氏は、FDAが定期的に警告画像の有効性を評価し、必要な場合には変更を行うと述べた。今後の変更はどのようなものであれ、研究と評価に基づいて、また公示やパブリックコメントを募集する期間を設けるなどの規制作成プロセスを経て行われることになっている。

タバコ警告表示の更新に加えて、規制当局はこれまで以上に包括的なタバコに関する公教育キャンペーンを検討し始めるかもしれないとHammond氏は述べた。同氏は増税やタバコの値上げといった他の政策でも、タバコの使用を低減可能であろうとも述べた。タバコ表示が次の世代を迎えて改善される時期が到来したら、米国国民はカナダやオーストラリアといった国々の事情をみたいと思うかもしれないともHammond氏は述べた。カナダでは約10年前に警告画像が登場している。オーストラリア政府は来年からすべてのタバコを「無地包装」――標準的なフォントで記載された銘柄名を除いて、色や記号を一切廃した包装――で販売することを義務づけている。

「米国でタバコの使用が癌による死亡の第1原因であり続けるなら、NCIとしてはわが国の癌負担が大幅に軽減されるかどうかについて、禁煙とタバコの使用制限に関する研究を長期にわたって継続していかなくてはなりません」とHammond氏は述べた。

— Jennifer Crawford

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窪田 美穂 訳
後藤 悌(呼吸器内科/東京大学大学院医学研究科) 監修
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