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乳癌予防のためのラロキシフェンおよびタモキシフェンのベネフィット・リスク評価ツール

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乳癌予防のためのラロキシフェンおよびタモキシフェンのベネフィット・リスク評価ツール

Tool Weighs Benefits, Risks of Raloxifene or Tamoxifen to Prevent Breast Cancer

(Posted: 06/14/2011) 乳癌発症のリスクが高い閉経後女性において、リスク低下のためにラロキシフェンあるいはタモキシフェンのどちらを使用するべきかを決定する指針となるベネフィット・リスク指数が作成された。 (Cancer Bulletin 2011年5月3日号[日本語訳])より転載)

乳癌発症のリスクが高い閉経後女性において、リスク低下のためにラロキシフェンあるいはタモキシフェンのどちらを使用するべきかを決定する指針となるベネフィット・リスク指数が作成された。これらの薬剤と乳癌リスク低下との関連性は臨床試験で明らかにされてはいるが、同時に有害な副作用をもたらす可能性もあることから、乳癌患者と医師は、予測される利益がリスクを上回るかどうかについてを、各患者の状況に応じて判断する必要がある。

5月2日付Journal of Clinical Oncology誌電子版で報告されたベネフィット・リスク解析の結果によると、ラロキシフェンあるいはタモキシフェン使用のリスクおよび利益は、女性の 年齢、人種・民族、5年乳癌リスク予測、および子宮摘出術の有無に左右されることが示された。概して、子宮を摘出していない女性において乳癌リスクを低下 させるためには、ラロキシフェンの方がタモキシフェンよりも優れていることがその解析により明らかになった。子宮摘出術を行った女性においては、ラロキシ フェンおよびタモキシフェンのベネフィット・リスクプロファイルは同等であった。

NCI癌予防部門のDr. Worta McCaskill-Stevens氏、NCI癌制御・人口学部門のDr. Andrew Freedman氏らは、’女性の健康イニシアチブ’、SEER、および浸潤性乳癌発症のリスクが高い女性に対する予防薬としてのタモキシフェンおよびラロキシフェンの効力を評価した2つの大規模臨床試験であるBreast Cancer Prevention Trial (BCPT:乳癌予防試験) とStudy of Tamoxifen and Raloxifene (STAR:タモキシフェン・ラロキシフェン臨床研究) 試験のデータを用いた。研究者らは、骨折、血栓症、脳卒中および子宮内膜癌などの乳癌以外の健康転帰、つまりそれらの発症率がラロキシフェンあるいはタモ キシフェンによって上昇あるいは低下する可能性について検討した。

その後、健康転帰や、さらに浸潤性乳癌および上皮内癌に対する可能性の重みを付け、ラロキシフェンあるいはタモキシフェン使用の有無により、さまざ まなリスク因子を有する女性の転帰が起こる確率を算定した。これらの算定を用いて、各年齢グループと5年浸潤性乳癌リスク予測をもとに、利益がリスクを上 回る、またはリスクが利益を上回るというエビデンスの有無とその強弱を色分けした表が薬剤ごとに作成された。また、子宮摘出術の有無ごとに50歳以上の閉 経後女性を、白人非ヒスパニック系、黒人、およびヒスパニック系に分けた表もそれぞれ作成された。

「浸潤性乳癌の推定5年リスクを予測するためにNCIの乳癌リスク評価ツール(BRCAT) を用いることで、医療関係者は対応する表の入力情報からベネフィット・リスク指数を得ることができる。この情報に臨床的特徴および個人的嗜好を組み合わせ ることで、医療関係者と患者が十分に情報を得た上で意思決定を行うことができる」と本研究の著者らは述べている。

トロント大学のDr. Eitan Amir氏およびDr. Pamela J. Goodwin氏は付随する論説では、この解析の弱点について述べる一方で、「(この新たなツールにより)医師が、患者のいくつかの主要な特性に基づいて タモキシフェンあるいはラロキシフェンを選択できるようになるという点で、化学予防における個別化のための今までで最も包括的な試みとなる。これは乳癌予 防にとっての明らかな前進であり、最終的には化学予防分野の理解の向上につながるだろう」と記した。

乳癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)施行数は保険制度の影響を受ける

新しい研究によると、乳癌に対する強度変調放射線治療(IMRT)施行数は、その技術料がメディケア(公的保険)の適用となる地域では、適用とならない地域に比べて5倍多いことが示された。4月29日付Journal of the National Cancer Institute誌電子版に発表された本研究の結果によると、IMRTの実施数は民間の放射線診療所で治療を受けた女性の方が病院外来部よりも36%多かったこと、また払戻基準の地域差がIMRTの施行数に大きく影響を与えている可能性があることが示された。

IMRTに比べて診療報酬が低いが効果は同程度であるとみられる他の3次元放射線治療計画法もあることから、乳癌の放射線治療に対するメディケアの 還付対象となる項目を拡大して、これらの診療報酬の低い放射線治療計画法を還付対象とすべきであると本研究の筆者らは示唆している。

2001年から2005年において、乳癌に施行されたIMRTに対するメディケアの保険請求数は、放射線治療全体に対する請求数の0.9%から 11.2%へ上昇した。研究期間中のIMRT施行数の増加により乳癌に対する放射線治療費が26%上昇したと、テキサス大学MDアンダーソンがんセンター のDr. Benjamin D. Smith氏率いる研究者らは報告した。

研究でSmith氏らはSEER-Medicareデータベースを用いて、非転移性乳癌に対して手術と術後放射線治療を行った66歳以上の女性26,163人のデータを収集した。

診断後の最初の1年間に施行された放射線治療の平均費用は、IMRT以外で治療した女性では7,170ドル、IMRTで治療した女性では 15,230ドルであった。放射線治療に関連する費用は、IMRT以外で治療した女性では医療費全体の33%であったのに対し、IMRTで治療した女性で は52%であった。

患者の腫瘍特性とIMRT施行状況には強い関連性はないにもかかわらず、医療費の還付がIMRTの施行数と関連していることから、本研究の結果は、 「医療の必要性よりも医療費還付が医療上の意思決定に大きく影響しているのではという疑念が裏づけられた」と、ボストン大学医療センターのDr. Lisa A. Kachnic氏およびDr. Simon N. Powell氏は付随する 論説で記した。

乳癌に対するIMRTが診療報酬の低い3次元放射線治療技術よりも、癌細胞を狙い撃つとされる点や副作用が少ないという点で有効であるかどうかはま だ明らかにされていない。どのタイプの乳癌を有する女性がIMRTの利益をより多く受けられるのかを理解するためには、さらなる臨床試験が必要であると研 究者らは記している。

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