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ホルモン周期が遺伝子活性に影響することが判明

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ホルモン周期が遺伝子活性に影響することが判明

NCIニュース 2009年8月16日

米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)の一機関である米国国立癌研究所(NCI)、および英国ブリストルのHenry Wellcome神経内分泌学研究所(Henry Wellcome Laboratories for Integrative Neuroscience and Endocrinology)の研究者らによると、ステロイドホルモンによる間欠性シグナルが齧歯類では、遺伝子の発現に影響がある可能性があるという。調査結果は、Nature Cell Biology誌の電子版に2009年8月16日に掲載され、2009年9月号に誌上掲載される予定である。これらの結果は、ホルモン受容体による遺伝子調節の新しい捉え方の土台となる。

体の腺からのホルモン分泌は、一過性や、ウルトラディアン(24時間未満の周期)、24時間周期のいずれかのパターンで起こっている。この試験で研究されたグルココチコイドホルモンは、副腎から分泌され、多種多様な動物と人間の生理的反応に関与しているステロイドホルモンである。グルココルチコイドは、体内のほとんど全ての細胞に発現し、発達、代謝および免疫反応をコントロールする遺伝子を調節しているグルココルチコイド受容体を通して作用する。

グルココルチコイド受容体の研究は一般的に、合成ホルモンによる長期刺激後の遺伝子反応を評価する。しかしながら、これらのホルモンは、24時間周期のパターンで副腎から分泌されることに加え、ウルトラディアン周期である、約1時間の周期のパルスモードでも分泌されているため、そのような処置では生きている動物の実際の状態を完全に再現できていない可能性がある。

この新しい研究において、研究者らは培養細胞と動物モデルの両方で、ウルトラディアンホルモン刺激が(遺伝子パルスとして知られる)遺伝子のパルス的な発現を誘発することを証明している。最初に、研究者らは、齧歯類の体内に自然に存在するグルココルチコイドホルモンであるコルチコステロンを、培養マウス細胞にパルスで投与し、グルココルチコイド受容体が調節した遺伝子から新しく合成されたRNAレベルが、ステロイドホルモンのパルス投与に正確に従うことを観察した。

生きている動物に遺伝子パルスが起こるかどうかを判定するために、ラットから副腎を取り除くことで、内在性のグルココルチコイドの分泌源を排除し、ウルトラディアンにコルチコステロンを投与したところ、培養細胞と似た反応が見られた。たとえば、コルチコステロン応答性遺伝子はパルスパターンで発現していた。コルチコステロイドは(周期性ではなく)定常的に投与されている場合、RNAレベルがウルトラディアン法で処理された場合よりもかなり高かったことも見られた。

副腎からの一時的なパルスによるグルココルチコイドの分泌は、多くの種の進化の過程でも保存されてきたものであり、重要な生物学的結果をもたらすだろう。この現象はいくつかの他の哺乳類のホルモンについても述べられており、いくつかの事例においては、生体の適切な生理学的機能に必要であることが知られている。

報告された研究結果は、グルココルチコイド受容体によって調節された遺伝子パルスは直接、多様な遺伝子活性レベルに関連があると主張するものである。統括著者であり、NCIの癌研究センターの受容体生物学と遺伝子発現研究所(Lab of Receptor Biology and Gene Expression in the Center for Cancer Research)の所長である、Gordon Hager博士は次のように発言している。「哺乳類で広く知られているウルトラディアン分泌は、継続的な発現よりも、遺伝子転写が一過性パルスとなる、グルココルチコイド受容体の反応パターンを誘導します。この識見は合成グルココルチコイドの開発に新しいアプローチをもたらします。」

研究者らは、グルココルチコイドが、関節炎や更には癌の徴候など幅広く治療的に使用されていることを考えると、この実験の再現性や、人を対象とした追認試験も必要であり、そのような研究はグルココルチコイド受容体治療における、ウルトラディアンの適用の可能性を定める一助となるだろうであると結論づけた。

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参考文献:
Stavreva,D.A., Wiench,M., John,S., Conway-Campbell,B.L., McKenna,M.A., Pooley,J.R., Johnson,T.A., Voss,T.C., Lightman,S.L., and Hager,G.L. Ultradian hormone stimulation induces glucocorticoid receptor-mediated pulses of gene transcription. Nat. Cell Biol. Online August 16, 2009. In print September 2009. Vol. 11, No. 9. Manuscript #NCB-H15221B.

NCIは予防や癌生物学の研究、新たな治療法の開発、新たな研究者の育成や指導を通じて癌による負担を大幅に軽減し、癌患者やその家族の生活を改善するための国家癌プログラムやNIHの取り組みを統率している。癌についての詳細はNCIのウェブサイト(http://www.cancer.gov)を参照、またはNCI癌情報サービス1-800-4-CANCER (1-800-422-6237)へ連絡のこと。

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平川 麻衣子 訳、張 知子 校正
後藤 悌(呼吸器内科)東京大学大学院医学系研究科呼吸器内科学 監修
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原文

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