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タモキシフェン投与を5年間受けた女性は、治療の15年後も恩恵を受ける

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タモキシフェン投与を5年間受けた女性は、治療の15年後も恩恵を受ける

Five Years of Tamoxifen Continues to Benefit Women 15 Years after Treatment

(Posted: 06/03/2011) – ある大規模ランダム化臨床試験で、タモキシフェンによる補助療法を5年間受けた早期乳癌の女性は、同療法を2年間受けた女性に比べて、治療開始後15年にわたり転帰が良好であった。

要約

ある大規模ランダム化臨床試験で、タモキシフェンによる補助療法を5年間受けた早期乳癌の女性は、同療法を2年間受けた女性に比べて、治療開始後15年にわたり転帰が良好であった。乳癌再発リスク、対側乳癌リスク、乳癌死リスクはすべて、タモキシフェンを2年間の服用した女性よりも5年間服用した女性の方が低かった。

出典

2011年3月21日付Journal of Clinical Oncology誌電子版(ジャーナル要旨参照)

背景

ホルモン療法の一種である治療薬タモキシフェンは、エストロゲン受容体陽性乳癌の女性に対する標準治療である。2005年のメタ分析(ジャーナル要旨参照)では、5年間のタモキシフェン治療は1~2年間の治療より、早期乳癌の女性における乳癌再発や乳癌死の予防に優れている。しかし、こうした研究の平均追跡調査期間は5年で、5年に対し5年以下のタモキシフェン治療による長期的な効果やリスクは明らかにされていない。

試験

Cancer Research UK(キャンサー・リサーチUK)の「50歳代以上」臨床試験には、外科的切除が可能な早期乳癌で50~81歳の女性3,449人が参加した。本試験は、1987年~97年にヨーロッパとアジアの71病院で参加者を募集した。半数をやや上回る女性が既に閉経状態であった。

術後、女性全員にタモキシフェンが2年間投与された。2年後、研究者らは参加者をタモキシフェン投与中止群、あるいは3年延長し計5年間のタモキシフェン投与群に無作為に割付け、乳癌再発、新たな癌、心疾患、全死因死亡に関するデータを2010年4月まで集めた。当時、追跡期間の中央値は10年で、参加者の25%を14年間以上追跡した。

本試験は、Cancer Research UK and the University College London Cancer Trials Center(キャンサー・リサーチUKおよびUCLがん臨床試験センター)のAllan Hackshaw理学修士が主導し、Cancer Research UK and the University College London Hospital Comprehensive Biomedical Research Centre(キャンサー・リサーチUKおよびUCL病院総合生物医学研究センター)の資金提供を受けた。

結果

無作為割り当て後、1,724人の女性はタモキシフェンの服用を2年で終了し、残りの1,725人は引き続き5年間服用するように予定した。治療のコンプライアンス(予定期間中タモキシフェンを服用した女性の割合)は、両治療群で高かった。

タモキシフェンを5年間服用した女性は、2年しか服用しなかった女性より、再発リスクが17%、乳癌死リスクが9%低かった。さらに対側(他方)乳房における癌発症リスクは、30%低かった。

タモキシフェンを2年間投与する代わりに5年間投与した場合、治療から10年後に再発する女性は100人当たり約5人少なく、15年後では約6人少なくなることが分った。

全生存期間ならびに乳癌死を比較した場合の相違も、より長期に行ったタモキシフェン治療の方が、治療後12年にわたり良好であった。タモキシフェン5年投与の有効性は、閉経前および閉経後の女性に認められた。

計画外の年齢別分析では、タモキシフェンを5年間服用した50~59歳の女性は、タモキシフェンを2年間服用した同年齢群の女性に比べて、心臓発作など心血管イベントのリスクが35%低く、心血管イベントによる死亡リスクが59%低いことが明らかになった。

制限事項

心血管イベントやその関連死についての分析は、試験開始当初計画されていなかったことから、こうした結果は「ある程度慎重に評価されるべきである」とトロントにあるSunnybrook OdetteがんセンターのKathleen Pritchard医師とBerta Sousa医師が付随論説で述べた。

一方、NCI癌予防部門のLeslie Ford医師の説明では、研究者らはタモキシフェンが血中コレステロール値を下げることを長年認識しているとのことである。「単に心疾患を予防するためにタモキシフェンを服用する人はいませんが、心血管への影響に関するこのようなデータは、女性にとって心強いだろうと思います。よくても心血管疾患の発症がいくらか減少し、最悪の場合どちらにしても効果が全くみられないかも知れません」。

本試験は1980年代に開始したため、エストロゲン受容体を発現するすべての腫瘍が殆どの施設で測定されたとは一概に言えない。タモキシフェンは、エストロゲン受容体を発現しない腫瘍(エストロゲン受容体陰性腫瘍)を有する女性に対して効果を挙げないことが分っており、この試験にはこのような女性が含まれているため、観察された全体の効果を減弱させているだろうと思われる。

コメント

最近の臨床試験で、アロマターゼ阻害剤と呼ばれる別種のホルモン療法薬が、タモキシフェンよりも再発リスクおよび乳癌死リスクの低下に効果的であることを示すものが数件ある。しかし、アロマターゼ阻害剤は閉経前の女性に対して効果を示さず、そのため閉経後の女性に限定して使用される。

アロマターゼ阻害剤は、タモキシフェンとは異なる一連の副作用を有するとFord氏は説明する。「アロマターゼ阻害剤の服用を開始した後、副作用のためにやむを得ず治療を中止しても、タモキシフェンという別の選択肢がありしかも極めて有効であるということを、女性は知っておくとよいでしょう」。

タモキシフェンはジェネリック医薬品としても市販されているため、発展途上国でも入手しやすいとFord氏はつけ加えた。

Ford氏の結論として、この長期追跡研究から女性に向けたメッセージは、「処方される限り治療薬を飲みなさい。5年間の治療から受ける恩恵は15年にもおよび、最後の錠剤を飲み終えた後もずっと効果は持続します」というものだ。

 

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マクドナルド 晋子 訳
原 文堅(乳腺科/四国がんセンター)監修
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