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稀な型の骨肉腫において特定された、遺伝子の重複

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稀な型の骨肉腫において特定された、遺伝子の重複

NCIニュース 2009年10月4日

研究者らは、脊索腫と呼ばれる家族型の稀な骨肉腫は、遺伝子のDNA配列中の典型的な変化や変異ではなく、むしろ遺伝子全体の2つめのコピーの存在によって説明されることを発見した。コピーナンバー多型(CNVs)として知られる遺伝子の大きな構造変化はいくつかの遺伝性疾患に関わっているが、家族型の癌の病因とする報告はほとんどなかった。本成果は、米国国立衛生研究所の一部である、国立癌研究所(NCI)の研究者とその同僚たちによって出され、2009年10月4日、Nature Genetics電子版に掲載された。

「遺伝子の重複が、家族型の癌の進行に関与するというのは、重要な研究成果である」と、本試験の筆頭著者の1人であるNCIのRose Yang博士は述べた。

通常のタイプの遺伝子変異や遺伝子重複は、ヒトが両親から受け継ぐ、DNAの恒久的な変化である。これらの変化は、その影響を受ける遺伝子の発現をしばしば変化させ、癌や他の疾患を引き起こす。今回の新たな発見は、癌の遺伝的進行において、典型的な特定の遺伝子変異と同じように、CVNsが重要であることを示す。

脊索腫は、アメリカ合衆国では100万人に1人が罹患しており、年間約300症例が新たに診断されている。この病気にかかった人は、頭骸骨の基底部、および尾骨を含む脊柱沿いのあらゆる場所で腫瘍が成長する。この成長は、脊柱の胚前駆体である脊索の遺残物から起こると考えられている。脊索腫の効果的な治療法はほとんどなく、治癒もしない。非家族型の脊索腫患者の多くは、診断から10年以内に死亡している。

Yang博士は、同じNCIのDilys Parry博士と、もとNCI研究員でノースカロライナ州ダーラムにあるデューク大学メディカルセンターのMichael Kelley医師と一緒に、Parry博士が調査した、数世代に及ぶ脊索腫の病歴を持つ大家族の調査にもとづいて、最初の発見を導き出した。

家族性というこの癌の性質から、研究者たちは、家族のメンバーのリスクの増加を説明できるような遺伝子変化を探した。初め、彼らは第7染色体の欠陥の可能性を検討したが、病気にかかっている人たちに共通の変異は見つからなかった。研究者らは、病気にかかっている家族のメンバー全員に見られるパターンを探すために連鎖的な研究をさらに行い、更なる研究対象となる新たな6つのエリアを、ゲノム中に発見した。もっとも有力なエリアは第6染色体上にあり、脊索の発達に関与するT遺伝子(またはbrachyury)と呼ばれる遺伝子を含む部位である。

「この癌の患者の多くにおいて、脊索腫の細胞でbrachyuryが活性化している」とParry博士は述べた。「そして、T遺伝子が脊索の発達を調節することからも、われわれはこの遺伝子が脊索腫の原因の有力候補ではないかと考えた。」しかしこの遺伝子のDNA配列で、疾患に関連する変異は見つからなかった。

そこで研究者らは、血縁者内に2人以上の脊索腫患者がいる7つの家族(65人、うち脊索腫患者が21人)のDNAにおいて、第6染色体の、T遺伝子を含む部位中でCNVsを探した。4つの家族において、すべての脊索腫患者でT遺伝子のもう1つのコピーが見つかった。遺伝子の重複は、他の3家族の脊索腫の患者および100人の健康な対照群には見られなかった。「T遺伝子の重複がない3家族の脊索腫は、他の遺伝子の変異か、あるいはT遺伝子にかかわるまだ特定されていない作用によるものでしょう」とYang博士は述べた。

一部の家族において、T遺伝子の重複が脊索腫のリスクを高めるという彼らの発見に基づき、家族型の癌に関する新たな遺伝子の特定のためには、従来の遺伝子マッピングの手法に加えて、複雑なゲノム再編成のスクリーニングすることがに役に立つのではないかと研究者らは示唆している。

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Reference: Yang XR, Ng D, Alcorta DA, Liebsch NJ, Sheridan E, Li S, Goldstein AM, Parry DM, Kelley MJ. T (Brachyury) gene duplication confers major susceptibility to familial chordoma. Nature Genetics, Online October 4, 2009.

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水向 絢子 訳
後藤 悌 (呼吸器内科)
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原文

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