抗体により誘導された薬剤が急性リンパ性白血病に奏効/MDアンダーソンがんセンター | 海外がん医療情報リファレンス

抗体により誘導された薬剤が急性リンパ性白血病に奏効/MDアンダーソンがんセンター

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抗体により誘導された薬剤が急性リンパ性白血病に奏効/MDアンダーソンがんセンター

抵抗性または再発性病変を有する患者に対する第2相試験で奏効率が61%を示す
MDアンダーソンがんセンター
2011年5月23日

急性リンパ性白血病(ALL)細胞を選択的に破壊する、有力な化学療法薬を組み合わせた抗体が、第2相試験において患者46例のうち61%で癌細胞を消滅または大幅に減少させた。本研究は、6月3日~7日にシカゴで開催される第47回米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表される。

本試験はテキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らの主導により、参加した患者は治療後の再発または他の療法に抵抗性を有する急性リンパ性白血病(ALL)であった。

「この患者集団において、inotuzumab ozogamicin(イノツズマブ・オゾガマイシン)による50%を超える奏効率は、おそらく同疾患に対する単剤治療のなかで今までで有効性が最も高いものであろう。」と本試験の研究責任者であり、MDアンダーソンがんセンター白血病科教授兼部長のHagop Kantarjian医師は見解を述べる。

急性リンパ性白血病(ALL)とは、リンパ芽球と呼ばれる未成熟白血球が急速に増殖し、正常な各血球を締め出す悪性度の高い白血病である。

CMC-544の名でも知られる本薬剤は、90%超のALL細胞の表面に存在するタンパクであるCD22を標的とする抗体と、細胞毒性薬剤であるcalicheamicinを結合させたものである。一旦、本薬剤がCD22と結合すると、そのALL細胞内に同薬が取り込まれ、細胞死をもたらす。

このほかの二次治療選択肢に対する奏効率は20から30%である。

ALLに用いられるセカンドラインの併用化学療法では、通常、完全奏効率が20~30%であるとKantarjian医師は言う。ファイザー社が開発するこのモノクローナル抗体製剤は、ALLに対する新規の薬剤である。

本剤は安全であるとMDアンダーソンがんセンター白血病科助教授であるElias Jabbour医師は述べる。同医師が、米国臨床腫瘍学会(ASCO)で6月6日月曜に研究結果を発表する予定である。副作用のほとんどが、軽度 (グレード1~2)で対処可能であった。 薬剤誘発性の発熱が、最も多い副作用であり、患者48例中9例において、より重度に及ぶものであった。

奏効が評価可能な患者46例のうち、9例に完全奏効が、14例に不完全な血小板回復を伴う完全奏効が、5例に血球数の回復はみられないものの骨髄芽球が5%未満であることが認められた。

奏効をみた16例には、その後ドナー血液幹細胞移植を実施したと Jabbour医師は述べた。

薬剤併用

inotuzumab(イノツズマブ)と他の化学療法との組み合わせにより、ALL治療をさらに改善する可能性があるとJabbour医師は言及する。MDアンダーソンでは、inotuzumabに別のモノクローナル抗体薬剤であるrituximab(リツキシマブ)を併用する第2相臨床試験が進行している。現在rituximabは、非ホジキンリンパ腫のいくつかのタイプに対して使用されている。

Rituximabは、ALL細胞の50%に出現する表面タンパク質CD20を標的とする。

著者らは、この併用療法のほかに、3週間毎投与から毎週投与への処方変更の検討も示唆している。

ALLに対する一次治療は、HyperCVADの名でも知られる併用化学療法レジメンである。

米国国立癌研究所では、2010年に5,330人がALLと診断され、1,420人が同疾患で死亡したと推定している.

ALLは、最も多いタイプの小児癌である。併用化学療法レジメンによって、小児患者における長期生存率が、1960年代の5%から今日では85%に上昇してきた。

本臨床試験は、Pfizer社からの資金援助を受けた。

Jabbour医師とKantarjian医師の共同研究者は以下の通りである。
Susan O’Brien, M.D., Deborah Thomas, M.D., Farhad Ravandi, M.D., Sergernne York, Monica Kwari, Stefan Faderl, M.D., Tapan Kadia, M.D., Guillermo Garcia-Manero, M.D., and Jorge Cortes, M.D., of MD Anderson’s Department of Leukemia; Christopher Wilson and Robert Tarnai, of PPD, Inc.; and Anjali S. Advani, M.D., of the Cleveland Clinic Taussig Cancer Institute.

Kantarjian医師と共著者のCortes医師は、Pfizer社から研究資金の援助を受けている。Cortes医師は、同社のコンサルタントを務めている。

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酒井伸茂 訳
林 正樹(血液・腫瘍内科/敬愛会中頭病院) 監修
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原文

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