一部の乳がんにおいて新薬T-DM1が治療選択肢となる可能性/NCI臨床試験結果 | 海外がん医療情報リファレンス

一部の乳がんにおいて新薬T-DM1が治療選択肢となる可能性/NCI臨床試験結果

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

一部の乳がんにおいて新薬T-DM1が治療選択肢となる可能性/NCI臨床試験結果

2012年6月13日掲載
2012年11月29日更新

出典:NCIキャンサーブレティン

国際共同臨床試験の結果によると、HER2陽性転移性乳がんに対する分子標的治療薬であるトラスツズマブ(ハーセプチン)が奏効しなくなった患者に対し、近い将来新しい治療選択肢が得られる可能性が示されています。

治験薬としてトラスツズマブエムタンシン(T-DM1)の投与を受けた患者は、化学療法薬であるカペシタビン(ゼローダ)および分子標的薬であるラパチニブ(タイケルブ)の投与を受けた患者に比べ、無増悪生存期間が3カ月以上延長しました。また1つの例外を除いて、T-DM1はカペシタビンとラパチニブの併用に比べて、重篤な副作用がはるかに少なかったという結果が、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2012年年次総会で試験責任者によって報告されました。(この結果については、2012年10月1日にNew England Journal of Medicineのウェブ上に掲載されました。)

試験責任医師であるデューク大学デューク癌研究所のKimberly Blackwell医師によると、「T-DM1はHER2陽性乳がんの治療において重要な治療選択肢となるでしょう」とのことです。

本剤の製造元であるジェネンテック社は、転移性乳がん患者に対するT-DM1の使用に向け、今年中にアメリカ食品医薬品局の承認を求める予定であると発表しました。

T-DM1は抗体薬物複合体で、乳がん細胞のHER2受容体を標的とするモノクローナル抗体であるトラスツズマブを、化学療法薬であるDM1と化学的に結合させたものです。

T-DM1の投与を受けた患者の無増悪生存期間の中央値は9.6カ月だったのに対し、カペシタビンとラパチニブの併用投与を受けた患者の中央値は6.4カ月でした。この結果は、臨床試験データの中間解析を基に得られたものです。ASCOで示された初回分析では、全生存率は2つの治療群で同様でした。しかし、追加の追跡調査時に発表された結果では、T-DM1の投与を受けた患者の全生存率に統計学的に有意な増加がみられました。生存期間中央値は、T-DM1投与群で30.9カ月だったのに対し、カペシタビンとラパチニブの併用投与群では25.1カ月でした。

T-DM1の投与受けた患者は、血小板が危険なレベルまで低下する(血小板減少)可能性がより高いですが、嘔吐、下痢、および手足症候群といったその他の副作用は対照群の患者により多くみられました。 Blackwell医師は、血小板減少は用量減少によって効果的に管理できた一方で、対照群では副作用のため用量減少をしなければならない患者がより多くいたと述べました。

ジョージタウン大学ロンバルディ総合がんセンターのLouis Weiner医師は、「T-DM1はこの患者集団に非常に有効です」と本会議の際に述べました。 さらにWeiner医師は、他の利用可能な治療を併用し、最善な使用方法をよりよく理解するためには、さらなる研究が必要であると続けました。

原文

******
小石みゆき 訳
原 文堅(乳がん/四国がんセンター)
******

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  4. 4卵巣がんの起源部位は卵管であることが示唆される
  5. 5コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  6. 6がんに対する標的光免疫療法の進展
  7. 7ニボルマブとISA101ワクチン併用療法が中咽頭がん...
  8. 8がん領域におけるシームレス臨床試験数が近年増加
  9. 9乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  10. 10治療が終了した後に-認知機能の変化

お勧め出版物

一覧

arrow_upward